スキルの解放
最初なので3話連投します。2話目です。
スキルを取得することを決めたがそういえばこの話しかけてくるスキルの名前ってなんだったっけか。
『私の名前は『ライマ』と申します。以後、お見知り置きを』
おう、よろしく。しかし、なんでそんな名前なんだ?スキルなのに。
『何処かの神の名前を参考にして作られたようです。神の名前を冠するスキルは効果が強力な物が多いです』
なるほどねぇ。ちょっとググってみたらどっかの人々の信仰する神様の名前だった。運命神らしい。
そんでライマ。お前が持つ機能を全部教えて貰えるか?
『了解しました。私の能力は大まかに分けてマスターを補助する物と、マスターの体を代わりに操作する物、そして他のスキルの解放条件と名称と効果を把握する物があります』
ええと⋯⋯他のスキルがないからわからんけどこれ、強いんじゃね?前回言った時計機能とかは最初のに入るんだろう。だが最後のが多分やばい。そういえばさっきから気になってたんだがスキルの解放ってどういうこと?
『マスターはスキルを取得するものと考えておられるようですが、スキルというものは、マスターのよく知るラノベのように行動をトリガーとし、その行動に関係するものを取得する、という形式ではありません』
そうなの?剣道やってる人が『剣術』持ってるとかそういうのじゃないってこと?
『そういうことです。スキルというものは解放条件を満たすことで順番に解放されていくものなのです。解放条件というのは個人でそれぞれ異なり、通常把握することは出来ません。しかも、その時に体に影響があるスキルでない限りはスキルを解放したという自覚を得ることは難しいのです』
ゲームと違ってメッセージがない感じか。そう考えるとライマはかなりチートなスキルなんだな。
『お褒めに与り、光栄です』
どういたしまして。そういえばライマの解放条件ってのは?
『後頭部と左手の小指に同時にある程度の衝撃を受けることです』
ええ⋯⋯なんてピンポイントな。しかし、朝は不幸だと思ったが今考えると幸運だな。そうだ、次のスキルの解放条件条件は?
『少々お待ちください⋯⋯えっ』
何故か驚いたような声を出すライマ。ってかそんな声を初めて聞いた。
一体どうしたんだ?無理難題とかだったか?
『⋯⋯次のスキルの解放条件は、『このスキルの解放条件を把握すること』でした』
・・・は?
『つまりこの瞬間、マスターはスキルを新しく解放したのです』
まじすかああああああああああああ!?
こうして俺はいとも容易く二つ目のスキルを手に入れてしまった。
――――――――――――
そんでもってライマからスキルについて聞いてみる。
『報告します。今回マスターが得たスキルの名称は『閃雷』です』
何そのちょっとカッコイイ名前のスキルは。効果は?
『緑色の雷を纏い自由に操ることが出来ます。放出したり目の届く範囲に瞬間移動したり落雷を起こしたり出来ます』
何それカッコイイ。常人が喰らったらどうなるのそれ?
『威力も調整可能なので家庭電流レベルから即死レベルまで自由に調節可能です』
それはまた便利な⋯⋯ってか家庭電流レベルってことは何?閃雷で家電動かせるってこと?
『その通りです。』
何だそれ家計に優しい。でもあんまやるつもりはないけど。面倒くさそう。まあ試してみないと分からんだろうし、試してみるか。
俺は部屋のそれなりに広いところに移動し閃雷の発動を意識してみた。それで発動するらしい。するとすぐに全身を緑色の雷が纏い始め、バチバチと音を立てる。
何か形容しがたいなこの気分は。しかし放出は危ないので試さない。操れると言っていたので手に意識を集中してみることにした。すると手の平に全身の雷が移動し緑色の雷の玉が出来た。
「おおー、すっげー⋯⋯」
俺はまさにスキルって感じの『閃雷』に興奮していた。体全体に戻そうと思うと簡単に戻すことが出来た。イメージだけで簡単に操作可能みたいだな。
そして今度は瞬間移動を試してみる。俺はベランダに出ると隣のスーパーの屋上を見て、そこに意識を集中させる。すると――――――
ズガーン!
「あ⋯⋯」
間違って落雷をスーパーの屋上に起こしてしまった。なお、本日は快晴である。もう一度言おう、快晴である。どうやって雷落としたんだよ。
「やっべぇ⋯⋯見られたら騒ぎになること間違いなしだろこれ⋯⋯」
それで俺の能力がバレたりするんじゃ⋯⋯
『安心してくださいマスター。今の落雷とマスターを結びつけることはとても困難です。問題ありません』
なんかそれフラグな気もするが⋯⋯まあ、確かにライマの言う通りバレることはほぼ無いだろう。うちのベランダは周りから見えづらいし。
ちなみに瞬間移動の方法は移動したい方に全身を雷ごと動かすイメージで出来るそうだ。次から気をつけよう。
とりあえず今日はもう寝よう。スキルが使えて満足した俺は布団を被りさっさと寝たのであった。
⋯⋯この時の俺はスキルを得たことで厄介事に巻き込まれるなど、一切考えていなかったのだ。
『⋯⋯マスター、何ですかそのモノローグは?』
ノリだよ!突っ込むな!
※追記:07/19 07:37 誤った表現を修正しました。ご指摘ありがとうございます。