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第10章北海道その3

昨夜何気なくTVを見ていると、フジテレビ721でAeg、35をしていた。

九州を回っている頃放送していたドラマで凄く懐かしいかった。

着いた土地で見るので、ドラマが跳んでいたり、バックしていたりでストーリーが分らなかったが、昨日はよく分った。akakage


函館から国道5号線を北上する。

大沼の横を国道は通っている。駒ケ岳が大沼とマッチして雄大であり華麗だった。

内浦湾沿いにキャンピングカーは進んだ。

そのまま5号線を北上して、札幌に着いたのは、函館から2日目だった。

この札幌に亜紀の弟がいるはずだ。


主人たちはホテルに泊まった。

後で聞いたのだが、主人達はホテルのラウンジで飲んでいて、5,6人の人達と仲良くなり、酔っていた主人は、亜紀の弟の話をしたらしい。

皆が拍手してくれて「逢えればいいね!」言ってくれたそうだ。

亜紀は涙ぐんでたらしい。



「本当に逢えればいいね!亜紀」明日はいよいよ留萌だ!




錆びれた留萌の駅前にキャンピングカーを止める。駅前の駐車場は舗装もしていない。

亜紀の記憶をたどり、その方向に僕も一緒に歩き始めた。

駅前の商店街は、ひっそりしていて人が歩いていない、寂しい町だ。

亜紀「此処で、弟を渡して、こちらの方向にあるいていったの!」

主人「こんな時は交番だよ!交番を探そう!」

主人「此の辺に交番ありませんか?」とタバコ屋のおばさんに聞いた。

交番は直に分った。

主人「此の辺に○○さんという家ありませんか?」

警官「ちょっと待ってね!」地図を広げる。

警官「この家かなー、駅の近くだと3軒あるけど?」

主人「3軒とも教えてください。」主人は地図を写し取った。

200mくらい歩くと1軒目家に着いた。古ぼけた家の表札を確認して、主人はその家の戸を開けた。

主人「こんにちは!こんにちは!」

しばらくして、返事もせずに老婆が奥から顔を出した。

主人「○○さんのお宅ですか!」

老婆「あー」

主人「○○子さんいますか?」

老婆「嫁に行った!此処にはいない!」

主人「○○子さんは金沢にお嫁に行ったことありますか?」

老婆「あー行っていた!」

主人「その方には男の子がいましたか?」

老婆「あー○○を金沢から連れて来た、今は隣の羽幌だ!」

間違いないこの家がその女性の家だ、偶然一軒目の家だった。

この老婆は女性の母親だろう、弟の名前も同じだ。亜紀と顔を見ると、微笑んでいた。

亜紀「私は○○さんの子供で、○○さんの姉です。金沢から着ました。」

老婆「遠い所から来たんだね!」

亜紀「○○が札幌にいると聞いたのですが、住んでいる所しりませんか?」

老婆「もう何年も帰ってこないし、知らないんだ!」

亜紀「では羽幌町の○○子さんの住所は知っていますか?」

老婆は奥へ行き、一枚の葉書を出してきた。再婚した相手の名前が書いてあった。

亜紀「有難う!おばあちゃんもお元気でね!」


キャンピングカーに帰ると、亜紀はニコニコ笑っていた。

主人「よかったね!羽幌町までは1時間くらいで行けるけど?」

亜紀「もう夕方だし、明日行こう!」

主人「そうだね!夜行くのも迷惑だしね!」

海岸線の道の脇にキャンピンカーを止めて、今夜は此処で泊まる事にした。

夕焼けの海は何故か寂しそうな色だった。



ナビと人に尋ねながら、羽幌町の家をやっとの思いで見つけた。

その家は、2世帯が入る平屋の町営住宅だった。何度も戸を叩くが応答がない。

裏に回ってみたが人はいないようだ。

近所の家に訪ねて歩き、ようやく女性の務め先が分った。

電話ボックスの電話帳で、会社の電話番号を調べて、主人は亜紀を残しボックスを出てキャンピングカーの運転席に戻った。

僕と主人がフロントガラス越しに、亜紀がダイヤルを回すのを見つめた。

とても長い時間に感じた。

亜紀が泣いている・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

キャンピングカーに戻った亜紀は、顔を手で覆い声を出して泣き出した。

主人「泣いていては分らないよ!どうしたの?」

