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不穏なる前奏曲

よし!いい感じの間隔で投稿出来ました!これを続けていきたいです⋯⋯厳しそうですけど。


あとぐだぐだイベ楽しいです。


「⋯⋯おかしい」


美佳子と今日一日ずっと会わなかった。昨日はあんなにグイグイ来てたのに。放課後の部活の見学にも来なかったし。


「そんなに告白失敗がこたえたのかね⋯⋯?」


いやでもそれならメッセージも飛ばして来ないだろうし⋯⋯あ、そういえば。


気になって、スマホを確認するが、美佳子から、あれから一言もメッセージが来ていない。それどころか、俺が朝送った「怒ってない」のメッセージに既読も付いていない。


「どうしたんだろうな⋯⋯」


俺は少し心配しつつも、まあ彼女のことだからまたいつか再アタックしてくるだろうなぁと思い、あまり気にしないことにした。


今告白されても返答に困るし、寧ろ遅い方が有難いかもな。


そう考えて、俺は家に帰っていった。



思えば、この時には既に、美佳子の身に何か起きていたのだろう。俺はそれに、気づくことが出来なかった。



――――――――――――――――――



次の日。俺は今、いつも通り学校へと向かう電車に乗っていた。


午前中は曇りで午後から雨かー⋯⋯朝練はあるけど放課後の部活は無さそうだなぁ。


「⋯⋯⋯⋯」


雨、か。そういや、あの日、『狂乱バーサーク』持ちの美佳子の友人を止めた日も雨だったなー⋯⋯あ、そういえばあの友人もう既に停学明けてるんじゃねぇかな?


学校着いたら軽く様子を確認してみるか⋯⋯と考えつつ、駅に着いたので電車から降りる。


「⋯⋯あっ!来た!!」

「え、ホントだ!おーい!!大葉っちー!!」


ん?この声は確か⋯⋯


そう思い、声の方向を見ると、そこには、見覚えのある二人がいた。片方は、一昨日会ったばかりのTFSP所属の美佳子の友人、新見宙だな。


「ああ、新見か。それと⋯⋯」


あ、『狂乱』の人だ。えーと、名前⋯⋯名前⋯⋯


『木戸優香様ですね。しかし⋯⋯これは一体?』


お?どうしたライマ。名前はともかく、何かあったのか?


『⋯⋯どういうことなのか、『狂乱』が消えているのです⋯⋯今、彼女は何のスキルも持たない一般人です』


⋯⋯なんだって?スキルが消えたっていうのか?『自爆』でもない限りスキルの消去は難しいと思うんだが⋯⋯


『不可能ではありませんが⋯⋯それなら、別のスキルが無ければおかしいです。一体何が原因なのでしょうか⋯⋯』


謎だな⋯⋯っとと、今はそっち考え込んでる場合じゃ無さそうだな。この二人、割と焦った表情してる。


「何かあったのか?新見、木戸さん」


俺がそう聞くと、二人は少し顔を見合わせた後、向き直ると新見が口を開いた。


「とりあえず、込み入った話だからちょっと場所を変えよう」


そういう訳で、駅から出て場所を移すことにした。



――――――――――――――――――



しばらく移動し、この辺で人が少ない場所へ辿り着くと、俺は、


「⋯⋯この辺で大丈夫だろう。それで⋯⋯一体何があったんだ?」


どうも只事ではない様子だ。何があったんだ?


「その様子だと、大葉君は知らないみたいね⋯⋯」

「知らないって⋯⋯何が?」


んー⋯⋯?いや、待てよ。そういえばこの二人は共通点がある。


「いや、まさか⋯⋯美佳子に何かあったのか?」


そう、二人とも美佳子の、友人だ。そして二人とも俺に対して話しかけてくる事なんて、美佳子のことしかないだろう。


そう思い、新見に向かって訊ねると、彼女は頷き、言った。



「うん、実は――ミカちゃんが、行方不明になったの」



――――――――――――――――――



それから詳しく話を聞いたところ、既に昨日の時点で学校へ来ていなかったらしい。それ自体はあまり疑問に思われなかったが、学校が終わり、夜中になっても美佳子は家に帰っていなかったのだという。

