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何でも知ってるしろあちゃん  作者: 家佐水井
天知しろあは何でも知っている
5/13

浅瀬がちょうどいい


 金曜日。


 堀田は生徒玄関で、壁を背にひとり佇んでいた。踵で壁を蹴って、いまかいまかと待ち惚ける。

 やがて、待っていた人物が歩いてきた。

 下駄箱で上履きを仕舞い、上靴を取り出す。すこしの距離を取って、追いかける。同じく下校する生徒がいる中、はたしてどうやって声を掛けるべきか。困っていると校門を抜けてしまった。しかし。


「何か用ですか?」


 さらりと髪は音を立て、惚れ惚れしてしまいそうなほどの美少女、天知しろあは、そう言った。

 しかしいまの堀田は、彼女のことをとてもそう表現できなかった。彼女のことを評価するなら、何か得体の知れない化け物。それに尽きる。自分たちとは別格という言葉だけは、肯定できるかもしれない。彼らの言う意味とは、180度違うが。

 その瞳は汚れを知らない青空の色なんかではなく、全てを見透かしてもなお、歯牙にもかけない澄んだ大海のように思えた。


「なんで、何も言わないの?」


 堀田は縋るような思いで、そう言った。




 天知は顔色を変えなかった。


 もしも彼女が別格で、堀田たち人間よりも上位の存在なら、天知からすれば堀田たち人間は下等種ということになる。虫が命乞いをしても、堀田にはわからないし心が動かされることはない。明日から道路を注視しながら歩こうと思うこともない。


 天知は顔色を変えなかった。変えずに、こう言った。


「すこし、歩きましょうか」


 校門を抜けたと言っても、下校する生徒の目は多い。ここで言い争えば九割九分の人間が、天知の味方をするだろう。

 天知にそんな気遣いがあったかどうかは甚だ疑問ではあるが、断ることもしなかった。


 信号を待つ。横断歩道を渡る。通学路から外れる。


「なんで何も言わないの? でしたね」


 人の目が落ち着いた、すくなくとも視界の限りに同じ制服がいなくなったところで、天知は堀田の言葉を繰り返した。


「答えは単純です」


 じっと天知の顔を見る。息遣いまでも見逃さないつもりで。


「そもそもわたしは、サッカー部になんか入る気がないからです」


 核心的な言葉に、堀田は喘いだ。

 やっぱり、という思いと、どうして、という思いがない交ぜになって、言葉にならなかった。感情の整理がつかなかった。


「わたしは言いました。サッカー部の見学をしている、と。人を見ている、と」


 天知は代わりとばかりに口を開く。堀田の感情の整理を担ってくれる。


「堀田さんは言いましたね。部員のやる気が高まっていると。わたしにカッコいいところみせるんだー、わたしにドリンク作ってもらうんだ、お疲れ様ってタオル渡してもらうんだ、と」


 言った。サッカー部を遠くから見学している天知に入部届を渡した、勧誘した初対面のとき。


「そのとき、わたしは思いました。堀田さんはサッカー部の関係者なんだな、と。内情に詳しい。詳しすぎたんです。なら、わたしのことを勧誘に来たのは、マネージャーだからなのかな、と思いました」


 たしかに、堀田は陸上部や野球部やテニス部については何も知らない。職員会議の日だからサボってるとか手を抜いてるとかあるだろうけど、必ずしもそうとは限らない。しかしサッカー部に関しては、断言できた。


「ですが、それだとおかしい。サッカー部にはマネージャーなんていないはずですから」


 胸が痛くなった。


「見学をしていれば一目でそんな存在がいないなんてわかる。もっと言えば、本物のマネージャーがいれば一年生がマネージャー紛いのことをする必要もない」


 新井たちが雑用扱いされ、下積みをすることもない。ボール出し、ビブス洗い、ボトルやタオルなんて準備せず、サッカーをしていればいい。サッカーに集中するための、マネージャーなのだから。


「だからわたしは思ったんです。この人は、何をしに来たんだろう、って」


 私はマネージャーです、と。敢えて嘘をつくことはしなかった。だがマネージャーではないと宣言することもしなかった。そうすれば天知が勝手にマネージャーだと思い込んでくれると思ったから。そういう振る舞いをしたのは事実だ。サッカー部の内情を細かく語ったのだって、信憑性が増すと思ったから。しかし、まさか、そのせいでバレたとは。


「これが、語るに落ちるってやつ?」


 天知は首を縦にも横にも振らなかった。


「そう思うと、次は、なぜ。という疑問が芽生えました。なぜ、マネージャーだと自分を偽るのか。なぜ、マネージャーでないならこの人はそこまでサッカー部の内情に詳しいのか。なぜ、サッカー部に所属していない人が、わたしを勧誘してくるのか」