亜紀は泣き続けた。僕は心配になり亜紀の顔を舐めてあげると、余計に泣き出して困ってしまった。

どのくらい時間が過ぎただろう。

主人は、静かな声で「どうしたの?」と聞いた。

亜紀はボソボソと語りだした。

亜紀「金沢の亜紀ですと言うと、女性は何しに来たの言うの・・・・・・北海道に着たので○○ちゃんの住所教えてほしんだけどと言ったら・・・・・・・・・逢う必要が無いから教えられないと言うの!・・・・・・・・何故ですか?私は○○ちゃんの姉です。小さな時1年も一緒に暮らしました。貴方はお父さんとどのような事で別れたのか知らないけど、私○○ちゃんは兄弟です。教えてください。・・・・・・・・・そうしたら彼女は、○○には兄弟はいません。帰ってくださいと電話を切られてしまったの!」と言うと又亜紀の目からは大粒の涙が流れた。

主人も亜紀を見ながら目に涙を浮かべていた。

しばらくして主人は優しく亜紀に言った。

主人「役場に行こう!所帯主の名前も住所も分るのだから、謄本を取れば○○の移転先は分るはずだ。」

主人はナビで、羽幌町の役場を確認するとキャンピングカーを乱暴にスタートさせた。




走って役場に入って行った主人は、出てきた時の足は重そうだった。

住民票には、弟は転居していなかった。

学生などは、住所をそのままにしている人も多いから、その類だろう。

主人「この変の高校に、片っ端から電話して、その高校を卒業したと分れば、先生や友達が知っているかもしれないし、学校に記録があるかもしれない」

と言って電話ボックスから電話帳を持ってキャンピングカー乗り込んできた。

亜紀「もういいよ!」

主人「何故だよ!折角此処まで来たのに!頑張ろうよ!亜紀」

亜紀「私の話を聞いて!・・・・・・・・・・・・・・よく考えてみたの!・・・・・彼女があれだけ嫌うのは、私のことや父のこと恨んでいるからだけでないような気がするの!弟が幼い時再婚したとしたら、今の父親を本当の父親として育ったのかもしれない。兄弟はいないと彼女は言ったけど、私が出で行くとその事が分ってしまうわ」

主人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

亜紀「弟は私のこと知らずに育ったような気がするの」

主人「逢わなくても、影から見るだけでも・・・・・・・・・・・・・。」

亜紀「いいの!本当にありがとう!」

主人「本当にいいの?」

亜紀「いいの!感謝してるわ!ありがとう!」

亜紀は始め笑ってそう言ったが、涙が頬をつたっていた。

主人「亜紀が出て行くことで、相手の家族を壊すことになると言うんだね!」

主人はそっと亜紀を抱きしめた。僕もどうしていいか分らず二人の涙を交互に舐めた。

主人「もし亜紀の考えている状態だったとしても、弟は何時の日か分るだろうと思うけど、その日を亜紀が決めるべきではないよね!」

主人がそう言うと、亜紀は又泣き出した。


僕たちは音楽もならさず、無言で北海道らしい真直ぐな道を北に向かって走った。

海も泣いていた。


これがこの年の8月の出来事だった。




あの日から、亜紀の顔はいつも笑っているけど、瞳の奥には悲しさが見えた。

サロベツ平原の海岸線を走る。県道106号線はもう一度バイクで来たいと主人が呟くほど素敵な所だ。

右を見ると深い紺の海、左は高い木々が無い永遠にも思える平原、空に浮かぶように見える利尻富士、亜紀も以上にはしゃいでいた。

これほどの純白があるのかと思える雲が、紅色に変わって行く頃、主人は何処か温泉に入ろうと言い出した。

何か亜紀が喜んでもらうことを考えた結果のことだろう。

豊富温泉へキャンピングカーを進めた。

これが温泉街!と思うほど、ホテルの件数が少ない。

ホテルと民宿を迷ったが、亜紀の意見で民宿に決めた。宿の名前がおぼろだが、「福の家」だったと思う。

宿の前には、5台のバイク埼玉ナンバーが止まっていた。

宿のお上さんは、身長も体重も十分ある人だが、フットワークは凄くて、走って部屋を案内された。サロベツのお母さんって感じだ。僕も玄関に入れてもらったってそこがベットになった。

主人達の夕食はジンギスカン、僕は貰えなかったけど、亜紀は凄く食べて飲んだらしい。

バイクの人達も同じテーブルだったようで、女の子一人の亜紀は女王様気分だったらしい。

でもこの宿にしてよかったね!



