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才能
僕には、才能が無い。
そんなこと、最初から分かってる。
周りの皆は僕に才能が無いことに気づかない。
必死に、死ぬ気で、毎日、隠してるから。
街にはたくさんの才能が歩いている。
勉強、運動、芸術、それに対人関係が上手いのも才能。
僕にはなに一つない。
周りの皆はなに一つ無いことに気づかない。
気づかせたくない。
気づいてほしい。
『おはよ〜!!!』
元気に挨拶してみた。
本当はこんなやつに挨拶なんてしたくない。
『あー、おはよ。』
『昨日、コンクールでドビュッシーの暗譜飛ばしてさ。。。マジで死ぬかと思った。。。』
『え、マジで!!!たかピーでもそんなこと起こることあるんだ!!!』
『そーなんだよ。。。泣いた。。。』
ほら、人の失敗は大好物。
僕は朝陽高校音楽科に通っている。
自分を過大評価し、クラスメイトよりどうにかして上に立つことを日々考え続ける。
そんな学校。




