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現実にもスキルがあったなら。  作者: 高一の勇者
第一章:始まりの非日常
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決闘の後で

今回も二話連続投稿です。こちらは二話目となります。


なんかifルート単体で投稿するのってダメな気がしまして・・・


目が覚めたら、白い天井が見えた。


「・・・知らない天井だ。」

「ぶふっ!」

「え?」


ちょっと言ってみたかったセリフを思わずボソッと言ったのだが、左から誰かが吹いた声が聞こえてきた。体を起こしてそちらを見れば、大川さんが口元を抑えていた。このネタ通じるんだこの人。


そういえば、体から痛みが引いている。恐らく『聖光』を使ってくれたのだろう。


「あ、大川さん、回復ありがとう。」

「くふふ・・・あ、いやいや、これが僕の仕事ですからね。・・・おや?僕が回復能力を持っていること、君に言いましたっけ?」


笑いを引っ込めて返事した後、大川さんは疑問に思ったようでそう聞いてきた。しまったつい。


「いや、模擬戦の条件に和也さんが大川を付ける、とか言ってたから回復能力なんだろうなーと。あと『メディック』って聞いたし。」


とりあえず適当に理由付けしておく。


「なるほど。いやぁ、僕は君と雨宮が模擬戦を行うと聞いた時、とても驚きましたよ。」


大川さんも大して気にしてなかったようでサラリと流してそう言う。


あ、模擬戦と言えば・・・


「俺の、負けか・・・」


俺が気絶したってことは負けだろう。最後雨宮喋ってたし。とか思っていたら。



「ん?ああ、模擬戦の結果ですか。君は負けではありませんよ?」



大川さんがそんなことを言った。え?いやいやいや。


「俺、気絶して大川さんに回復して貰ったんだよな?」

「そうなんですけどね、それは・・・」


と、大川さんが何かを言いかけた辺りで右の方から物音がした。

そちらを見ると、扉があり、そこを開けて和也さんが入って来ていた。


「お、起きていたか。」


和也さんは俺を見てそう言うと、こちらへ来て、大川さんの隣の椅子に腰掛け、話しかけてきた。


「正直驚いたぞ?あの雨宮の攻撃を躱すだけでなく、カウンターを喰らわせるなんてな。」

「はぁ・・・」


どこか楽しそうに言う和也さんに、俺は気のない返事を返す。って、そうだ、この人に言いたいことがあるんだった。


「和也さん、何で木刀で突いた時点で終わらなかったんだ?普通そこで終わりじゃないか?」

「ああ、それは真剣だったなら死んでいた、という理由だろう?だが、雨宮の『ボルテックス』は雷を纏うことが出来る。真剣なら電気を通すから今回の大葉のような避け方が出来なくなる。だから木刀は木刀、真剣は真剣と、別として扱っているのさ。だから試合を続行した。」


・・・つまり、実戦でも、木刀で突いた風に扱われた、と。そういうことか・・・


「・・・それで、勝敗はどうなったんだ?」


さっき大川さんが何か言いかけていたが・・・


「ああ、それは引き分けだ。」

「・・・引き分け?」


どゆこと?いやまさか。


「雨宮も気絶したのか?」

「そういう事だ。二人ともほぼ同時に気絶してな。」


そうか、負けては無かった、か・・・


『最後に雨宮様が気絶したのは確認出来ていたのですが、お伝えする前にマスターが気絶してしまったのです。』


おおそうか、ライマ。そら仕方ないな。


『・・・訂正なされないのですね?』


へ?何が?


『いえ、何でもありません。』


なんだよー気になるじゃんかー。


『・・・おや、誰かこちらへ来ますね。・・・雨宮様です。』


おい誤魔化すな・・・え?


