【言葉が伝わるんじゃない、心が伝わるんだ】
僕の目の前には一部のパーツを外された僕のKタイプと、同じように一部パーツを外されたZタイプが並んで整備されている。
僕の横にはペインターさんとザッコさんが並んで立っている。
『どうなのだ、あの盾の先端部の鮮やかさは』
『いいね。俺の想像の上を行く出来映えに驚きを通り越して戸惑いを覚えるぜ』
『そこの僕ちゃんのは塗らなくてもいいのか』
明らかに僕より小さなペインターさんの謎のお誘いがあった。
『いえ…僕はあまり目立ちたくないので…』
『聞いた話しによるとかーなーりー稼いでいるみたいじゃねーか。特別機も半分は自分の金なんだろう』
『景気がいいのだ。塗るのだ』
『僕は詳しくないので、キングさんに相談しながら僕に必要な事を決めてもらっているんです…こんな性格ですし…』
『景気が悪いのだ。塗るのだ』
『まあまあ、塗りたい情熱は練習にぶつけるといいぞ』『ふむ、そうするのだ』
『ザッコ、なんでロボは人型なのだ』
『ババアの孫がその発言、ちょっと驚くぜ』
『じゃあ、説明するのだ』
『あれだ…そう…カッコいい…から、だ…ろう?』
『ザッコはバカなのだな。私に驚いたザッコに私が驚いたのだ』
………
なんとなく上下から視線を感じる気がする…
いや、確実に見られている。
『…ロボの始まりは作業用のパワードスーツから始まっています。それが大型化し、今のロボの原型ができました』
『でもよ、戦闘するのに人型の必要ないだろう』『そうなのだ』
別に僕がそうしたわけではないのにな。
『ロボが人型であるのはその汎用性の高さからです。作業機の時から専用の装備開発の必要性が無く、ロボの規格に合わせればどのロボでも使用可能。組み合わせで奥地へ道を作る必要も無く、飛行機などの着陸場所を用意する必要も無いのです』
『でも拠点防衛は戦車とかミサイルとかあるじゃねーか』『あるのだ』
僕はなんでこんな当たり前のことを説明してるんだろう。
『それらを移動させるのにかかる時間を考えてみてください。動かす必要が無いから防衛用に戦車やミサイルが安価な装備として使われてるんじゃないですか』
『安いのは大事だな』『お金で買えないモノもあるのだ』『そうかー』『そうなのだ』
早く納得してくれないかな。
『じゃあ…まあいいか。そういうことだよペインター』
『ザッコは私と一緒に僕ちゃんの話を聞いただけなのだ』『ですよね…』
『エル、一時的とは言えお前は俺のフェニックス団に入るわけだ。歓迎会しようぜ。お前の金で』
ん。歓迎会…僕の歓迎会なのに僕がお金を出すの…
『なに不思議そうな顔してるんだよ。お前金持ってるんだろう特別機作るぐらいだからさ。やろうぜ歓迎会、いいだろう』
『子どもにねだるおっさんは突き抜けて面白いのだ。私も歓迎会に参加するのだ』
勝手に話がどんどん大きくなっていく…断らなくちゃ、ハッキリと。
『…あの…KQ団の拠点は少し…離れているので…その……』
『えっ。聞いてないのかキングの旦那この町にお前の宿とったって言ってたぞ』
『………え…そうですか…』
「おい、しっかりしろ、おい大丈夫か…」
僕は現実逃避と言う名の気絶と言う行為を行った。