利尻富士を右に見ながら、北に向かって走った。利尻水道の海の色は今でも頭の中に残っている。

(はせドンはいい所に生まれましたね!冬は大変かも知れませんが?)

野寒布岬から稚内市内を抜けて、宗谷岬に向かった。


宗谷岬は日本最北端だ。

この旅で本州最西端:小佐々町・神崎鼻 本州最南端:佐多町・佐多岬そして日本最北端:稚内市・宗谷岬だ。後は日本最東端:根室市・納沙布岬に行けば、東西南北全て行った事になる。

それが目的ではなかったが、此処まできたら最東端:根室市・納沙布岬にも行きたいと思った。

宗谷岬から樺太は、43kだ。

樺太は、主人の母親の生まれたところで、その当時はよい暮らしをしていたらしい。

戦前、能登の網元が樺太に渡り繁栄していたそうで、主人の母親の父もその一人だった。

寒さの厳しい樺太では、室内の遊びが盛んで百人一首などを母親は自慢げに主人に話すのを聞いた事がある。

主人は樺太の方を指して、亜紀に母親の事を得意そうに話していた。



主人の母親の事を少し話そう。

樺太で生まれた母親は、男2人女5人の7人兄弟の2女だ。

先日の記事で書いたように、裕福だったこともあり、樺太では彼女は今の高校に通っていた。

その頃戦争は終わった。樺太を家族はバラバラで本土に逃げたらしい。勿論ほとんど物は樺太に置いて、持ち出せたのは少しの着物くらいだった。

石川では、高校だけは卒業できたが、経済的な問題で大学には行く事ができなかった。

おまけに口減らしに、無理やり父親との結婚しなければならなかった。

父親は不良を絵に描いたような人で、結婚当時は苦労したらしい。

このような環境だったので、母親は主人が生まれると長男だったこともあり、凄い教育ママを発揮しだした。

主人を小学生6年間一度も休ませず、帰ると絵日記を書かされた。

今でも、田舎の倉の奥にその絵日記はある。

しかし、主人も高校生になると父親の血も半分入っているので、想像どうり不良の見本となってしまい、学校にはサラシを巻きドスを挿し、学生服の裏地は唐獅子牡丹、ポッケにはチェーンの生活だったらしい。

母親への反抗は凄まじく、親不孝をしてしまったのだ。

現在、主人は心の中では、親孝行したいと思っているが、不器用でうまくいかないらしい。


世界地図に日本でただ一人「間宮海峡」という日本人名を残した人、初めて日本から樺太に渡り、樺太が島であることを発見した探検家、間宮林蔵の立像を見てから、国道238号を網走に向かった。



枝幸って、「エサシ追分」のエサシかなーと思いながら、238号を走る。

始めは北海道の漁村って感じが好きで「なんとなくいいなー」と思って走っていたが、この道は何処まで行っても限りないのではと思うほど、同じ風景が続いた。

右に海が見えて、赤や青の屋根の家が点在する。

人もあまり見えない。

若者は、旭川か札幌に行ってしまうのだろう。たまに見かける人は老人ばかりだ。

それからはあまり記憶になく、何日かして気がついたら網走だった。

網走で死ぬほど昔見た、高倉健の映画で有名な刑務所を見てから、屈斜路湖へ向かった。

草原をトロトロ走っていると、パット視界が広がった。

いきなり眼下が開けて、そこには真ん中に島のある湖「屈斜路湖」が見えた。

この場所は「美幌峠」という。

この感動は美幌峠を走らないと、文書では表現できない。

主人は思わず、外に出て両手を広げた。



主人は布施明の曲は、「シクラメンのかほり」の前に出た曲は全て好きだ。

愛の園、愛は不死鳥、愛の香り、おもいで、何故、そっとおやすみ、愛の終わり、恋、冬の停車場、たしかな愛、愛は限りなく、これが青春だ、など・・。

その中でも「霧の摩周湖」は大好きだ。酔っ払うとベットに入ってから、一曲歌ってから眠るくらいだ。

この曲で有名になった摩周湖に来た。

唄の題名どうり、やはり霧だ。何処も見えない!