 すべてわかっているのだろう。


「ひとつめのなぜ。なぜマネージャーだと偽るのか。これは自明でしたね。無関係者が入部届を持ってくるのは意味がわからない。マネージャーなら、顧問に頼まれたとかそれらしいことを言えば、納得性がある」

「まあ、そのせいで尻尾を掴まれたんだけどね」


 天知は軽く頷いた。


「ではふたつめのなぜ。なぜ無関係者なのに、サッカー部の内情に詳しいのか。具体的に言うと、職員会議の日はサボりや手抜きが多いけれど、わたしが見ているから本気で取り組む人がいる。わたしにカッコいいところを見せたい、わたしに労って応援してもらいたい」


 すべて、堀田が天知に言ったことだ。


「複数人からの証言で、サッカー部の総評だと思い込むように語っていました。しかし実際は、これらはたったひとりの感想、願望ですね」


 確認は、取るまでもないだろう。


「無関係者がその内情を知るには、手段はひとつだけ。関係者から聞くことです。堀田さんはサッカー部の彼と懇意のようでした。新井久司くん。彼が、あなたに、サッカー部の内情と願望を話したのでしょう」

「まともにやったことないしテレビでも見ないけど、サッカーのルールはだいたいわかる。日本代表ぐらいなら、言えるよ」


 日本代表が世界を相手に試合をするとき、新井はうるさい。勉強するにも、寝るにも、適当にゴロゴロするにも、とにかくうるさい。部屋から応援の声と、一喜一憂の声が漏れてくるのだ。それを注意すると、梨沙も見ろよ! と、部屋に乗り込んでくる。寝不足にもなるし、選手の名前もルールも叫ぶので覚えてしまった。


「では最後。みっつめのなぜ。なぜ、無関係者で、サッカー部にも所属していない人が、わたしに直々に入部届を持って勧誘してくるのか」


 ひとつめ、ふたつめとわかっているのであれば、あとは芋づる式で判明するだろう。


「彼のためだった……というのは、理解しがたいです。わたしがマネージャーとなれば彼の動力源となる。彼に活躍してもらうために、わたしに入部してもらおう。それは、ないです。考える余地もないほど、あり得ないです」


 その通りなのだが、強く断言する天知に訊いてみたくなった。


「なんでそう思うの?」

「だって嫌じゃないですか」


 天知は即答する。


「自分の好きな人が、べつの異性を動力源に頑張る姿なんて、見たくないじゃありませんか」


 用意されていたような、そこにあった言葉を持ってきたような天知の姿には、諸手を挙げてひれ伏したくなる。そこにはひとりの少女らしさがあった。天知にもふつうに想い人がいるのかもしれない。乙女心は親近感を感じさせた。


「そこまで至ると、なるほどとなりました。自分の身分を偽ってまで、嘘を着てまでわたしを勧誘しに来る意味が、わかりました。彼がわたしを動力源にするのは見たくない。だからこの人は、サッカー部に入部するのを阻止しに来たんだな、と」


 どうすればいいだろう。全力で拍手でもすればいいのか。

 ものの見事に見抜いてしまった天知には敬服せざるを得ない。拍手をするのでも花丸を贈与するのも性には合わず、代わりに深く溜め息をついた。


「だから、入部届をわたしに渡しに来るなんてわざわざ言ったんだ」

「はい」


 あれだけサッカー部を見学しているのだから、天知の心はもう決まっているのだとばかり思っていた。だから、入部届を見せればすぐにサインをしてくれると思っていたのだ。あそこで答えがもらえると……。

 だから考えると返事が来て、困った。もしも顧問や担任に渡されてしまえば、もう堀田に止める術はない。

 天知はサッカー部に入部する。マネージャーになる。サッカー部全員から好意を向けられ、その中には新井もいる。自分のことなんて、もともと眼中になかったのに、まるで勝ち目がなくなってしまう。


「金曜日に渡してくれたのも?」

「木曜日だったりしたら、不安でしょう?」

「そうかも。手元にあって、私が握り潰したってことで、安心した」


 これで阻止したのだと、胸を撫で下ろしたのだ。


「わたしからも、訊いてもいいですか」


 断れるはずがない。


「どうぞ」

「ありがとうございます」


 形式としての感謝はまともに受け取らなかった。


「どうして、あんなことを言ったんです?」

「あんなこと?」

「はい。なんで何も言わないの? と」

「ああ……」

「まるでわたしが詰め寄るのが当たり前だと言いたげでしたよね?」


 堀田は渋い顔をした。どうして堀田の裏工作は見抜いたのに、そんな単純なことがわからないのか。


「私の裏工作はとても脆いもの。一発でバレてしまう」

「わたしが、サッカー部に行けば済む話」

「わかってるじゃん」


 天知がサッカー部を訪れ、マネージャー業に勤しんでいれば誰もが怪しむ。部員こそ喜ぶかもしれない。不自然な点は些細なことだと目を瞑るかもしれない。しかし顧問はそうはいかない。いくら教師からも人気な天知でも、お前は何をしてるんだと咎められる。そこで、おかしなことに気付くのだ。入部届は渡しましたよね? いいや受け取ってないぞ。と。


