175㎝君と145㎝ちゃん
初投稿です。
彼氏なんていらなかった低身長の女の子にいつの間にか彼氏がいる話です。
私は篠崎悠季。高校二年。生物学上、女子。幼馴染にはよく女を捨ててると言われている。が、気にしない。
髪型、ボサボサ。色、黒。目つき、悪過ぎていつも怒ってるの?って聞かれるぐらい。色、黒。
性格、淡白。幼馴染曰く、冷淡。趣味、勉強。特に理系。
身長、145センチ。小さいとか思った奴。夜道には気を付けろ。
友達、なし。主に、目つきと性格のせいで誰もなろうとしない。というかいらない。
幼馴染、1人。
井伊田千香。高校二年。男。クラスメイト。
飄々としてダボダボの制服を着ている。邪魔。
身長は173センチ。解せぬ。
クラスの人気者、らしい。どうでもいい。
とにかく、ウザい。早く死ね。
そして、不本意ながら。
彼氏が、1人。
友達がろくにいなくて、話す奴なんて幼馴染だけという私に何故不本意ながらも彼氏がいるのかというと、無理矢理だからである。
そう。
私は無理矢理付き合わされてるのだ。
その男の名前は皆島誠。
クラスメイト。私は人を覚えるのが苦手だが、こいつぐらいは知っている。
クラスの王子様的な存在。キラキラしている。誰にでも優しい。
しかも身長は175センチ。解せぬ。
ついた愛称、みーさま。さまって。同級生で。
こんなキラキラしている男と不本意ながらも付き合わされる羽目になったのは、とある事件がきっかけだ。
いつかは忘れた。
ただ、私は私らしく、授業終わりの放課後、誰とも話さずに礼が終わった瞬間に教室を出た。真っ直ぐ昇降口に向かう。
早く帰って勉強したい。その気持ちでいっぱいだった。
が。思いも寄らないことで私は足止めを食らうこととなる。
靴を取り出そうと自分の下駄箱を開けると、白い手紙が一枚。そっと置いてあった。
宛先は、なし。
いっておくが、私は告白されることはなくてもイジメられることはある。
いや、私はイジメとは思っていないんだが。虚勢とかじゃなく、結構本気で。幼馴染が言ってるからあぁ、そうなのか的な感じだから。
時々私の番号が飛ばされるとか私が勉強しているとひそひそと遠巻きにされる程度だし。
だから、私はこれは一瞬で告白への招待状ではなく、直接的なイジメへの招待状だと思った。
イジメ事態はどうでもいい。勝手にやってろ。
しかし、今は困る。勉強時間が減るじゃないか。例えイジメであっても人の趣味を邪魔するのはいただけないと私は思う。
よし、無視だ無視。
そう私は決めてその白い手紙を近くにあるゴミ箱に捨てようとした。
…ら。
「おいおい、悠季!なに1人で帰ってるんだよ?今日は僕も一緒にお前の家で勉強するって約束したじゃないか!」
煩いのが来た。
「千香…」
「よっ!お前の頼りになる系幼馴染の千香くんの登場だっ!」
「したことはない」
「班分けで常に余っているお前と一緒になってやってるのは誰だと思ってるの?」
頼んだ覚えはない。
「それはともかくとしてさ。悠季、なに持ってるの?」
イジメの誘い、なんて言ったらこいつが(からかい目的で)ウザくなるのは目に見えている。
「手紙。告白n「は?お前が?ないないないない。つくなら僕みたいに分からないようにつけよ」」
即答ですか。私もこの冗談はないわと思ったが。
「ま、それがイジメの誘いってことぐらい分かってるんだけどね、僕」
「分かっているならわざわざ聞くな」
うっとおしいから。本当に。
「いつからの付き合いになると思ってんの?もう十年たつよ?十年!今17の僕たちは実に半分以上の時を共に過ごしてきているわけ。だから悠季がどうなるかも分かるってわけ」
「誰でも分かると思うが」
「ま、お前虐められてるしな〜」
「そんなつもりは毛頭ない」
「本人はそうでも周りは思ってるよ?『あ、またあの子虐められてる〜、つかなんか言えば言いのに。マジウザいんですけど』ってね」
「それ、お前の本心だろ」
「あ、ばれた?」
ケラケラと独特な笑い方をする千香。こいつのこの笑い方は嫌いじゃない。好きでもないが。分かりやすいし。
こうやっていつも通り適当に千香と話していると、あいつがやってきた。
「篠崎さん」
凛とした、針のある声が私の苗字を呼んだ。
「…クラス委員長」
「あれ〜?まこっちゃんじゃん。どーしたの?」
クラス委員長でもある王子様こと皆島誠である。
私はどう呼んだらいいか分からなかったからとりあえず今は役職呼びにした。
千香以外は呼ぶ必要性がないので分からないことが多い。
「少し篠崎さんにお話がありまして。篠崎さん、よろしいでしょうか?」
前半は千香に、後半は私に向かって話し掛けてきた。
「…お前何したの」
私の方まで屈んできて少し警戒した風に声をかけてきた。
こいつでもこんな顔するんだ、と感心した。
「あんなクラスの人気者で先生からの評判もいい奴になにした?」
私が何かした前提か。
「まぁ…そこは置いとくとしてさ。とりあえず行って来れば?」
「何故」
理由はない。むしろ私は家に帰って勉強したいんだ。断る理由しかない。
「あいつには親衛隊がいるって知ってた?そいつらは結構ヤバいらしいよ。今まで受けてたイジメなんて比じゃないくらいにね。もう勉強出来なくなっちゃうくらいに」
「え…」
困る。それは困る。勉強に支障が出るのだけは…
「篠崎さん?」
返事しなかったからか、それとも痺れを切らしたからか、王子様は再度私の名前を呼ぶ。
…仕方ない。
「分かった。大丈夫。」
長い目で見て、私は今日の勉強時間を犠牲にした方が得策だと考えた。
「よかった。ではどうぞ」
ニッコリと笑顔を振りまきながら王子様は私に向かって手を伸ばしてきた。
「…?」
なにこれ。叩けと?
