決闘の日曜日 その3
今回は二話連投です。これは二話目です。
ようやくバトルシーンです。長かった・・・
あとウサギさん、範囲攻撃やめて?Sランク取れなくなりますから。
始まりの合図の直後、雨宮がいきなりバックステップで大きく距離を取った。
もしや初っ端から遠距離攻撃か!?と思ったがどうやら違うようだ。すぐにこちらにダッシュし、飛び上がり、
「ってドロップキックかよ!?」
あの時程では無いがかなりの速さのドロップキックが飛んできた。俺は軌道を見極め、少し大きく右に避ける。
雨宮のは俺のいた所を高速で通り過ぎ、割とすぐ後ろにあった建物の壁にズダン!と音を立てて着地し、地面に降り立つ。
「本当になんで私のドロップキックが避けれるのよ・・・意味わかんない。」
雨宮は忌々しげにそう言う。
「目はいいんでな。」
俺はそう言うと雨宮の方へ走り始めた。危ないが接近戦しか勝ち目が薄いからなぁ・・・
「へぇ、私に接近戦を挑むのね?いい度胸じゃない!」
雨宮も俺が接近戦を狙ってるのに気づいたようで、こっちに向かってきた。
「せいっ!」
俺は雨宮が木刀の間合いに入る直前に、木刀を左から右に振り抜く。
しかし雨宮は停止し、後ろに軽く身を引くだけで余裕を持って回避する。狙い通りだ。
「そんなの当たらな」
「ふっ!」
何か雨宮が言いかけたが無視し、今度は一歩踏み込み、本気で木刀を振り上げる。
「危なっ!?」
ちっ、躱されたか。が、体制は崩れた、俺は振り上げた木刀を勢いを殺さないように動かし、振り下ろしを行う。
「ちっ!」
雨宮は舌打ちしつつも、横に転がり振り下ろしを避けた。俺の木刀は虚しく地面を叩く。くっそ、あの体勢でこんだけ動けんのかよ!
俺はすぐに木刀を引き戻し、雨宮の方に向き直る。雨宮は既に立ち上がってこちらを睨んでいた。
「よく今のを避けれたな?当たると思ったのに。」
今俺が行ったのは、単純なフェイントだ。軽く振って避けさせ足を止め、本気で追撃する、それだけのものだ。ここまでうまく引っかかるとは思ってなかったが。
だが、驚く程見事に引っかかったのに、避けられてしまった。というか後ろにぐらついてたのにどうやって横に転がったんだよ。
「運動神経には自信があるもの。」
雨宮はさっきの俺みたいに素っ気なく言うと、再びこちらへ向かって来る。俺も接近戦してくれるなら好都合と接近する。
そして今度は木刀の間合いに入ると同時に大きく踏み込み、左下から右上へと強く振り上げる。
これでフェイントだと思ってくれれば跳ね除けようとして強くヒットするかと思ったのだが、流石に引っかからなかったようで、横にズレて避け、所謂ヤクザキックを放ってくる。俺は木刀を頑張って引き戻し、蹴りを受け止める。
「ぐっ・・・」
女子の蹴りとは思えないほど強い衝撃が腕にかかるが、直撃は避けた。俺は蹴りの衝撃を利用し後ろに飛び少し距離をとる。
雨宮はこれをチャンスと見たようで、続けて追撃してくる。
そこからしばらく接近戦が続いた。
雨宮は型もへったくれもないパンチやキックを繰り出してくる。が、『雷神』の効果でその威力、スピードは半端じゃない。
俺は『心眼』で軌道を見切り、『武装術』を使って木刀で受け流すなどしてそれらを防御し、隙あらば雨宮へ攻撃する。しかし・・・
「・・・くっそ、雷うぜぇ!!」
現状、俺が不利だ。なんせ雨宮は常に体に雷を纏っている。直接触れたら、いや、纏った雷に触れたらそこで動きが止まり、ゲームオーバーだ。
そのため雨宮の攻撃は大きく避ける必要があり、防御する時もうまく木刀で受けなければアウトだ。
恥も外聞もなくゴム手袋でも装備しとけば良かったか?そしたら格闘攻撃も選択肢に入れられたのに。
『・・・別に蹴りなら今も使えるのでは?』
そうだけど片足上げる必要性があるから失敗した時のリスクが大きいんだよ!それに『武装術』にもどうやら弱点があるみたいだ。
なんと一度に一種類の武器にしか対応していないようなのだ。木刀の使い方はめっちゃ上手くなってるが、木刀に『武装術』を使っている限り体術は上手くならない。そして念じただけでは『武装術』の対象を切り替えることが無理みたいだ。多分木刀を手離す必要がある。
『武装術』にこんな弱点があるとは思わんかったぞ畜生っ!
「ほらどうしたのよ、攻撃してこないの?」
しかも雨宮はとりあえず攻撃が当たれば勝ちだと理解したようで、攻撃がパワー重視からスピード重視へとシフトしている。そのせいで俺は守勢に回ることになり、攻撃の隙が見いだせなくなっている。
「ぬっ・・・ぐっ・・・こなくそっ」
「喋る余裕も無いの?やっぱり雑魚じゃない!」
「うるせーっ!」
だぁあその通りだから反論すら満足に出来ねー!一単語ぐらいしか喋れん!
『気功法』使えばどうにか・・・いや、観戦者が多くいる以上、使ったらバレる可能性がある!
しょうがない・・・奥の手その1だ!
ライマ!『思考加速』!!
