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2456戦記  作者: SSS
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【訓練…特訓…その方法】

目が覚める。まだ眠い。よし、寝よう。


『ザッコさん、おはようございます』

『ん、おやすみ』



『え、寝るんですか』

ちぇっ


『冗談だよ冗談…おっ、何だ誘ってんのか』


タオルで頭を拭きながら上半身裸の美少年が俺を誘っているようだ。

『そんな趣味はありませんから』『そうか、残念だ』



俺的にはどっちでもいけるほうだが、まあ、今は関係ないか。


『なんでそんな格好なんだ?』

『朝の走りこみとトレーニングですよ』

『上裸でか』

『シャワーを浴びただけです』『だよな』


どう見ても上半身裸で走って興奮するタイプには見えないからな。


『…と言うことは、訓練は終わりってこと』『ではありませんよ。これは日課ですから』



『さすがエースさんは常日頃の心がけが違いますねぇ。俺なんて最近より少し前から腹が出てきましたよっと』


おどけながら自分の腹をポンポンと叩いてみる。


『それでもあなたは強いとキングさんが言っていました』

『昔の話しだろう、旦那と会ったのは随分前だからな…まあ、約束は約束だから訓練つきやってやるけど…俺は、やり口がきたねーぞ』




渋々着替えて、宿の裏にある広間にとりあえず出る。


『じゃあ、とりあえず様子みたいからかかって来いよ。ああ、反撃するから気をつけろよ』


小さな身体がさらに小さく見えるようなしっかりした構え。綺麗なもんだ。


『どうした、いつでもいいぞぉ』

スッと懐に入ってこようとするがさせねぇ。前蹴りで正面の最短距離をとりあえず潰してやる。

左から来るかな、足をすぐに引き戻して…


エルは後ろに座り込みながら避ける。


『随分といい反応だな』『…危ないじゃないですか刃物なんて』


ん?あれ。俺なんか変なことしたか。訓練だろう。

心底不思議そうな顔でもしてたんだろうか、エルも不思議そうな顔をしている。


気になったのでとりあえず聞いてみる。


『訓練だよな』『訓練ですよ』

『だよな』『そうです』

『訓練だもんな』『そうですよ、訓練ですから』


『『じゃあ』』

『刃物位いいよな』『刃物は駄目でしょう』


『『ん?』』


いやいや、訓練でしょうが、実際に役に立たないのは駄目じゃないか。


『エルさんよ、訓練は実戦の為にあるだろう。こんな足場もよくて戦える場所がどんだけあると思う。刃物は駄目って、銃使わないだけでもぬるぬるぬるいのに』


ぬるぬるとかエロいな、いい響きだ。


『…そうそう、格闘技みたいなルールある場所でチャンピオンでも目指すのエース君』



『それは…そうですが…』

『そうだろう。相手が命を狙わずに本気で捕まえてくれるわけないじゃん。お互い1つの命賭けてんだから。勝った方の総取りだろう』



『………』


黙り込むエルがより小さく見える。

『ロボに乗ってたって俺達は人の命を喰らって生きてるんだからな』


めんどくさいな、非常にめんどくさい。そろそろ、こんな茶番は終わりでもいいだろう。


『…お願いします。ザッコさんのやり方で訓練をお願いします』

ああ、一番めんどくさいところに方向が向かったぁうぁぁぁぁぃ


『いや、エルさんよ。俺が言い過ぎたようだ。俺みたいなもんが命のやり取りを語るとはいやいや、前線で戦えるエルさんに失礼ってもんだ。刃物無しで訓練を』『いや、ザッコさんの言われる通りです。幸い今のところ身体1つで争うことが無かった。それでもこれからも無いとは言えない。お願いします』


なんか人が違うみたいだな…「あっ、はい。そうですね」くらいの感じでいいんだけど。急に熱が入ったみたいで調子狂うわ。


『…じゃあ、やる?』『はい』

『…様子を見たいから始めは刃物無しでいい』『はい』



『じゃあ、』


足元の土をエルの顔に投げつけるが土が顔に届く事は無くその頭は俺の腰の辺り、俺の片足がフッと軽く感じる。

自ら地面を転がり距離をとろうとするがエルの踵が上から影を落す。

背中を丸めながら軸足にしがみつくように前へ、捕まえた。


全身で押さえつける、マウントポジションってやつだ。俺達の体格差ではいまのルールでは抜け出せないだろう。


『こんな感じだ。踵落しじゃなくて前蹴りで正面からぶち抜けばよかったのに』

『なるほど…ではもう一度』『いや、動きがとてもいいのは解ったから。刃物は使えるのかい』

『いえ、銃の訓練はKQ団でもしますが、近接戦闘は無手だけです』

まあ、前線でロボ壊れたら、ほぼ生きていられないからな、わざわざやらんでもってとこか。


ん?

