再会の間奏曲
テストもレポートも終わった⋯⋯あー⋯⋯疲れました⋯⋯
まあ無課金で石像神と嫁ネロと神ジュナ来たから精神的にはプラスですね。
ボチボチ更新速度を戻していこうと思います。頑張りますよぉ⋯⋯
美佳子が盛大に空振った後。とりあえず家に帰った俺は高野家に残してきた隆二三号から念話による報告を受け取った。
『本日の襲撃は1回。なんか普通に塀を乗り越えて侵入しようとしてたから引きずり下ろして『気功法』で身体強化してオラオラしてやったぜ』
あっクソ、こいつ俺の「やってみたい漫画のアクションランキング」第三位をやりやがったな!
『めちゃくちゃ爽快だった(笑)』
貴様ァッ!!
⋯⋯まあいいや、いつかやる機会はあるだろう。
『我ながら立ち直り早いな⋯⋯ああ、侵入者のスキルは普通に『吸血鬼5』だったぞ』
うーん低い。あ、その襲撃は日中?
『もちろんそうだ。どうも強化段階が5になると日光に耐性が出来るっぽいな』
なるほどな。これはいいことを聞いた。強化段階が7までなら『覇王』の弱体効果で日光弱点を再発させられるな。
『報告はこんくらいだな。あ、すまんちょっと陽菜に飯をせがまれてる、またなー!』
お、おう。頑張れよ三号。あっちはあっちで大変そうだな⋯⋯あれ?これ、わざわざあいつが俺ん家に来なくても飯は三号が作れたし問題無かったのでは⋯⋯?
『後の祭りですね』
ちくしょうめ!まあでも、これで多少は族長達の負担も減るだろう。改めて頑張ってくれよ三号。
『⋯⋯あんまり三号と呼び続けると特殊強化が起きるかもしれませんよ?』
そうか?気をつけとくか。
さて、今日はもうやることないだろうし課題やってさっさと寝るか。部活中の回避で疲れたぜ全く⋯⋯
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⋯⋯朝、起きてスマホを見たら美佳子からやたらメッセージが届いてた。「歯は磨いた?」「課題は終わらせた?」ってお前は俺のカーチャンかよ。というか告白失敗した後なのにメンタル強いな。
あと最後の方、返事が無いのが悲しかったのか「もしかして怒ってる⋯⋯?」とか聞いてきてるし。
「早く寝てて見てなかった、すまん。別に怒ってはないよ」と返しておいて、俺は学校へ行く準備を始めた。
今日も昨日みたいに付き纏われるんかね?迷惑って訳じゃないけど、俺の心が休まらないからもうちょっと距離を保って欲しいもんだ。
そう思いつつ家を出て、駅へと向かったのだが。
「⋯⋯おお?なんでここに居るんだお前?」
なんと駅前に思いがけない人物がいた。
「あ、マイ義兄!久しぶりだな!」
そこには俺の義弟、米石元太が待っていた。
――――――――――――――――
「久しぶりだな!お前最近受けてた任務は終わったのかよ!」
「おう!俺のパワーでスピード解決してやったぜ!」
いやー二週間ぶりかね?支部で最後にあった時にしばらく任務で会えなくなるって聞いたから一月くらいは覚悟してたんだが、意外と早く帰ってきたな。
あ、ちなみに俺は暇な時はちょくちょく支部へと向かっている。まさか漫画で見た公園の公衆トイレから繋がる隠し通路をリアルで拝めるとは思わなかったなぁ⋯⋯
ちなみにその隠し通路は日本支部へのポータルが繋がってたりする。ポータルのスキル持ってる人には頭が上がんないな。
閑話休題。
「それで、なんでここに?単に俺に会いに来たとかそれだけじゃないだろ?」
いくら元太でもそれだけでここまで来たりしないだろう。
「いや半分くらいはそうだけど」
そうなの!?何それ嬉しい。
「この辺で人目につかねぇ所ってないか?ちょっと込み入った話がしてぇんだけど」
「あぁ分かった、こっちだ」
この辺は入学前に、引っ越したばかりの時に暇だったから散歩したりしてたしある程度は知っている。
あ、朝練どうすっかなー⋯⋯いやまあ、TFSPの案件だろうし重要な話だろう。少し遅れるとでも連絡しとくか。
⋯⋯美佳子も多分見に来るだろうし言っとくか。
――――――――――――――――
「この辺で大丈夫だろう」
俺達は駅から少し離れ、込み入った路地裏の少し奥辺りに来た。
「本当に大丈夫か?急に人来たりしねぇ?」
「おいおい忘れたのかよブラザー。俺の能力は索敵だぜ?」
「あぁ!そうだったな!流石だぜブラザー!」
お、ハイタッチか?いいぜおらイエーイ!