俺が慌てて扉の方を向くと、その瞬間扉が開き、雨宮が入ってきた。お前先に起きとったんか。


雨宮も怪我は治った様子だ。不機嫌そうな表情をして俺を睨みつつ、近づいてくる。


和也さんと颯太さんはそれに気づき、立ち上がり俺の前に出ようとしてくれる。


「二人とも、多分大丈夫だ。」


が、俺がそう言い、静止する。


二人は少し考えた後、和也さんは座り直したが、颯太さんはそのまま俺の寝てるベッドの足側の方へ移動し、そこで警戒することにしたようだ。


雨宮はそんな兄の様子を見て「うへぇ」とでも言いたそうな顔をしたが、俺の方に向き直り、そのまま俺のベッドの右隣で立ち止まる。


「・・・・・・」

「・・・・・・」


沈黙が流れる。おいお前何か言いたいことでもあったんじゃないのかよ。


そのまま十秒くらい経って、このままでは埒が明かないと思い口を開く。


「なぁ、」

「その、」


声が被った。


「「・・・・・・」」


ふざけんな、なんで被るんだよ!また沈黙流れてんだけど!?


よし今度は被ってもそのまま喋る!それなら被っても問題無い。俺は意を決して口を開く。



「おい、」

「ねぇ、」


被った!が、続ける!


「お前は・・・」

「試合の・・・」


続けて被った。


「「・・・・・・」」


どうなってんだよおーい!?


『息ピッタリですね・・・』


嬉しくねぇわ!?


と、そのタイミングで、


「何よもう・・・意味わかんない・・・」


雨宮が辟易とした顔でそう零した。よっしゃタイミングズレた!


「そりゃこっちのセリフだ・・・で、何の用だ?」


わざわざ相手からこっちの部屋に来たんだ、何か言いたいことがある筈。


「その、さっきの試合の結果だけど・・・」


ふーむ?引き分けじゃ納得行かないからもっかい戦えとかそんなんか?正直不利だからやりたくないんだがなー・・・とか考えつつ次の言葉を待つ。



「引き分けじゃ無くて、私の負けでいいわ。」

「えーやだなー・・・なんて?」



予想外の言葉が聞こえた気がして思わず聞き返す。雨宮は恥ずかしそうにしつつもう一度言う。


「だ、だから私の負けでいいって言ってんの!二度も言わせないで!」


俺は思わず颯太さんを見やる。颯太さんは雨宮の方を向いて呆然とした顔をしていた。


そして俺が視線を雨宮に戻し、訊ねる。


「えっと今・・・お前が負けでいいって・・・言った?」

「い、言ったわよ・・・」

「誰だ貴様ァっ!?」

「はぁっ!?」


ライマ!!厳戒態勢!!こいつは・・・雨宮じゃねぇ!!


『ええ・・・?』

『落ち着けバカ。雨宮が負けを認めたくらい・・・ど、動揺することなど、なな無い筈だ・・・多分。恐らく。』


お前も動揺しとるやないかーーーい!!


『・・・とりあえず、所持しているスキルは『雷神』ですし雨宮様本人ですよ・・・』


いやでも・・・あの雨宮だぞ?あの雨宮が負けを認めるなんて馬鹿な話・・・


「あんたねぇ・・・1回ぶん殴られたいの?」

「黙れ偽物ぉ!正体を表わせ!」

「ふんっ!」

「おごぁ!?」


拳骨くらった・・・!痛い!頭頂部が痛い!


・・・でもとりあえず落ち着いた。なんでか知らんが、俺に勝ちを譲ってくれるのか・・・いやホント何でだよ?


