主人公は眠らない
全七回予定。第三回。
季節は流れ、秋。修学旅行の時期である。
この学校では、修学旅行の間は六つの班に分かれて行動する。
〈彼〉のいる班は、赤みがかった茶髪の少年、黒髪の少年、白い長髪の少年、赤髪の少年がいる。
修学旅行一日目。今日は班ごとの工場見学。〈彼〉のいる班は、製紙工場で体験実習もあった。工場の人が色々な話をしてくれたが、〈彼〉は一切反応をしない。
ホテルの部屋にて、
「なかなか、おもしろかったな」
「そうだな」
「明日も楽しみだな」
「俺は楽しみじゃないな」
「なんでだよ」
誰がしゃべってるかはわからないが、〈彼〉はしゃべらない。
やがて、〈彼〉以外はみんなは眠りについた。
そして、そのまま朝に。
修学旅行二日目。今日は班ごとの自由行動。〈彼〉のいる班は、多数決で決まらずにもめたため、時間がないのに、二か所を回らなければならない。一か所目は寺。住職さんに話を聞き、中を見て回った。二か所目はガラス細工工房。それぞれ作品を作った。
ホテルの部屋にて、
「もうすぐ、旅行も終わりだな」
「明日がメインみたいなものだけどな」
「まあ、明日は楽しもうぜ」
「羽目を外しすぎないようにな」
「そうだな」
誰がしゃべってるかはわからないが、〈彼〉はしゃべらない。
やがて、〈彼〉以外はみんなは眠りについた。
そして、そのまま朝に。
修学旅行三日目。今日は地元のテーマパークで自由行動。班ごとの行動ではないが、二人以上で常に連絡が取れるようにというのが、条件である。
〈彼〉は、どこにいってもしゃべらない。チケットを買うときも、絶叫マシンに乗っても、お化け屋敷に行っても。お化け屋敷なんか、まったく反応しないのでお化けのほうが驚いてたくらいだ。
修学旅行三日目夜。バスに乗り、学校に戻る。到着は明け方になるので、多くの生徒は寝ている。
〈寝ていない生徒〉は数人いる。
一人は、難しい本を読んでいる、白い長髪の少年。
一人は、パソコンで何かをしている、銀髪の少年。
一人は、音楽を聞いている、一見ごく普通の少年。
一人は、ひたすら窓の外を見つめる、茶髪の少女。
学校に到着。結局、〈寝ていない数人〉は最後まで起きていた。
参考までにバスの座席。
※読まなくても大丈夫です。
A1 神谷 幻月
A2 楯無 傀儡
A4 神無月 刹那
B1 月影 彩有里
B2 有栖院 不思議
B3 妖華 熾導
B4 白鳥 信十郎
C1 市村 真
C2 佐曽利 大王
C3 月宮 ルナ
C4 不知火 真琴
D1 高堂 幸篤
D2 星空 一瀬
D3 銀河 代天
D4 大川 友信
E1 安堂 久遠
E2 不動院 妙子
E3 姫島 明
E4 神崎 雷葉
F1 鬼龍院 緑
F2 我王院 怜雄
F3 聖霊院 蛇尾
F4 紫之宮 集
G1 鶯 景勝
G2 天夜 修羅
G3 竜胆 魔紋
G4 毛利 道永
H1 悠夜愛 有紗
H2 金田一 紅子
H3 明智 充彦
H4 狐火 久右衛門