『ひょっとして、刃物持ってない』

『はい、持っていませんね』



『買いに行くか。自分手に合うほうがいいからね。戦闘で使わなくても便利だし』




ブラブラしながら少し話しをする。

驚いた事にKQ団には戦闘以外にもサポートメンバーが豊富で食事や野営、買出しなどの斑があり。戦闘員は戦闘に集中できるようになっているとのこと。


『じゃあ、テント張ったり。火を熾して山菜や動物焼いて食べたりした事ないの』

『はい…ありません』


『ふーん、そうなんだ』


時間を追うごとにエル少年の口数は減っていく。気まずいわけでもないが暇ではある。




とりあえず店について一安心。


中には銃などが並んでいる。

『こんちゃーっす。ナイフとか扱ってる。あったら見せてほしいんだけど』


『はいはい、そんなにないけどいいかね』

『頼むわ。とはいっても使うのはこちらのエース様だけどな』『…すいません』


『大丈夫かい、随分と気が弱そうだけど』

心配そうにエル少年を見る店主の気持ちも解る気がする。時間経過とともにおどおどした感じが増えていく。


『まあ、身体はしっかりしてるし。結構強いから大丈夫だと、思うぞ』

『へー、人は見かけによらんってこったね』


店主は大小数種類のナイフを出してくれた、一番大きい物は鉈ぐらいもある。



『とにかく手に取ってみ、何本か持ってたほうがいいしな』


いちいち手に取るたびに店主に「すいません、すいません」って断りを入れながらエル少年は全部を触ってみていた。


『ほへー』

そのチョイスにちょっと驚く。一番でかい鉈ぐらいのやつと手の平に隠れる位のサイズを2本、あとはよくある刃が厚めサバイバルナイフをチョイスした。

おどおどしてはいるがかなり実戦向きな選択、やる気満々だな。


『…あの、お幾らでしょうか』


『ああ、ちょっと待ってな…これだけ買ってくれるならこんなもんでどうだい』

店主が紙にさらさら書いた金額はなかなかお買い得価格だ。

エル少年が俺をちらちら見る…こいつ、俺に気があるなってのは冗談だが。


『いいのかこんなサービスしちゃって』

『あんたみたいなのと一緒ってことはキャンプで使うんじゃないんだろう。こんな小さな子が戦場出るんだ、こいつらでしっかり命守ってほしいからな』

『こいつで命を奪うって事だぜ』

『俺は人殺しの道具売ってんだ、きれいごとはいわねーよ。でもな、俺が顔見た人間には生きててほしいとは思うぜ』


「平和になったって飯の種はあるから、平和がいいけどな」なんて甘いこと言いながら店の奥に言って缶コーヒーを2本出してくれる。


エル少年は店を出るまでペコペコ頭を下げまくっていた。



ちょっとした広間に座って、もらった缶コーヒーを開けて飲む。


『儲かったな。かなり得したぜ』

『そうですね…』


『…ザッコさん、なんで戦うんですかね』

『なんでだろうな。戦わないで俺を甘やかしてくれる女がいれば最高なんだがな』

『いろんな人が死んでしまっていますよね』

『だな、何にもしてないのに死んじまう人もいるし。何にもしてねーから死んじまう人もいるし。意外と争いたいやつは生きてたりすんだよな』


『どうしたら、終るんでしょう』

『しらねーな。思いつかねーし、考えようともおもわねーな。俺は戦場で死にたいからな、俺が死ぬまでは戦争やっててもらわねーと、困るわ…』


口に広がる鉄の香り、おいおい、不意打ちひどくないか。



拳を握り俺の横に立つ人物は堂々としていた。


『本当にそれで良いと思っているんですか』

『じゃあ、お前がやれよ。エース様がこの世から戦争を消し去ってやればいいだろうがぁ』


お返しにエルの腹を蹴る。


『やってやりますよ。ロボに乗った僕ならできる』

『ああ、そうかい。勝手にやんな。出来るもんならな、言うだけなら赤ん坊にも出来るぜ、ばぶばぶぅってな』


ただ黙って俺を真っ直ぐに見据えるこの馬鹿の相手なんかしてられるか。


『お前のはそういう感じのWか…めんどくせいな。1つだけ言っとくぞ、特別機できるまで大人しくしてるんだな、戦争を消し去るんだろう、はっ頑張れ、頑張れ。期限来たらババアのとこで合おうぜ。あの宿は1人で使いな。またいきなり殴られちゃかなわねぇからな。あばよ』


さてと、ジェシカ泊めてくれんかなぁ。


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