「いえ。そうなると、もっと疑問なんです」

「なにが?」

「そんな簡単に露見することを、なぜしたのか」


 ああ、そういうことか。と、堀田は苦笑した。


「バレたらバレたで、方法はいくらでもあった。渡し損ねていたとか、こっそり先生の机に忍び込ませておくとかね」

「ですが、そうなると……」

「けっきょく水の泡。入部しちゃうじゃん、って?」


 こくりと天知は頷く。


「うん、だから。……だから、それまでに決着をつけようと思ってね」


 ひどくみっともない顔をしていただろう。悔しいのか、悲しいのか。見せられない。顔を伏せる。とにかく、みじめだ。こんなことまでやったというのに、けっきょく。


「ああ、だから……告白、したんですね」


 まるで見てきたかのように納得する。おそらく、堀田の表情から察したのだろう。その答えも。口だけ吊り上げて、言う。


「わかってた。新井が何を一番にしているか。恋愛でもない勉強でもない。いま新井が一番優先しているのはサッカー。だから告白は、しなかった。いまのままのちょうどいい距離感を保っておいて、あいつが引退でもしたら告白してやろうって考えてたの」

「引退まで、まだ二年もありますよ」

「私がどれだけ待ってたと思ってるの?」


 小学生の頃から好きで、中学生になっていわゆるそういう時期で疎遠になってしまって、受験を機に距離を縮め、高校は追いかけて入ったのだ。新井は偶然だと言っていたが、そんなことはない。新井がサッカー一筋なら、堀田は新井一筋。新井がサッカーに情熱を注ぐ以上の年月を、想っていたのだ。


「それなのに急に現れた天知さんに心を奪われて。ずっと天知さん天知さん天知さん……」


 おかしくなりそうだった。

 天知が新井に靡くかどうかは関係ない。新井の口から天知を聞きたくなかったし、たとえ部内でも同じ時を過ごしてほしくなかった。だから、先に堀田と付き合おうとした。自分が彼女になって、新井が彼氏になれば、新井は天知の代わりに自分の名前を呼んでくれるのでは、と。

 わずかな希望でも、そうであることを願うしかなかった。


「私も高校生。新井が私のこと、異性として見てないってことぐらいわかってた。でも、夢ぐらい見たかった」


 すべてを見通してすべてを看破したのなら、天知は自分が何をしたかよく理解しているだろう。

 べつに天知のせいだとは言わない。天知がいなければ告白が成功していたかと言われれば、そんなことはない。

 しかし、堀田の夢を壊したのは、天知なのだ。

 だというのに、その張本人である天知は、ひどく悲しげだった。まさかこうなるとは思ってなかった。なんて、言うつもりじゃないだろう。


 遠巻きで、見守るぐらいがちょうどよかったのだろう。浅瀬でよかったのだ。海は深い。潜ってしまったら、浮上するのも苦しい。

 天知に対する化け物という感想は、おおよそ間違ってはいなそうだ。しかしその見た目から、どうも絆されてしまう。おおまかに悲しい、楽しいといった感情は知っているが、そこにある細分化された機微までは感じ取れない。人の世に馴染めない、深海の化け物感があった。


 自分で言っていて笑ってしまう。ここまでの徒労もすべて、堀田は乾いた笑みを漏らした。


「それで、どうするの?」

「どうするの? とは?」


 小首を傾げ、惚けているのかどうか。掴みかかる気力は、残念ながらない。


「全部わかってるなら、私のこと、吊し上げでもする?」

「そんなことしても、わたしに得はないですよ」


 そしてもう一度、天知は物わかりの悪い子どもに向けるように、言った。


「わたしはサッカー部に入る気はありません。サッカー部には興味がないんです」

「人を見てるって言ってたね」

「ええ。そしてその人は、サッカー部に入ってません。彼が入っていないのだから、わたしが入る理由もないでしょう」


 なるほど、たしかに。

 あの時期は仮入部だ。仮なのだから、一日でやめてもいい。そこに拘束力はなく、だからこそ気軽に誰でも足が向かう。そして天知がサッカー部を見学していたのは、仮入部期間だ。堀田の頭ではそこまで気が回らなかった。早とちりというやつか。


