決闘の日曜日 その4
あー疲れた・・・
今回五回くらい書き直した結果こうなりました。気づいたら四時間考えてました。理由は後書きにて。
友達3「小説ってキャラ名考えるの難しいよね」
どうなんでしょうか?(主人公の名前二十秒で考えた人)
雨宮がキレた。さっきの雷撃の威力からして手加減は忘れてないようだが、スレスレの威力で攻撃してきそうだ。こりゃやっちまったか・・・?
というか木刀で胸突いた時点で普通勝敗決まるくね?どういうことだよ和也さん。
俺が冷や汗を流しつつ、審判である和也さんに心中で文句を言っていたら、再び雨宮が動き出した。
「ぶっと、べぇぇぇぇぇぇえええ!!」
雨宮は大声で叫びながら、大振りのパンチを俺の頭に向けて繰り出して来た。その威力は、見るからに今までとは比べ物にならない。
・・・あれはまともに喰らったら負ける!つかヤバい!!
「くっ・・・そが!」
俺は奥の手その二、『極ノ旗』を起動。補正の上がった『武装術』を使うことで、痺れた腕をどうにか動かし、最小限の動きで木刀を雨宮の拳との隙間に差し込んだ。
直後、腕にとてつもない衝撃を感じ、次の瞬間、
「っ・・・」
木刀が宙に舞い、雨宮の拳が俺の頬を掠めた。どうやら木刀に当たったお陰で回避に成功したようだ。
「今のうちに・・・」
フラフラしつつ俺はなんとか立ち上がり、一旦距離を取ろうと考えたが、
「よけるなぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
雨宮が間髪入れずに全力の蹴りを放ってきた。もう俺には避ける術はない。それでも必死に腕を交差し防御しようとしーー
景色が急に、前方へと流れて行った。
「・・・?」
何が起きたのか、理解することが出来ずに一瞬疑問に思い。
「がはっ!?」
俺は背中に強い衝撃を受け、地面にずり落ちた。
「ぐっ・・・あっ・・・・・・」
俺は恐らく蹴り飛ばされ、壁に当たって落下したのだろう。
んだよその馬鹿力・・・!チートだチート・・・って俺が言えたもんじゃないか。
身体の所々が痛く、壁に寄りかかったまま動けない。特に、酷使した上に雨宮の蹴りを受けた両腕がズキズキと激しく痛む。『聖光』を使いたくて仕方が無い。長袖だったから腕で受けることで雷が通らなかったのは不幸中の幸いか。
・・・一発でこれとか、嫌になる。
・・・もう、降参してしまおうか?現状見られて困らないスキルはほぼ使い切った。このままスキルを隠して戦えば、俺はほぼ確実に負けるだろう。
なら無駄な争いを避けて、降参するのが手っ取り早い。そもそもこんな争いに意味など無いのだから。
・・・俺の頭の冷静な部分が、そんなことを告げていた。ついでに言うと既にライマからも言われていた。
が、そんなことは知ったことではない。
俺は雨宮が気に入らない。強い力を持ってるからといって力に溺れているのが、まるで俺の望まない未来の姿のようで。
俺は雨宮が気に入らない。失敗を他人のせいにするから。それは俺も良くしてしまっていることだ。ただ、問題になっていないだけで。
俺は雨宮が気に入らない。キレてる癖にルールを守ってるあたり微妙に冷静な部分を残して、感情的になりきれていない・・・どこか必死になりきれていない所が。俺だって幼馴染二人が危険に晒された時、すぐさま殴りに行かず、ライマに確認を取っていた。
まあ土曜日は雨宮相手に冷静さぶっ飛んでたが、限度ってもんがある。
俺は雨宮が気に入らない。俺自身の嫌いな所をこれでもかと見せつけてくるから。それに最近黒歴史と化したばっかの奴をメインに。
・・・・・・本当は分かってたんだよ。最初から。心の底から気づかないフリしてただけなんだ。
俺が雨宮を嫌うのは、同族嫌悪なんだってことは。まあ、ライマの言ってた通りだな。
『マスター・・・』
・・・けど。こいつは直せるところがある。生来の性分は変えようが無いが、力に溺れている所は直せるだろう。
つまりだ・・・俺の嫌いな所を、直せるのに直さねーところが一番嫌なんだよ!