『了解です!』
瞬間、世界がスローモーションになる。雨宮が左手で繰り出したパンチも、蚊が止まるレベルで遅くなる。
はー・・・これ本当に反則級に強いよなぁ。しかも実際のスピードに影響は無いからバレる可能性も低い。
とはいえ連発は出来ない。明らかに動きが良くなったことに気づかれるし、何よりさっき車の中でライマに注意された。
『思考の加速は本来、人間の脳に大きな負担を与えます。スキルの補助によって負担は軽減されてはいますが・・・あまり使いすぎると廃人になる可能性があります。』
って言われた。廃人になるとか、怖くて連発したくても出来んわ。
『それが賢明です。特に今回は多くのスキルを縛ってます。その上で『思考加速』を連発するなど、本末転倒ですからね。』
そりゃな・・・っと、あんまり長く話してる訳にもいかん。こうしてる間にも少しずつパンチは近づいてきてる。
俺は腕に力を込め、木刀を動かしていく。
雨宮のパンチが狙っているのは、俺の右脇腹。
俺の木刀はやや左上を向いている。
平常時なら躱すが、それでは埒が明かない。しかし普通に受けるのは間に合わない。
ならどうするか?ぶっつけ本番だが、やってやらぁ!
俺は木刀を左上に向けたまま、木刀を握った両拳を雨宮のパンチに向けて振り下ろす。
そう言えばこの木刀、握り部分に滑り止めの布が巻かれてるんだが、その握り部分が割と長い。そのため、俺が両手で持っても余る部分が出てくる。
そう、柄とかな。あとは分かるだろう?
俺は雨宮の拳を、木刀の柄で叩き落とした。その顔が驚愕に染まる、その前に。
俺は木刀を腰だめに構え、切っ先を雨宮に向け。
「っっらぁ!」
全力の突きを放った。
雨宮は防御も出来ず、木刀の切っ先が雨宮の胸の上に当たりーー
同時に、思考加速が終わった。
瞬間、世界の速度が戻り、腕に強い手応えがあった後。
ドウッ、という鈍い音と共に雨宮が吹き飛んだ。
「っしゃあ!」
思わず俺はガッツポーズをとる。よっしゃー!遂に雨宮を思いっきりぶちのめせたぞコラーー!
・・・と、思ったのだが様子がおかしい。
雨宮はそのまま地面を受身も取らずに転がり、仰向けに倒れた状態で停止した。そのまま微動だにせず、起き上がらない。
「・・・・・・え?」
熱くなっていた頭が急激に冷える。
・・・やっちゃった?『雷神』で身体能力強化されてるから本気でもヤバいことにはならんだろうと思ったんだが・・・
俺が動かない雨宮を見て不安になり、状態を確認しようと雨宮に駆け寄ろうとし・・・警戒が薄れた。
『っ!マスター!!』
「え?」
ライマの警告を聞き、その意味を理解する前に。体中に痛みが走った。
「がっ・・・!?」
俺はまともに立っていられず、膝を付く。
視界がチカチカする。筋肉が痙攣し、命令通りに動かない。
くっそこれ、確実に、雨宮の電撃だろ・・・!ってことは・・・!
「よくも、やってくれたわね・・・・・・」
俺の予想を裏付けるように、雨宮が、ゆっくりと起き上がる。俺の突きは確かに大きなダメージを与えたようで、顔を俯かせ、胸元を片手で抑えている。が、その足取りは大して揺らいでいない。
「地味野郎の分際で・・・・・・この、私に・・・」
先ほどより荒々しくバチバチと音を立てる雷を纏い、俺に少しずつ近づいてくる。
俺はまともに動けない。体の所々が痺れ、力が入らないのだ。
「攻撃を、当てるなんて・・・・・・」
やがて、雨宮は俺のすぐ近くへと辿り着いた。そこで俯いた雨宮の顔を下から見上げる形になり、目が、会った。
雨宮の目は、憤怒に染まっていた。
おまけ
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前回のおまけで言ってた掲示板
最初
『雨宮のドロップキック躱すのか』
『目はいいからな(キリッ)』
『能力が視力強化系らしいな』
中盤
『待って新人の木刀さばきがヤバい』
『あの雨宮から一撃も貰ってないとかおかしいだろ』
『ごめん速くて見えぬ』
『↑それな』
『所詮我らは非戦闘員さ・・・』
突きが決まった時
『は?』
『は?』
『何が起きたし』
『説明しよう!新人は雨宮のパンチを木刀の柄で叩き落とし、そのまま流れるように突きを行ったのだ!』
『↑サンキューってか見えてたの?』
『マジで?』
『人間技じゃなくね・・・?』
『てか雨宮動いてないぞ』
『まさか・・・?』
この話終盤
『やられた振りとか汚い流石雨宮汚い』
『うわーまともに雷くらったか、これは勝負あったな。』
『雨宮ガチギレしてるんですけど・・・怖っ。』
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スキル一覧です。
名持ちスキル
賢神3(思考補助系)
覇王2(身体強化、妨害系)
極ノ旗3(スキル強化系)
錬金3(現象系)
属性系スキル
閃雷12
蒼炎3
現象系スキル
装甲・腕4
装甲・脚
錬成8
聖光2
念話2
分体3 特殊強化
身体強化系スキル
心眼2
武装術2
気功法3
思考補助系スキル
解析
身体変化系スキル
性別反転3
竜化3
ネタ系スキル
自爆Lv1、3、4、MAX
スキル解放条件
自分の持つスキルと同じスキルを持つ人間を五人視認する。(カウント3)