1時間くらい待つたが、水面が見えるどころか駐車場も霧が上がって来て1m先が見えない状態になってきた。

僕も駐車場で遊んでいたが、亜紀が「なんだか怖い」と言いだして、少し霧が切れた段階で、摩周湖を離れた。

300m走ると霧は消えてしまった。不思議な所だと思う。




摩周湖第一展望台から、摩周岳をぐるっと回るようにして裏摩周展望台へ行ったが、やはり霧で何も見えなかった。

裏摩周湖展望台から清里峠を左折して道道摩周湖斜里線を斜里町方面へ進むと、ハトイ林道入口に「神の子池」と看板があった。

面白い名前と思い左折した。

前に白の乗用車走っていて、石川ナンバーだった。こんなところまで来て石川ナンバーに会えるとはと主人は感動していた。約2km林道を進んだ地点に「神の子池」があった。

白の乗用車も、「神の子池」の駐車場に止まったので主人は声をかけた。

「石川の人ですか!僕らも石川です。」

30代くらいの男の人が、一人乗っていたが、主人を見てキョトンとして何も話さない。

こちらに帰ってきて主人は「変な奴、気味が悪いよ!」と言った。

今考えると、6月28日のブログと同じで、主人の顔が怖かったのではないのかなーと思う。


「神の子池」は、名前のとうりこの世の物と思えない色だ。

澄んだその水は、エメラルドグリーンだが簡単にエメラルドグリーンと言いたくない。

摩周湖の地下水によってでき摩周湖(カムイトー=神の湖)の伏流水からできているので「神の子」池と呼ばれているそうだ。

摩周湖が他の湖と大きく違うのは、湖に流れ込む川も、湖から流れ出す川もないことだ。

それでいて、春、摩周湖にたくさんの雪解け水が流れ込む時期になっても水位が変わらないのは、湖の周辺に伏流水を湧き出させているからだそうで、「神の子池」もその中の一つで1日に何tもの伏流水が湧き出しているらしい。

水温が年間通して低いのだろう、倒木が青い水の中に腐らずに化石のように沈んでいた。

その事がこの池をより神秘化させていた。




亜紀の調子が良くない。

最近は、眠ってばかりだし、以前のように笑うのが少なくなった。

弟の事もあるだろうが、キャンピングカーの生活にも疲れたのかもしれない。

主人は夕食を食べながら言った「亜紀!金沢に帰ろうか!」

亜紀は、少し目に涙を溜めて、小さく頷いた。


北海道は何故か縁がない!

