任務遂行。モフモフを確保せよ
放課後、イアと雷雨は ある場所へ向かっていた。
「確か、こっちのほうだったよね?」
「あぁ、間違いないと思うんだが...」
2人が向かったのは、学校からそう遠くない場所にある空き地 だった。
なぜ2人が今ここにいるのかというと--
「あ...」
突然、イアが声をあげ、そっと雷雨に目配せした。
「見つけたか?」
「うん。無事保護よ」
イアがそっとしゃがみ、何かを抱えあげる。そしてその抱えあげたもとを雷雨に見せた。
それは、小さくて白くて、なにやらモフモフした存在だった。
ちゃんと目があるのだが、言うてどこを見ているかはわからない。ただわかるのは、それが瞬きしていると言うことだけだ。
「プルフル保護ー☆やーん、ふわふわするー!」
イアは抱えた物に頬にすり寄せる。すると、その白いモフモフも気持ち良さそうに目を閉じた。
この白いモフモフ。
名前をプルフルと言う。
プルフルは、もとは天使たちのいる天空界にいるいわば精霊のような存在だ。
そんなものが、なぜここにいるのかというと、それには深い訳があった。
「雷雨ー。それあえず、ガブリエル様に報告」
「はいよー」
すると雷雨は、ポケットから携帯のような端末を取りだし、何やら操作する。
すると突然、雷雨の目の前にバーチャル映像が飛び出してくる。そしてその映像は、人の形を象っていた。
「ガブリエル様ーイアです。プルフル確保しましたー」
『イアちゃーーん!!お疲れ様ー!!』
端末から聞こえてきた声は、とてつもなく
元気だった。
『お疲れ、お疲れー!イアちゃんお疲れー!そしてありがとー!そしてごめーん!』
「いや、これが任務だからいいんでけど...」
『いーやー!イアちゃんが、いなかったらもー大変だわー。本当優秀!もー大好き!』
「はいはい...」
イアは少し疲れたように笑う。
正直、このテンションついていけない...
「とりあえず、いつも通り報告しときます。プルフルはちゃんと天空界に返しますからねー」
『はいはーい!りょーかい☆』
ガブリエルはそう言った途端、すぅっと消えて行った。電話と同じ。あちらが通信端末の電源を切ったのだろう。
イアと雷雨は、同時にため息をついた。
「完璧に俺の存在忘れてやがる...」
「不思議だわ。あれで、大天使なんだもの」
異様なテンションでも、2人よりも位が高いことに変わりはないのだから、また納得のいかない話だ。
「でもさ、とりあえず今日の任務は終わり。雷雨もお疲れ」
「何もしてないけどな。イアもお疲れ」
とりあえず、2人の任務は無事遂行された。