「いてて・・・なんで、自分の負けって宣言したんだ?正直お前なら再試合要求するか、自分の勝ちだとか言い出すかと思ったぞ?」


俺は素直にぶっちゃける。これが普段なら雨宮は軽くキレて突っかかって来るんだが・・・


「あんた容赦無いわね・・・否定出来ないのが、悔しいけど。」


雨宮はバツが悪そうな顔をしてそう言う。えぇ・・・?嘘やろ・・・

俺が愕然としていると、


「今回私が勝ちを譲ったのは・・・私自身が調子に乗りすぎてたことに気づいたからよ。」


・・・俺はその言葉で納得した。どうやら・・・俺の思いが伝わってくれたようだ。


『思い(物理)でしたね。』


お前こんな場面で珍しく茶化すなよおい・・・


「あんたの能力は大して強くない。木刀を使うのがやたら上手かったのも何か能力があったと考えたとしても、充分私の能力で圧倒できるレベルだった。」

「・・・・・・」

「それなのに普通に私と渡り合ったし、その上最後、ダメージ無視して顔面殴られるとか・・・完敗よ完敗。そりゃ目も覚めるわよ。馬鹿だとは思ったけどね。」


はぁ、とため息をつきつつ雨宮はそう言った。本当に傲慢さは無くなったっぽいな。ふう、これで俺も見たくないもん見ずに済むな。

と、雨宮の様子がおかしい。目を泳がせ、口を開けては閉じ、何か言いたげにしつつ言えない様子でいる。


「・・・何か言いたいことあるのか?」

「あ、えっと・・・あるわ。」


俺が聞くと少し慌てた後覚悟を決めたようで一度深呼吸してから、



「その、今まで、色々と迷惑を掛けて・・・・・・ごめんなさい。」



頭を下げながら、そう言った。


・・・あ、謝った!雨宮が謝った!


『ク〇ラが立ったみたいなノリで言うなよ・・・』


いやうん、正直急に丸くなりすぎて逆に怖くなってきた。いくらなんでもここまで変わるかね?


「あー・・・」


俺がなんて返すべきか迷い、少し視線をさ迷わせていると、今度は雨宮は未だに呆けている颯太さんの方を向き、


「あと、兄さんも・・・今までごめんなさい。」


と謝った。颯太さんは二秒間くらい間が空いた後。



「りょ・・・涼子〜〜〜〜〜〜〜!!」



なんと、涙を流して雨宮へとダッシュし抱き締めた。え?何?


「え、ちょ、ちょっと何!?」


雨宮もどうやら混乱しているようだ。どうした。


「やっと・・・やっと涼子が・・・また、兄さん、って・・・・・・呼んでくれた・・・・・・うぉぉぉぉ・・・!」


ガチ泣きだった。


「成長して生意気になって・・・超能力に目覚めてからは一度も兄さんだなんて呼ばなくなって・・・・・・!俺は悲しかったんだぞぉ・・・・・・!!」

「ちょ、ちょっと・・・」

「そうだ!もうこのまま昔みたいにお兄ちゃんと呼んでくれてもいいんだぞっ!!」


そしてシスコンだった。


「呼ばないわよバカっ!!」

「アガガガガガガガガガカッ!?」


当然拒否され電撃を食らっていた。俺は常識人枠からそっと颯太さんを外した。はぁ、これでもう常識人枠は和也さんと坂口さんと大川さんだけか・・・あ、和也さんそういえばさっきから何も言ってないけど・・・