それで、美佳子の母が心配して連絡を入れるも反応がない。そして学校にも行っていなかったことが判明。


そして、彼女の目撃情報は昨日の朝、彼女の母が家から出ていくのを見送ったのが最後だったと言う。



「行方不明⋯⋯俺のメッセージにも反応が無かったし、これは只事じゃねぇよな⋯⋯」


まさか、行方不明だなんて。


クソ、こんなことなら分身でも監視に出せば良かったか?いや、こんなことになるなんて予期できる訳無かったし、どうしようもなかっただろう。


「もしかしたら、大葉君なら何か知ってるんじゃないかって思ったんだけれど⋯⋯」

「悪いな、俺も何も知らない。特に変わった様子も無かったし⋯⋯」


告白失敗後も普通にメッセージ送ってきたし、特に何かあったようには思えない。


「だよね⋯⋯昨日の夜も普通にミカちゃんからメッセ来てたもん。⋯⋯最近暴行事件も起きてるし、物騒なことに巻き込まれてないといいんだけど⋯⋯」


そこで新見は俺の方をややジト目で見たが、直ぐに心配そうな表情に戻りそう言う。


そうか⋯⋯吸血鬼関連の事件に巻き込まれた可能性もあるのか。それは危険だなぁ、あいつらもなんか世界征服目指してそうなこと言ってたみたいだし。


「⋯⋯とりあえず、事情は分かった。俺も美佳子の事は心配だし、色々探してみるよ」


『分体』をフル活用して探し回ってみるか。それと、高野家にも協力を仰いだ方がいいかもな。吸血鬼関連に巻き込まれてるなら高野家も無関係とは言わせない。

護衛までしてもらって申し訳なさそうにしてるらしいし、快く協力して貰えるだろう。


美佳子を探すための方法を次々と考えていると、木戸さんが少し逡巡した後、


「⋯⋯あんな事した私が言うのもなんだけれど⋯⋯どうか、美佳子の事をお願い。もちろん、私達も全力で探すけど⋯⋯なんだか、貴方なら美佳子を見つけてくれそうな気がするから」


俺の目を真正面から見据え、そう言った。


「⋯⋯ああ、絶対に見つけ出してみせるさ」


俺の事を好いてくれているんだ。そんな彼女を見捨てることは絶対に無い。


吸血鬼の仕業だったなら⋯⋯スキルをフル活用してぶちのめしてやる。


俺達は、何か分かったらお互いに連絡を取り合うということで、その場は一旦別れた。



――――――――――――――――――



その後、学校に行ってもやはり美佳子はいなかったようだ。ますます何かがあった可能性が濃厚になったな⋯⋯


気づくと、『錬成』の強化段階が20へと上がっていたが、それに大して関心も持たずに、授業中も美佳子について考え続けていた。


仁美はとりあえず近辺を探し回ってくれている。新幹線とか使われてたらどうしようもないけども⋯⋯その場合は何か別の手段を考えなければな。


三号には高野家への協力を打診してもらった。予想通りすぐさま協力を約束してくれたようだ。『予知』も活用して探してくれるそうだ。こういう時族長のスキルは頼りになるな。


あとは俺の分体と仁美から派生させた分体⋯⋯まあ隆二四号に仁美二号って所か。そいつらにも働いて貰っている。


今はこんな所か⋯⋯あー、今更ながら不安になってきたなぁ⋯⋯もう少し早く気づけていれば⋯⋯


『マスター、過ぎたことを言っても仕方ありません。焦らず慎重に探しましょう』


そうだな⋯⋯後悔しても彼女が帰ってくるわけでは無いし⋯⋯はぁ。


「じゃあこの問題を⋯⋯大葉!」

「⋯⋯⋯⋯」


今日は部活休んで探すか。最悪TFSPにも頼ることになるかもなぁ⋯⋯いや、協力してくれるかは知らんけどさ。


「⋯⋯大葉!!」

「あぁ?」


なんだよ考え事の途中に。


「え、怖っ⋯⋯じゃない、何を授業中にボーッとしている!」

「え、ああ⋯⋯すいません」

「では、この問題を解いてみろ」


やっべ、そういや今二限目の授業中だった。えーとこの問題は⋯⋯あ、絶対値かこれ。


「x=2、4です」

「よし⋯⋯理解しているならいいが、授業中は集中して話を聞く事だ。いいな?」

「⋯⋯すいませんでした」


やらかしたぁ⋯⋯今は考えるのよした方がいいかもな⋯⋯


そう思いつつも、結局、授業中俺は同じ事ばかり考え続けていた。



――――――――――――――――――



「何があったお前」


昼休み、俺の所へ来た秋人の第一声がそれだった。


「え、何で⋯⋯」

「俺じゃなくても分かる。今日は表情がやたら硬いぞ?それに、先生に当てられた時⋯⋯あれ、なんだろうな⋯⋯殺気?そんな感じのオーラ出てたからな?」

「うぇ、マジか⋯⋯」


えー、そんなに俺バレバレだった?てか殺気て⋯⋯流石にそんなもの出てないよな?