昨年は、知り合いの病気で途中引き換えした、今回もこのような結論になってしまった。

主人は知床に行きたいと、何時も言っていたのに残念だろう。

主人は「帰ろうと思えば1週間で帰れるから!」

亜紀は小さな声で「ごめん!」と言いながら、僕の頭を撫ぜた。

僕も亜紀の目を見て「大丈夫!」と、人間の言葉を話せるなら言いたかった。

主人「帰り道だから、富良野だけは寄って行こうね!」


翌日、主人は391号線で屈斜路湖へとハンドルを回して「さぁー帰るぞ」と言うと、亜紀は嬉しそうに微笑んで、僕を助手席の窓際に座らせてくれた。


野上峠に着いた頃は、辺りは薄暗くなっていた。

ブルーの屈斜路湖が幽かに見えた。美幌峠とは又違う屈斜路湖だった。



国道243号線で和琴半島の標識を見て右折、キャンプ場前の駐車場に止めた時、辺りはもう真っ暗になって屈斜路湖は見えなかった。


遅い夕食を亜紀が料理する間に、主人と散歩に出た。

和琴半島の方角に歩いて行くと、長さが20mほどもある大きな半月形の露天風呂があった。

主人が手を入れてみると、やはりお湯だ。

夕食の後、主人と亜紀と一緒に露天に入った。底から温泉が湧いていて位置によってけっこう温度差があるので隅の方はけっこうぬるかった。


朝起きて露天風呂に行くと、昨夜は気がつかなかったが緑の物がいっぱい浮いていて気持ちが悪かった。

亜紀「昨日の夜こんなところに入ったの!」と驚きの声を上げていた。

半島の方に遊歩道がついていた。しばらく歩くと公衆風呂があり、朝は此処の風呂に入ったが、僕は入らせてくれなかった。

主人も亜紀も、凄く熱くてゆっくり入れなかったようだ。


和琴半島をぐるっと回る遊歩道を、1時間ほどかけて回り、和琴半島を後にしたのは昼頃だった。




美幌峠からもう一度、屈斜路湖が見たくて一度通った道だが峠まで登った。

峠から弟子屈町のでもどり、弟子屈観光牧場900草原で思い切り走ってから、阿寒湖に向かった。

阿寒湖で主人はマリモを買って、「昨夜の露天風呂の中のマリモかな」と言っていたけど、どうなのか疑問だ。

アイヌコタンの木彫りの店で、主人は熱心に木を掘る作業を見ていた。

僕と亜紀は、キャンピングカーに先に帰った。2時間ほどして主人は嬉しそうな顔でもどって来た。

手には、3cmくらいの鳥の彫り物を4匹と、高さ5cm直径7cmほどの白樺の丸太、丸太には木彫りの鳥が入るような穴が開いている。

そこに鳥を入れると、巣から鳥が顔を覗かせているように見える。丸太の上に鳥を置くと、鳥はヤジロベーみたいにバランスがとれて、木にとまっているように見えた。

凄くこの彫り物が気に入った様で、鳥を穴に入れたり出したりして、長い間遊んでいた。

「お前は、子供か!」と言いたくて「ワン!」と吼えたけど、キャンピンカーはそのまま動かず此処で一泊した。

主人達は、夕食はアイヌコタンの中のお店で鹿の肉を食べたらしく、後で僕も貰って食べた。凄く美味かったよ!




阿寒湖からは雄阿寒岳は雲の中で見えなかったが、オンネトーからは雌阿寒岳、阿寒富士が見えた。なんとなく癒される湖だ。




此処からは、ひたすら走った。

北海道でしかない真直ぐな道と、地平線が見えて地球が丸いと感じる道、幾つかの峠も本州とは違い何処も見晴らしが良く、眼下をさえぎる物がない。

帯広で、以前着た時の簡保の宿に1泊して、富良野目指して走った。

亜紀もホテルなど泊まると、疲れも取れたようだ。

主人は「できるだけ宿に止まるからね!亜紀!」優しい言葉をかけていた。


南富良野まで来ると、『北の国から』で出てきた様な風景が広がってきた。

富良野プリンスホテルで一泊、主人と亜紀は正装して、この日は夕食を食べたそうだ。

僕は又キャンピングカーで留守番だ。「僕も止まれるホテルにしてくれよ」と言いたい。

主人が仕事していた時、散歩もしてくれない日もあったけど、今は散歩も毎日してくれるから、許してやるか!



一度主人は、僕が一匹で留守番している時、何をしているか心配でビデオをセットしていった事があります。

僕は一匹の時は、いっも寝てるだけなのに!


『北の国から』の五郎の家、スカイラインのケン、メリーの木など回り、富良野の景色でお腹一杯だ。

富良野が人気なった事が分るような気がする。

なんとなく心を洗ってくれているような、懐かしいような感じがした。


美瑛町まで、足をのばしペンションに泊まった。今回は一緒に泊まれたょ!