だから今回、無理矢理にでも直してやる!そのために俺はこいつと戦ってんだよぉ!!
俺は、そう結論付け、ありったけの怒りと決意を胸に秘め、雨宮を見据えた。
雨宮は荒々しく雷を纏い、興奮した様子で俺を睨んでいる。
そのまま、しばらく俺達は睨み合い、沈黙が続いた。
「・・・気に入らないわね。」
やがて、沈黙を破ったのは、雨宮だった。睨み合ってる間に少し落ち着いたのか語調はそこまで荒くない。
「あんた、まだ諦めてないでしょ。」
「はっ・・・・・・当然、だろ?」
雨宮の言葉に、俺はそう返しつつ、壁に寄りかかりつつも立ち上がる。
さっきから俺は『思考加速』を使い考えていた。雨宮に勝利する方法を。
まず、前提条件として、周囲にばれて構わないスキルは『心眼』、ライマの『索敵』、そして『武装術』だ。ぶっちゃけ今回こんだけ木刀を巧みに操ってりゃ特殊能力が無いとか信じられないだろう。だがまあそれは知らなかったという体で通せる。武器なんて持ったことないのは事実だからな。
だが、これ以上は見せてはいけない。一度、立川さんや坂口さんに俺の中に秘めた力がある、みたいなことを言われている以上、一つくらいスキルを追加で出してもいいかもしれないと思ったが、それではダメだ。と思う。
あくまで弱いスキルで、雨宮をぶちのめして鼻っ柱を叩き折ってやらなきゃならない。
俺が雨宮の立場で、相手がバトル中に覚醒して負けたりしたとして、それでも強くなったのはその相手だけだ。自分の強さは変わっていない訳で、その相手に対して強く言わなくなっても、他の大したスキルを持たない相手への振る舞いは変わらない可能性が高い。だからこの手は使えない。
「最初っから気に入らなかったのよ・・・あんたは。」
「奇遇だな・・・俺も、だよ。」
雨宮に言葉を返しつつ、思考を継続する。
次に、俺の出来ることの確認だ。
先程挙げたスキルの他に使えるのは、『思考加速』、『極ノ旗』、あと『気功法』。これくらいだ。『思考加速』と『極ノ旗』は既に使用している。『気功法』は・・・あ、回復も使えたなそういや。腕の痛みをある程度引かせる分には問題ないか。ただ、赤みが引くレベルでは回復させないよう気をつけないと。しかし、身体強化の方は少しバレる危険があるしあまり使えない。
なら他だ。木刀は手放してしまい、俺が吹っ飛んでしまったので、雨宮の方が近く、拾いに行けない。拳で直接殴るのは自殺行為、蹴りは隙が大きすぎる。
となれば武器は・・・一つしか無い。左腰に吊るしたハンドガン。これでどうにか反撃の機会を作るしか無いだろう。
「揚げ足取って責めてくるのも気に入らないし、雑魚なのに私と意見が合うことが多いし、何よりその目・・・なんか、超イラつく。」
「・・・・・・」
ある程度思考が纏まった所で、
揚げ足の部分はともかく、確かに意見が合うことは多かったかもしれない。何度か「こいつと同じこと考えてるとか嫌だなー」って思った記憶がある。
そして目、か。なんか理不尽だなおい。そう言われても俺は今鏡なんて見れないし・・・
・・・いや、分かった。雨宮の目だ。こいつ多分・・・俺と半分くらいは同じこと考えてる。
「なんだ、お前も気づいてたのかよ・・・」
分かってたのかよ。同族嫌悪だって。
「・・・分かってたわよ。けど、私が譲る理由は無いわ。」
「・・・・・・」
今の言葉で、もう半分は違うことを考えてると確信した。
こいつは・・・俺を排除することを考えている。
さすがに物理的な排除をする気は無いようだが、TFSPから俺を追い出したいんだろう。
同族嫌悪なら、その同族と離れればいい。だけど自分から離れるのは嫌だ。そう考えたから今の「譲る」という発言が出たのだろう。
どうやって俺を追い出すつもりなのかは知らないが・・・うん。
「お前さ・・・自分のしたことを、棚に上げてんじゃねぇよ・・・!」
いつまで上から目線でいるつもりだ・・・いつまで許して貰えると思ってんだ!!