『正直、教師の方が可哀想でした』


出てたのっ!?えーあれー⋯⋯そんなに俺怒ってたかなぁ。


「昨日もだったけど、八坂先輩が来てないことも関係あるのか?」

「お前ってエスパーだったっけ?」


スキルは『触手』だけだろお前。


「当たるとは思わなかったぞ⋯⋯どうしたんだ?振られたとか?」

「いや、俺別に美佳子のことを好きとか言ったことないし⋯⋯」


その辺どうなんだろうな?俺自身もよく分かってない。まあ、一緒にいて悪い気分はしないんだけど⋯⋯


「じゃあなんだ?まさか八坂先輩が行方不明になったとかではあるまいし⋯⋯」

「実は全部知ってたりしないかお前?」

「え、当たり?うせやろ」


秋人は流石に当たるとは思ってなかったようで驚いた表情をしている。多分俺の方が驚いてるけど。


「なるほどなぁ⋯⋯そりゃ機嫌も悪くするか。お前、情が移りやすいタイプだもんな」

「⋯⋯お前だったら何とも思わないのか?」

「まさか!俺だって親友の彼女がいなくなったと聞いたら心配するさ」

「いや別に彼女じゃねぇんだが⋯⋯」

「そういうの繰り返し言うなら俺の右腕が唸りを上げるぜ?」

「見苦しいから嫉妬はやめろ」


俺だって色々問題が無きゃしっかり応えてるっての。


「はぁ⋯⋯お前が八坂先輩をどう思ってるのか俺は知らねぇけどよ。好意的に思ってるなら自分の立ち位置とか考えずに八坂先輩の気持ちに応えてあげたらどうだ?」

「⋯⋯そういうのは無責任じゃないか?」

「でも、今回みたいに行方不明になって⋯⋯そのまま二度と会えない可能性だってあるんだぜ?言えばよかったと後悔するよりいいんじゃね?親父が言ってたぜ、『曖昧な言葉ほど、酷いものは無い』ってな」


そうか⋯⋯もうちょっと、俺の事を、俺の気持ちを伝えるべきだったのか⋯⋯?


⋯⋯ああクソ、結局は気づくのが遅かった。もう、美佳子は行方不明になっている。

ならば、やっぱりすべき事は決まっている。


「秋人。まずは、色々とアドバイスありがとうな。もうちょっと素直になってみるわ」

「おう、どういたしまして」

「けど⋯⋯美佳子と二度と会えないとか言ってたな。それは無い。絶対見つけ出す。だから二度と言わないでくれ」

「お、おう⋯⋯すまんかった」

「でも、敢えて言ってくれて助かった。やっぱり持つべきものは友達だな」


なんだかんだこいつには色々と助けてもらってるからな⋯⋯


「おうよ!じゃあ今度焼き肉でも奢ってくれ!」

「どこの?」

「えーと⋯⋯○○店!」

「どちゃくそ高い所じゃねぇか!!」


もしかしてこいつまさか肉目当てにアドバイスを⋯⋯!?


『いきなりコメディにならないでくださいよ⋯⋯』


おいおいライマよ、この程度着いてこれずして何が『賢神』だい?


『賢さとノリの良さは比例しないと思います』


正論だなぁ⋯⋯



――――――――――――――――――



結局、学校にいる間は分体からの朗報も無く、美佳子の行方は分からないままだった。現在は放課後、俺も片っ端から美佳子を探し回っている。


『この市内は8割がた探し回ったが、発見することは出来なかった。スキルを持っていないから識別にも時間がかかるし、既に遠くまで行ってしまっている場合は発見は難しいな⋯⋯』


くっそ⋯⋯戦闘能力に長けててもそういったスキルが無いんじゃな⋯⋯『解析』があっても流石に手がかりがこれだけ少ないとどうにもならないし⋯⋯


あまりの成果の無さに、俺が再び苛立ち始めた、その時だった。


『本体!美佳子の居場所が分かったぞ!!』


突如、三号から連絡が来た。


なんだと!?どうして分かったんだ?


『それが⋯⋯!高野家とは別の吸血鬼共が、美佳子を攫ってやがったんだ!!』


っ⋯⋯!まさかとは思ったが、吸血鬼の仕業か!!

しかし、なんでそれが分かったんだ?族長の『予知』か?


『⋯⋯本体、落ち着いて聞けよ?俺も大分ショック受けたから』


三号は、不穏な前置きをしてから、話し始めた。


『ついさっき、再び外部の吸血鬼の侵入があったんだ。当然出会い頭にぶちのめそうとしたんだが⋯⋯そいつは、ある要求をしに来たんだと言ったんだ』


要求?それって一体⋯⋯?







『⋯⋯竜の恋人は預かった(・・・・・・・・・)。返して欲しければ、竜が単身でこちらへと来い』








⋯⋯は?








『あいつらは⋯⋯美佳子を、人質(・・)にとったんだ!!』

本編でスルーしたのでおまけ

――――――――――――

錬成20

効果の発動可能半径が20mとなり、物にもよるが、マイクロレベルの誤差で成形が可能となっている。更に極低速ではあるが、生物の体にも効果が適応できるようになっている。


具体的に凄さを言うと半径20mに存在する物体ならいくらでも変形出来てしまう。目の前から突っ込んできた列車を変形させて自分だけ素通りとか出来たり、人の服を変形させて自由を奪ったり、握った鉄パイプを瞬時に槍とか剣とかに変形出来たりする。更には心臓に穴が空いても錬成で穴を塞げるようになった。(間に合うかどうかは別だが)


ぶっちゃけこれ一つで現時点で出ている大概の敵と渡り合える。が、隆二はまだ凄さをよく理解していない。

――――――――――――

錬成20←Up!

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