『何やってるんですか⋯⋯』
いや、こういうノリ一度やってみたくて。
「それで、話ってのは?」
「あー、いい話とめっちゃいい話、どっちから聞きたい?」
いい話しかねぇじゃん。そういやなんか小さめの箱を持ってるけど、それも関係してるのかね?
「んーじゃあいい話の方からで」
こういうのは俺は下から聞くタイプだ。
「OK!いい話は、隆二とあのバカップルの所属する班が決まったことだ!」
「お、マジか?」
端末の方には特にメッセージ来てなかったけど。てかバカップル呼ばわりはやめてやれ。アイツら自身はカップルの自覚ねぇから。
「まだ正式に決まったわけじゃないんだけど、ほぼ確定ってさ。あの二人は引き離す訳にはいかないし一緒の班にすべきって話になって、どっちも四班所属だってさ」
ほーん。まあ能力的にも精神的にも相性いいからなぁ、引き離すのはどう考えてもアレだから当然か。
「それで、俺は?」
「隆二は能力の汎用性が高いから、色んな状況に対応出来るだろうってことで第五班だな」
なるほ⋯⋯いや分かんねぇよ。
「なんで汎用性高いと第五班なんだ⋯⋯?」
「あれ?それぞれの班に特徴があるって⋯⋯聞いた事無い?」
どう?ライマ。
『初めてTFSP日本支部へと向かう道中の間で説明がありましたね』
マジか。
「あー、聞いたと思うんだけど忘れたわ。ちょっと説明してくれない?」
「んだよー、しっかりしろよな!」
で、それぞれの振り分けは以下の通りらしい。
第一班:肉体干渉系
班長は腕伸びるし、元太も身体能力強化だし、そういうのか。分かりやすい。巨大化とか出来る人もいるらしい。
第二班:精神干渉系
班長は『命令』とか持ってたなそういや。でもあれ精神干渉ってより肉体干渉じゃね?え?記憶忘れろとかも命令出来るの?成程。
第三班:防御、耐久系
まあ明らかに防御面に特化してたもんな班長のスキル。本来なら理恵はここに入ってそうだな。
第四班:超常現象系
所謂火を出したり液体を操ったりサイコメトリーしたりがこれだとか。海斗の『弾丸』もその類と分類される訳か。
第五班:万能系
色んな状況に対応出来る能力を持つ人が集められるんだと。班長の和也さんの『複製』とか『透過腕』とかまあ色々役立ちそうだし、上田の『念力』もそうだな。雨宮は戦闘面で万能だからここに入れられたそうな。俺はまあ『武装術』だろうなぁ⋯⋯扱ったことのない物も完璧に使いこなせて見せちゃったし。
第六班:即応部隊
フットワークが軽い(物理)スキル持ちはここに所属するらしい。スピード対応が必要な時に活躍するとか。
第七班:状態異常系
班長の『王毒』を筆頭に毒、麻痺、凍結、更に石化や洗脳など中々危険なものが揃っている。そういった危険な能力を持つ者は大体ここに入れられるそうだ。怖い。
第八班:治癒系
怪我を治したり、痛みを和らげたり、毒などに侵されていればその症状や回復方法などが分かる能力などの持ち主が所属する班。そういった能力は希少らしく、人数が少ないんだと。
第九班:改変系
物理法則を改変する能力はここに入る。超常現象とは区別して考えられてるらしい。あのブラッディ・ディザスター君の重力操作の他は、摩擦係数を操作してツルッツルにしたりザラッザラにしたりする能力とかあるらしい。あ、そういえば『歪曲』の新見も九班だったな。ベクトル操作だからか。
第十班:特殊系
分類が難しい能力持ちがここに入る。『侵食』の他にも、犬に変身するとか、分類的には『能力感知』とかも一応ここに入るらしい。
「⋯⋯とまあ、そんな感じだ!分かったか?」
「おう、わざわざ説明サンキュ」
はえー⋯⋯そんな分類あったのか。知らなかった。
『私に頼るだけではなく、自分でも覚えるようにしてくださいよ?』
分かってる。流石に頼りきりはまずい。
しかしあれだな。俺、ほぼ何処でも入れるなこれ。
精神系と改変系くらいか?厳しいのは。
まあ、それは別にいいか。この後もスキルは増えるんだし今更今更。
「で、俺は第五班所属ね。あのメンツと同僚か⋯⋯」
大概みんなキャラ濃いよなぁ⋯⋯いや、傍から見れば俺も同類か?