しかし、雨宮の返事は変わらなかった。
「ふん、そんなこと知らないわよ。」
こ、こいつ・・・もういいや取り敢えずぶっ飛ばす!!
「・・・これ以上は痺れもとれそうね。そろそろ終わらせるわ。」
雨宮は、そう宣言し、再び動き始めた。今の俺との会話で冷静さをある程度取り戻したようで、その動きは俺を警戒したものだった。
左右に動きながら近づくことで、狙いの的を絞らせない。と、思っていたら、ある程度速度が付いた所で近くにあった障害物を利用して飛び回り始め、さらに狙いづらくする。
成程、俺が今使える武器がハンドガンのみだと分かっていて、こんな動きをしているんだろう。確かに、良い判断だ。
・・・近距離戦を狙ってなきゃなぁ!!
こんだけ飛び回ってても、俺の方に雷を飛ばすことくらい余裕で出来るはずだ。というか動かずとも俺は遠距離攻撃されるだけできつい。
なのに、こいつは俺に近づくことを狙っている。それはつまり、遠距離攻撃をする気が無いという事だ。最後まで舐めプをやめない、という事だ。
なら、お前は負けだ。俺の勝ちだ。
遠距離戦を想定していて勝ち目が見えなかったが・・・自信の表れなのかなんなのか知らんけど付け入る隙を与えてくれるなら好都合、全力で利用してやる!!
『極ノ旗』の効果は一時間半。余裕でまだ時間内だ。俺は自分の出来ることを再確認し、作戦を立てる。
・・・ライマ、頼みがある。
『・・・何でしょう。』
俺の前方、距離10m以内の位置に雨宮が来たら、合図してくれ。反応速度は、俺よりお前が上だ。
『・・・分かりました、マスター!マスターのサポートスキルとして、絶対に見逃しません!』
頼んだぜ。当てられなきゃそこで試合終了だ。
そして俺は冷静にライマの合図を待ち続けた。近づいてくる雨宮に焦りを感じつつ、いつでも動けるように心を無理やり落ち着かせる。
そして、その時が来た。
『今です!!』
ライマの声に反応し、俺は『思考加速』を発動。既に三度目の使用だが、まあ『極ノ旗』で負担軽減も強化されてるだろうし多分大丈夫だろ。
俺は、スローモーションになった世界で、左腰に吊り下げたハンドガンに、全力で左手を伸ばす。
そして手が触れた瞬間、『武装術』が起動、一瞬で熟練者のようにハンドガンをホルスターから引き抜く。
そして目の前、今まさに正面から立ち去ろうとしている雨宮の足へ向け、射線に入ったその瞬間に、引き金を引いた。
ハンドガンから銃弾が放たれ、それがスローモーションの世界でも明らかに速く動き、狙いを逸れることなく、雨宮の左ふくらはぎへ向かっていった。
そこで、『思考加速』が切れる。
その瞬間にパァン!という銃声が遅れて聞こえ。
「あがっ!?」
ふくらはぎに銃弾を受けた雨宮はその痛みにバランスを崩し、もんどりうって倒れ込んだ。
「う・・・・・・おおっ!!」
チャンスだ。俺は壁から離れ、全速力で木刀の方へと走る。
「っ、させない!!」
雨宮は、左足は痛みで動かしづらいようだが、右足で地面を蹴り充分速いスピードで追いすがって来る。このままなら俺が木刀にたどり着く前に追いつかれるだろう。
・・・狙い通りだ。
『心眼』は、近い範囲なら周囲の状況を見ずとも把握出来る。雨宮が踏ん張りの効く右足で地面を踏み締め、こちらへ加速した瞬間を狙い、俺はその場で急停止し、銃を捨て、体ごと雨宮の方へ向き直る。
「なっ!?」
いきなり俺が止まったことに雨宮は意表を突かれ、判断が鈍る。止まるべきか、攻撃すべきか戸惑ったんだろう。
それが命取りだ。
俺は『気功法』を使用生命力10パー、持続十秒で発動させる。少しくらいなら火事場の馬鹿力が出たと認識されるだろうと今は決めつける。
