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現実にもスキルがあったなら。  作者: 高一の勇者
第一章:始まりの非日常
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始まり

もう一つの作品があまりに上手く書けなかったもので、息抜きとして別作品を書きました。読んでいただければ幸いです。

俺の名は大葉隆二おおばりゅうじ。高校一年生になったばかりの15歳だ。部活はテニスをやっている。また、俺自身はオタクではないのだがたまに友達に勧められるラノベを読んだりアニメを見たりすることもある。お陰でオタク知識はそれなりに身についてしまった。家は一人暮らしだ。両親は幼い頃に亡くなっており叔母に引き取られ、そして高校生になって何故か一人暮らしを経験してこいとマンションに引っ越させられた。

⋯⋯うん、ちゃんと自分のことについて思い出せるな。なんか思い出せない物があるとかも無い。どうやら脳に取り返しのつかない深刻なダメージは無いようだ。では、一体――


『どうされました? マスター』


この幻聴は何なのだろうか。


――――――――――――


事の発端は今日の朝。まず、いつもは朝練があるから早めに起きているのだが今日に限って少し寝坊してしまったのだ。


「やべっ、コーチに怒られる!」


ドタバタと準備をし菓子パンで朝食を済ませて玄関を出る。そのまま猛ダッシュで廊下を走る。俺の家は4階にあり、下に行くには階段かエレベーターを使わなければならない。そして急いだ場合早く下に着くのは階段であった。

当然、俺は階段を駆け下りる。そして3階、2階と降りたその瞬間。


「うおっ!?」


足を引っ掛けて一瞬浮遊感に襲われ、そして、


「うごっ!!」


変な体勢で落下し、全身を、特に左手と頭を思い切り強打した。


「いっ……づ〜……」


どうやら酷い怪我は負っていないようで、俺はすぐに起き上がれた。体は痛むが、動くぶんには問題無い。そこまでは、何も問題は無かったのだ。


『――――――――解放条件達成を確認。初めまして、マスター。私はライマと申します。以後、マスターのサポートをさせて頂きます。』

「……は?」


そんな女性の声が聞こえてくるまでは。


――――――――――――



以上。回想終わり。今は取り敢えず自分の家に戻っている。『怪我をしている可能性がありますので落ち着いて確認した方がいいでしょう』とか言われ、幻聴だが正論だったので家に戻ってきたところである。

そこで我に帰り幻聴聞こえるとか俺の頭大丈夫か? と思って冒頭の自己紹介へ戻る。


『私は幻聴ではありません。それより、怪我の確認が先です。先程から左手の小指が痛そうなそぶりをしていますが、大丈夫ですか?』


幻聴っての否定しよったコイツ。んで小指だっけ? うん、すげぇ痛い。後頭部も痛いしタンコブ出来てるが小指程じゃない。つか小指めっちゃ腫れてる。


『……最低でも打撲ですね。一度診て貰った方が良いでしょう』


……正論なので従っておく。俺は近くにある診療所へと向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



結果、小指は罅が入っていた。なんてこったい……後頭部は大したことはないそうだ。じゃあなんで幻聴が聞こえるんですかねぇ?


『私は幻聴ではありません。スキルです』


いやスキルて何だよ。ラノベじゃねぇんだから。あ、あれか? 俺がそういったスキルみたいなの欲しいなーって思ったから? だからこんな幻聴聞こえるの? あー……思わなかったと言ったら嘘になるな。

俺自身はオタクではないのだがたまに友達に勧められるラノベを読んだりアニメを見たりすることもある。お陰でオタク知識はそれなりに身についてしまった。その中にこういう会話出来るサポート系スキルってのがあったからなー……


ちなみに学校は休むことにした。小指にギプスは付けて貰ったが今日はゆっくり休んだ方がいいって言われたし。

そんな訳で学校に連絡を入れ、家でゴロゴロしていたのだが……暇だ。スマホアプリは……メンテ中かよちくしょう。ゲームは今持ってるのは一人でやる分には大体やり尽くしたし、漫画は読み飽きた。