「⋯⋯まあいいや。とりあえず、班については分かった。それで、もう一つのもっといい話ってのは?」
どんな内容か楽しみにしてたんだ。
「オッケイ!もっといい話ってのはな⋯⋯」
そう言うと、手に持っていた箱を俺の前に出し、パカりと開いた。
「なんと、お前用の武器が届いたんだ!!」
その中には、伸縮式の警棒らしきものと⋯⋯木刀と刀のストラップが入っていた。
おい待て、ストラップってなんだストラップって。
「いや言いたいことは分かるぜ?『なんでストラップ入ってんだよおちょくってんのか』ってとこだろ?」
「いやそこまでじゃないけど⋯⋯まあ、どういう事なのかは知りたいな。」
流石にガチでストラップだとは思っていない。多分何らかの効果が付与されてるんだと思う。どうよライマ?
『その通りですね。スキルの反応が感じられます。しかも、強化段階が高めですね。反応が少々強いです』
え、強化段階もある程度分かるのかよお前。やっぱり便利すぎるなライマは。
「本命は後にして、まずはこっちの警棒から説明するぜ!」
元太は警棒を取り出し、カバーを外すと手元にあるスイッチを押す。すると警棒が予想通り伸び、大体90cm程の長さまで伸びた。
「これだけなら単なる携帯警棒なんだけど⋯⋯ここのトリガーを引くとだな」
そう言って元太がトリガーを引くと、バチチチチという音ともに小さく火花が散った。もしやこれは⋯⋯
「スタン警棒的な?」
「そういう事だ!更に言えば、素材もなんかすげーもん使ってるとかで軽くて頑丈!正直すっげー便利だと思うぜこれは!」
おおう、流石国家組織。良い武器支給してくれるな。
⋯⋯『閃雷』とか使った方が楽とか言えない。
「そりゃ有難いな⋯⋯それで、ストラップについては?」
俺は一番気になっていたストラップについて訊ねる。
「ああ、これはな⋯⋯」
元太は警棒を直すと、木刀のストラップを手に取る。
と、次の瞬間、一瞬で木刀が巨大化、通常サイズの木刀へと変化する。
「おおっ!?」
マジか、いわゆるサイズ可変武器なのか!
「見ての通り、普段はキーホルダーとして付けといて、いざと言う時はサイズを戻して武器として使える木刀と刀なんだぜ!ロシアの能力者に協力して貰って作ったんだとよ!」
うぉぉマジか⋯⋯これはテンション上がる。しかもちゃんと無力化と殺傷で使い分けられるように二種類用意されてるし⋯⋯
「あ、ちなみに刀の方は班長以上の許可がなけりゃ使っちゃダメだとよ」
あーうん、それは流石にそうだろうよ。それに、ちゃんとキーホルダーの時点で鞘に入ってるし、間違って傷つけるとかの心配は無さそうだ。
「ちなみにサイズを戻すには、触りながら念じるだけでいいからな!」
「分かった。元太、ありがとうな!」
「お礼は俺じゃなくて手配してくれた支部長に言ってくれ!」
「あー⋯⋯うん、分かった」
あのオカマが手配してくれたのか⋯⋯なんか素直にお礼しづらい。
『マスター、そろそろ行かなければ授業に遅れます』
おっと、もうそんなに時間が経ってたのか。
「悪い、そろそろ行かないと時間がヤバい」
「分かった!じゃあな、上手く使いこなせよー!」
「ああ、またなー!」
そう言って、俺は駅へと向かった。
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その日は、特に何事も無く過ぎていった。昨日の件でクラスメイトから質問責めにあったりした程度で、何も無く。
――美佳子が訪ねてくることすらなく。
おまけと言うより補足
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カットした一週間で割と隆二はTFSPの連中とは仲良くなってます。また、試合のインパクトもあり、結構知名度も高くなっております。分かりやすく言うならサッカー部にいきなり有名な選手が入部した感じです。
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錬成19←Up!