「少し違う所に行きますので…お手をどうぞ」
……………………
は?
「悠季を女の子扱いしてる…⁉まこっちゃん…マジ王子様…!」
千香、お前は後で覚えていろ。
学校の裏庭に王子様と私できた。
は?王子様の手はどうしたって?
丁重に断った。
というか寒気がしたのでただやめてくれと頼んだ。
そのとき、王子様は特に残念がることもなく「そうですか、なら行きましょう」と言っただけだった。
ちなみに、私の(一応)幼馴染である千香は逃げた。
「んじゃ僕は先に悠季の家でおばさんと寛いどくね。へ?来ないのかって?ケラケラケラ!行くわけないじゃん、この僕が!」
千香は独特な笑い声をあげながら後で何があったか聞してね〜と袖をヒラヒラさせながら消えた。
千香は昔から私が危険なとき真っ先に逃げる習慣があったので今回もそうしたのだろう。
結論から言うと、ピンチを助けてくれる幼馴染などこの世にはいないのである。
「すみません、いきなり呼び出してしまって…」
そう会話を始めた王子様。
「いや。別に。」
それに単語だけしか返さない私。
ふと疑問に思ったが、何故王子様は学校の裏庭に来たのだろう。
「それでね、篠崎さん。手紙…呼んでくれましたか?」
手紙?
私は小首を傾げた。
「靴箱に入れていた筈なんですが…」
「あぁ…。」
あれか。思い出した。
「ごめん。まだ見てない。」
イジメへの誘いの手紙だと思ったらまさかの王子様からの手紙でしたか。
私は若干驚きながらも、(顏には出してないが)先程捨てなかった手紙を開けてみた。
【篠崎悠季様へ
本日の放課後
学校の裏庭で私と
会ってください。
お話したいことが
あります。
よろしくお願いします。
皆島誠より】
完璧な筆記体で書かれていた。
…王子様は字まで綺麗なのか。
でも、これではなんで王子様がこんなことをするのか理由は書かれていない。
「読んでいただけました?」
「うん。今。」
それにしても王子様は私や千香に話し掛けてきてから一度も爽やかな笑顔を絶やしていない。
…すごいな。私ならコンマ一秒でも持たないのに。
「それならば話の本題に入らせていただきます」
「うん。」
そもそも笑顔になる必要性はいつから人にあったんだろう。
「実は…」
そんなことをする前に人にはやるべきことなんてたくさんあっただろうに。もしかしたらもっと様々なことが発展していたかもしれないのに。
「僕と交際してください。篠崎さん」
「……………………………は?」
………交際?それってあれですか、あの交際ですか。公債とか光彩とかじゃなくてあの人が2人じゃないと出来ないあれですか。
私の頭はパニックになった。
まさか本当に告白だったなんて!
しかも…クラスの王子様だと…!
面倒くさいじゃないか!(*笑うとこではない)
だって考えてみろ。
クラスの王子様と付き合う→取り巻き(親衛隊だっけ)が煩くなる→矛先は私にくる→勉強が出来なくなる
私にとってまさに生き地獄。
無理無理無理無理無理。
よし。断ろう。大丈夫。どうせ罰ゲームで私に告白しているだけだ。良心は痛まない。(例え違っても勉強が関われば私は良心なんて痛まないのだが)
(お前に良心なんてあったっけ?by千香)
「ごめn「ちなみにお受けしていただけない場合はこれから死ぬまで僕の側…まぁ家にいてもらいます。あぁ、安心してください。篠崎さんが好きな勉強は出来る環境にしますから。ただ外の世界との繋がりを一切絶ってもらうだけです」…」
……………………(処理能力オーバーで思考停止中)
「僕以外とは喋らず僕以外とは会うこともない状況になります。さぁ、どうしますか?篠崎さん。僕はどちらでもいいんですけど」
えっと…
これは…俗にいうヤンデレってやつですか?(遠い目)
勉強以外関心がないこの私が何故このような単語を知っているかというと、まぁ千香がそのヤンデレの被害にあって少なからず私にも被害が及んだということがあったからだ。
いや…少しではないな。だって最終的にはあの女ナイフ突きつけてきたし。
まぁ、それはおいといて。私はそのヤンデレ被害の後にこう思った。
ヤンデレ、ダメ、絶対。
「篠崎さん?」
「あっ…あぁ…うん…」
どうしよ。本当にどうしよ。
それから私は一時間ぐらい悩んで…いや実際には五分くらいしか経ってないが、自分なりにはそれぐらい悩んで、私は王子様の告白(という名の脅し)を受け入れた。