ペンションからの夕陽の風景は、今でも頭に刻まれている。



放浪記に戻ります。boo


主人のキャンピングカー好きの影響を受けて、定年前に会社を退職してキャンピングカーを購入し、奥さんと二人で優雅な生活をしている人が札幌に住んでいます。

彼の案内で羊ケ丘展望台、宮の森シャンツェに行きました。

羊ケ丘展望台では有名なクラーク像を見て、宮の森シャンツェではジャンプ台の上まで主人は登って行きました。

「ジャンプする人は人間技ではない」帰ってきた主人の弁です。

主人達はサッポロファクトリーで食事、ビールの味は最高と言うことでした。




札幌を出た僕らは、海か陸か迷ったけど僕がいることもあり、主人は陸で金沢に帰ることを選んだ。

以前千歳で亜紀が一人で泊まったホテルに一泊、夜千歳の繁華街を散策した。

主人は一つのビルに興味を持った。

飲み屋が入ったビルで、どの店も規模は小さく、「スナック花子」のような名前が多い。

主人は、亜紀と僕を連れて2階のスナックの戸を開けて「盲導犬ですがいいですか?」

僕は「目の見えない人何処にいるの」って思ったけど、カウンターの中に立っていたママは「いいよ!どうぞ!」と言った。

カウンターだけのその店には、客は3名、「さわってもいい!」主人「いいですよ!」と言って主人は椅子に腰掛けた。

僕は「伏せ」の状態で待った。

カウンターの中にはママと旦那さんと思われる男性がいた。

マスターは注文したビールを準備しながら「何処から来たの?地元で無いでしょう!」

主人「金沢です。」

マスター「へぇー遠いね!犬つれて!盲導犬?」

主人「今訓練中ですが」

マスター「へぇー」

主人「マスターもビールよかったら」

マスター「ありがとう」

主人「マスターとママは夫婦?」

客A「この二人は駆け落ちだよ」

主人「そうなんですか!ロマンありますね!」

マスター「ロマンですか!」と言って苦笑いした。

そんなマスターの表情を見て、横でママはニコニコしていた。


客Aは乗馬の先生、客Bは八百屋の親父、客C不明、客Aは酔っている事もありよく喋り人の話の間に入ってくる。

見かねたマスターは「カラオケでもどうですか?」と言った。

主人と亜紀が何曲か歌っていると客は主人たちだけになった。

僕も椅子に座るのを許されて氷を貰った。


カウンターの中でマスターも、ママも椅子に座り店は静かになってしまった。

マスター「あの客喧しくてごめんね!」

主人「いいえ!かまいませんよ!」

マスター「犬は飛行機とかに乗れるんですか?」

主人「乗れますよ!荷物と同じ扱いですが、僕らはキャンピングカーで旅をしているのですが」

マスター「そうなんですか」

主人「今日はホテルに泊まっていますが」

マスター「夫婦ですか?」

亜紀「親子です。」(笑

主人「歳の差はありますが、つき合っています。マスターの話聞かしてよ!」

マスターは静かに話し始めた。

彼らは中標津の生まれで、ママの家はかなりの資産家一人っ子、つき合っていたがママの親には反対されていた、そのうちにママに結婚話がでて、それで二人で東京に逃げた事を話してくれた。

遠くを見つめるような目で話していたマスターをママは、先ほどの笑顔はなかった。

マスター「東京までの汽車の中、寂しかった。・・・・・・・・・・何故かこんな話詳しく話したのは初めてだ。」

主人「ごめんなさい!つらい話ほさせて、ロマンだなんて簡単に言ってごめんなさい!」


帰る時、笑顔のもどったママとマスターは、道路まで見送り僕らが見えなくなるまで手を振り、頭を下げてくれた。



ゆっくり走しろう北海道!

千歳を後にした僕たちは函館まで4日間かけて走った。


北海道に着いた時、函館は素通りしたので今回は五稜郭など見て回った。

五稜郭は、新撰組の土方歳三が浮かんでくる!

戦いに明け暮れた土方が、最後となった函館、孤立した味方を助けに行き、馬上で散っていった壮絶な光景が浮かんだ。


函館で凄く気に入ったところがあった。

金森赤レンガ倉庫だ。

明治2(1869)年、榎本武揚ら旧幕府軍が降伏し、開拓使出張所が函館に置かれた年、初代渡邉熊四郎が最初の事業、金森洋物店を開業した跡地だ。

数え切れないほどの人の営み、文化の変移を見守り続けた赤レンガ倉庫が、新しい息吹を吹き込まれ夢空間となっている。

レストランや多彩なアイテムを取り揃えた魅力的なショップ、イベントスペースなどがあった。

倉庫と倉庫の間には、函館港から流れる運河があり、ロマンティックな雰囲気を漂わせている。

赤レンガのあたたかなぬくもりと、さわやかに駆け抜ける潮の香り。

北海道でもう一度行ってみたい場所の一つだ。









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