俺が和也さんを見ると、和也さんはどこか遠い目をしていた。あー・・・うん。


「苦労してるんだな・・・」

「分かってくれるか・・・」


俺は和也さんに同情した。実況しようとしてた柴田といい、問題児をよく相手にしてるんだろうなこの人・・・


「な、なんで拒否するんだ涼子・・・デレたんじゃないのか・・・?」

「誰がツンデレよ!あんたのこと、今後一生兄さんって呼ばないから!」

「そ、そんな・・・(ガクッ)」


颯太さんは力尽き気絶した。自業自得なので放っておこう。


雨宮はハァハァと息を荒らげていたが、深呼吸して落ち着くと、俺に向き直る。その顔は何か憑き物が取れたかのように晴れやかな笑顔だった。


「とりあえず、目を覚ましてくれたことはありがとう。感謝してるわ。」

「お、おう、そうか。」


感謝は素直に出来んのかよ・・・謝罪は躊躇ったのに。


「でも、アンタに負けたのは悔しいからいつかリベンジさせて貰うからね、大葉・・!」


そう言って雨宮は右拳を突き出してくる。


少年漫画か何かかよ、とか思いつつ、俺は右腕を上げ、


「上等だ、次もボコしてやんよ、雨宮!」


そう言って拳を合わせた。


おまけ掲示板

ーーーーーーーーーーーーーーーー

個人的に掲示板回好きなので。


雨宮ガチギレ後

『これは\(^o^)/』

『うーわバチバチ言ってる・・・あれ威力大丈夫なの?』

『え?』

『は?』

『雨宮が殴った→木刀が吹っ飛んだ』

『まさか逸らした!?やべぇ』

『しかし雨宮益々キレて追撃』

『うっわめっちゃ吹っ飛んだ・・・痛そー』


二人が会話してる時

『何この雰囲気』

『お、俺知ってる!バトル漫画でよくあるやりとりだ!』

『あ、俺知ってるの人だ、ちっす』

『立ち上がったぞ新人』

『ガッツありすぎだろ・・・』

『膝ガクガクじゃん無理すんなよ』


バトル再開

『うわ何あの動きえげつなっ』

『ピンボールか何か?』

『一発喰らわされたから油断が無いな。』

『あいつにも学習能力があったのかw』

『↑酷いなお前』

『新人さん動けないのかな』

『武器も吹っ飛ばされたしなー』

『よく見て!新人ハンドガン持ってる!』

『どうせ飾り』

『飾りだろ』

『飾りでしょ』

『飾りですね』

『満場一致すぎる』


足を銃撃


『コケたっ!?』

『カートゥーンみたいな転がり様だな・・・』

『まああんな動きしてたら着地失敗するわな』

『違う!違うぞお前ら!!』

『え?何が?』

『新人が足撃ち抜いたんだ!!』

『えっ』

『いやいや嘘でしょ!』

『あれ見切って当てたの?』

『( ⊙Д⊙ )』

『(  Д ) ⊙ ⊙』

『(  ) ⊙Д⊙』

『三段階は草』

『ふざけてる場合じゃねぇ!新人が木刀取りに行ったぞ!』

『雨宮追いかける!』

『あれは・・・追いつかれるか!?』

『頑張れ新人!』

『間に合えーー!』

『えっ、なんで止まって』

『(絶句)』

『うそん』

『お前相打ち覚悟で・・・』

『新人・・・さん・・・』

『マジで新人さん根性やべぇ・・・』

『雨宮吹っ飛び新人さんダウン』

『これ勝者どっちだ?』

『・・・どっちも起きねーぞ?』

『ざわ・・・ざわ・・・』


結果発表


『ひ、引き分けぇ!?』

『バトル時間は短かったのにめっちゃ熱くなった』

『引き分けとか初めてみたわ』

『新人さん頑張りすぎだろ・・・泣けてきたわ』

『新人が完全にさん付けされてて草』


ーーーーーーーーーーーーーーーー


スキル一覧です。おや・・・?『覇王』の様子が・・・


名持ち(ネームド)スキル

賢神ライマ3(思考補助系)

覇王バハムート3(身体強化、妨害系)←Up!

極ノ旗(バラキエル)3(スキル強化系)

錬金ファウスト3(現象系)


属性系スキル

閃雷12

蒼炎3


現象系スキル

装甲・腕4

装甲・脚

錬成8

聖光2

念話2

分体3 特殊強化


身体強化系スキル

心眼2

武装術2

気功法3


思考補助系スキル

解析


身体変化系スキル

性別反転3

竜化3


ネタ系スキル

自爆Lv1、3、4、MAX



スキル解放条件

自分の持つスキルと同じスキルを持つ人間を五人視認する。(カウント3)

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