「なんか面白いことねーかなぁ……」

『マスター、ならばスキルを解放してみてはいかがでしょう』

「うおっ!? びっくりした!」


まだ聞こえてくるよ幻聴コイツ。つーかスキルの解放って、意味わからん。もうちょいましな幻聴聞かせろ。さっきの正論みたいなの。


『マスターは先程からスキルの存在を信じておられない様子ですが、今マスターに話しかけている私もマスターのスキルです。故に、スキルは存在すると証明出来ます』


いやいやお前がスキルだという証拠がねぇよ。ぜったい幻聴だって。よし決めた、一回無理矢理寝てしまおう。きちんと休めば幻聴も治るかもしれん。


『マスターがお休みになられるのなら邪魔をする訳には行きません。それではお休みなさい』


邪魔をしてこないとは思ってなかったが邪魔しないのならその方がいい。俺は布団を被り目を瞑り横になると思ったよりも早く眠気がやってきて寝てしまった。



――――――――――――



そして俺は目が覚めた。どのくらい寝ていたのだろう。結構長く寝ていた気がするけど。


『おはようございますマスター。マスターは6時間ほど眠っておられました。現在時刻は19時3分です』


うわ幻聴治ってなかった。まさか一生付き合っていかにゃならんのか? とりあえず近くに投げ出してたスマホを手に取り電源を付ける。時刻は幻聴の言う通り19時3分だった。


「……ん?」


ちょっと待てよ? 俺が今の時間が分かってないのに幻聴はぴったり言い当てたって、おかしくね? いやいや、偶然だろ、偶然。


『偶然ではありません。私には時計機能が搭載されていますので。他にもスケジュール管理機能や索敵機能、身体動作代行権限なども搭載しております。』


前半はスマホのアプリかよ! そんで後半二つはなんの役に立つんだよ! 身体動作代行権限ってなんだよ! なんかすっごい気になるわ!


『試してみると分かりやすいと思われます。マスター、今自分がしたくない事でやらなければならないことなどはありますか?』


あかん、幻聴さんが調子に乗り始めた。まあでもこれで何か起きたりもしないだろうしやってみよ。とりあえずもう夜だし飯作らないといけないな。


『了解しました。身体動作代行権限の使用許可を頂けますか?』


はいはい、許可許可。


『許可を頂いたのでこれよりマスターの身体を借り、料理を作らせて頂きます』


あー身体動作代行機能ってそういう。まあ何か起こるわけもない……し……

あれれー?なんで俺の体は勝手に起き上がってるのかな?

んでなんでキッチンに勝手に移動してんのかなー?

そしてなんでこんな鮮やかな手つきで料理してんのかなー?

それとなんで俺の知らない料理が出来上がってんのかなー?

あとなんで止めようとしても止まらないんですかねー?


『マスター、料理が完成致しました。どうぞお召し上がりください』


アッハイ。体の自由が帰ってきた俺は既に半ば思考を放棄しつつ料理を口にする。


「!?」


めちゃくちゃ美味い。俺は勢いよく貪り食い、気づくと料理はなくなっていた。


『どうでしょうマスター。これで私が存在することを認めて貰えたでしょうか』


……もうここまでやられては認めざるを得ない。コイツは実在するスキルらしい。

あ、なんかそれを実感すると嬉しくなってきた。例の友達が「スキルとか魔法とか現実にあったら良かったのになぁ〜」と言っていた気持ちが今ならよく分かる。こういった便利なスキルが他にもあるならとても欲しい。


なあ、さっきスキルの解放と言っていたよな。ってことは他にもスキルはあるんだろ?


『はい。存在します』


よし分かった。明日からは土日だから2日は休みだ。その間に取れるだけスキルを取ってみるか!


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