そして、俺は何も纏ってない素の拳で。雷を纏ったままの雨宮に。
「うおおぉぉぉぉぉぉぉおおお!!」
「しまっ・・・」
全力の右ストレートを顔面に向け、放った。雨宮は加速した直後で止まれず、判断も鈍っている。当然避けれる筈がない。
俺の拳は雨宮の顔面を確かに捉え、『気功法』『武装術』の威力に加え、雨宮自身の加速を余すことなく伝え、雨宮の体を強く吹き飛ばした。
そのまま雨宮は地面に倒れ込む。はは、鼻血出してやがるぜ。
しかし、俺も素手で殴った代償を受けた。
「ぐっ・・・・・・うっ・・・」
俺は雷に触れたことで、全身に更なるダメージが入った。力が入らず、コンクリートの地面に倒れ込む。くっそあいつ、制御ミスったな?威力がさっきより高い。
『マスター!なんて無茶を・・・』
『捨て身過ぎるぞ・・・!他にも方法はあっただろう?』
あはは・・・すまん。でも、どうしてもこの手でぶん殴りたくてな・・・
それと仁美、お前はほぼ何も喋って無かったんだから何も言う権利ねーぞ。そもそも俺の行動に一番お前が納得してる筈だろ?
『それはそうだが・・・分体という別の存在として言わせてもらう。今回は命の危険が無かったからいいが、これを実戦で絶対にやるなよ?感情論はどうしようもなくなってからにしてくれ。』
『私からも、お願いします。マスター。』
分かったよ・・・気をつける。
「・・・・・・あんた・・・バカでしょ。」
雨宮の声が聞こえてくる。ちっ、あの威力のパンチくらって気絶してねーのかよ。つくづく反則みたいにつえーな『雷神』。
「あぁ・・・?誰が、バカだ、こんちくしょー・・・」
俺はもう疲れて声にも元気が無い。動ける気もしない。こりゃ負けたかな・・・?
「・・・・・・」
雨宮は、それに対して何も答えなかった。どういうことか疑問に思ったが、どうやら俺は割と限界のようだった。
急に瞼が落ち始め、抗うことが出来ずに、俺は意識を手放した。
おまけというかなんというか
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〔今回はどうすべきか本当に迷いました・・・〕
「なんでだ?お前日曜日始めた時点である程度どう書くか決めてたじゃねえか。」
〔・・・前話を投稿してから感想を見てるうちに、「竜化解禁で覚醒(っぽい演出)ルート」が思い浮かんでしまい・・・そのまま今後の展開まで思いついてしまったんです。〕
「そ、そうか・・・ならそっちに変えれば良かったんじゃ?」
〔でも元のルートと新ルートがどちらも捨て難く、元のルートの方が今後の展開をより先まで考えていて、何より元のルートは雨宮を出した時点からある程度構想していたものだったんです。〕
「思い入れと今後を考えて元のルートにした、と。」
〔そういうことです。そんな訳で覚醒(っぽい演出)を期待していた人はごめんなさい!多分ifルートで書きます!〕
「お前そんな宣言して大丈夫かよ・・・」
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スキル一覧です。
名持ちスキル
賢神3(思考補助系)
覇王2(身体強化、妨害系)
極ノ旗3(スキル強化系)
錬金3(現象系)
属性系スキル
閃雷12
蒼炎3
現象系スキル
装甲・腕4
装甲・脚
錬成8
聖光2
念話2
分体3 特殊強化
身体強化系スキル
心眼2
武装術2
気功法3
思考補助系スキル
解析
身体変化系スキル
性別反転3
竜化3
ネタ系スキル
自爆Lv1、3、4、MAX
スキル解放条件
自分の持つスキルと同じスキルを持つ人間を五人視認する。(カウント3)