隔離。裏切りの影に注意せよ
目を冷ますと、頬に柔らかな木漏れ日の光が当たっていて暖かい。
(ここは...どこだっけ...?)
ふと、そんなことを思った。
どうしてここにいるのか...なんでこうなったのか--------。
「...っ!!?」
イアは急いで体を起こした。
辺りはさっきとは別世界のように明るかった。
鬱蒼としていることに変わりはないはずなのに、ここだけは取り巻く世界が違うかのようになっていた。
そしてイアの側には、そびえ立つ大きな大樹。
...まぁ、とりあえず。
「ここどこぉーー!!?」
叫ぶしかないだろう。
「な、何でこんなとこ...っ!てか、プルフルは!?私一体どうなって----」
「ああ、目が覚めたんだ」
突然聞こえた声。イアは--------。
きょとんとした。
「.........え?」
「無事でよかったよ。怪我してない?」
そっと、イアの近くまで近づいてくる1つの影。
イアは、それから目が離せなかった。
その足音、その声、その影----。
すべてから、目を離すことができなくなった。
やがて影は、イアの側にあった大樹の側を通り、真っ直ぐイアのもとへ歩いてきた。
----こんなことが、あるものなのか...。
「久しぶりだね、イア」
柔らかな笑顔は、いつまでたっても変わっていなかった。
そう。たとえ、1年もたっていようと----。
「み、ミカエラ、様......っ!?」
イアの目の前にたっていたのは、ずっと探し求めていた相手----。
大天使、ミカエラ。
「ど、どどどどうしてここに!?」
動揺の隠しきれないイアに、ミカエラはまた、柔らかく微笑んだ。
「いろいろと事情はあるから、順に説明するつもりだけどさ----。イア、もしかして、俺のこと探しにきてくれた?」
ミカエラの言葉にイアははっとした。
「は、はいっ!あの、ミカエラ様!今、天空界が大変なことになってるんです!すぐに天空界へお戻りください!!」
イアかここへ来た当初の目的ではないが、プルフルより今はこっちのほうが大切だ。
イアが必死に言うと、ミカエラは----。
気まずげに笑った。
「ミカエラ様...?」
「悪いね、イア。実はさ......俺、この森から出られないんだ」
「.........え?」
「イア、きっと...君もここからでられない。この森には対天使用の結界があるんだ」
一瞬、思考が止まった。
「.........でられ、ない?」
「...あぁ」
苦々しく言うミカエラ。それが嘘じゃないんだと、嫌でもわからされた。
「そんな...なんでなんですか!?結界って...対天使用?なんですか、それ...」
「落ち着いて、イア。ちゃんと説明するから」
ミカエラの言葉にイアはうなずくことしかできなかった。
混乱する中、ミカエラの声よりも、自分の心臓の音のほうが大きく聞こえた。
(............雷雨)
こんなとき、なぜか浮かぶのは、そんな言葉だった。