「勝手に焦って勝手に突っ走っちゃったってこと……ごめんね、天知さん。迷惑かけちゃって」

「いえ。堀田さんのせいではありませんよ」


 気遣いか。一から百まで、すべて堀田の責任だ。誰かに唆されたわけでもなく、誰かのためにやったわけでもなく。自分のために、自分の決断で、やったのだから。


 どうやら本当に、天知は堀田に責任を取らせるつもりはないらしい。話は終わったと背中を向け、帰路を歩む。呆然と立ち竦んでいると、天知はふと足を止めた。ゆっくりふり返る。


「余計なお世話かもしれませんが」


 そう前置きする。眉を八の字にしているのはお節介だと思っているからか。堀田には、困惑しているようにも見えた。なにに困惑しているのかは、当人にわかっていないのだから堀田にわかるはずもない。


「まだ、チャンスはあると思いますよ」

「……は?」

「彼は、あなたに何て言って告白を断りましたか?」


 遡るのは三日前。火曜日。

 水曜日は振られたショックでまともに頭が働かず、木曜日はバイトに勤しんだ。金曜日になって、気持ちの整理がついたところでやっと、天知のことに気が向き、こうして対峙した。

 たしか、そう。新井は、こう言ったのだ。


『ごめん。気持ちは嬉しい。本当に。でも……いまはまだ、考えられない。ごめん』


 振られたという事実だけが先行して、よく新井の言葉を聞いていなかった。彼の言葉を考えてみると、行く行くは、そうなる可能性があるということなのか。一ヶ月、半年、一年後二年後。具体的な期間は定かではないが、いまでなければ、そういう風に考えてくれるということなのか。


 天知は、残酷なのか慈悲深いのかよくわからない。というかなぜ、天知は新井の断り文句を知っているのか。まるで見てきたみたいじゃないか。さっきも、堀田は何も言っていないのに、告白したことを知っているようだった。表情から察したのかと思ったが、違う。堀田は、顔を伏せた。顔を見られたくなくて、伏せた。なのに天知は、納得したのだ。

 それに、堀田にはひとつ、疑問があった。あのときは深く考えなかったが、違和感の連続で、いまはもう捨てられない。


 なぜ、あの日。堀田が告白したあの日、天知はあの店にいたのか。

 堀田のバイト先に、天知はいた。偶然と言って、新井の対面に座っていた。彼女がジャンクフードを食べるのは似合わないけど、それは食べてはいけないことを意味しない。しかし天知は、あの日、何も食べていないし何も飲んでいない。帰り際、天知はトレーを片付けることもなかった。堀田は自分と新井の商品が載ったトレーをひとつだけ片付けた。天知の分は、もともとなかった。なにより、天知は、家族か友人か誰かと通話した。あのとき、何をしゃべったか。食べると言った。あれは、夕食の話ではなかったのか。


 天知はあの日、何をしに来たのか。

 堀田は接客を担当していた。学校が終わり、レジに立ったのだ。19時まで、来店する客の顔は見た。そこに天知がいれば、覚えている。とすると、天知があの店を訪れる隙はふたつだけ。

 堀田がバイトを上がってバックヤードに戻り、着替えをしている間。もしくは、堀田よりも早く店を訪れる。このふたつだけ。後者だと、三時間以上を過ごしていたことになる。それはないと自然に切り捨て、前者のように捉えていた。だがそれだと、天知は何をしに来たのだ。

 天知が手ぶらで帰っていくのを見て、堀田は思ったのだ。誰かと来たんだな、と。友人が食べたいと足を運び、天知は付き添いで夕飯もあったため何も頼まなかった。そこで偶然、新井と顔を合わせる。しかし新井は言った。ひとりで大丈夫かな、と。天知が友人と来ているのであれば、新井はその友人とも顔を合わせるべきだろう。そんな発言はしない。

 つまりあの日の天知の行動には、嘘が確実にある。偶然ではなかったのだ。


 堀田は決着をつけようとは思っていたが、天知が何も言わずサッカー部にも訪れないことを知り、うやむやになるのでは、と過ぎったのもある。どうやって告白しよう、いつ、どんな言葉でと考えているうちに時間が過ぎ、天知からの言及がなければそれはそれでいいかもしれない、と思わなかったと言えば嘘になる。

 火曜日に堀田が告白をし、飾り気もない言葉で思いの丈を伝えてしまったのは、新井と天知がふたりで話す場面を直視したからだ。

 あの店で、あの席で、もしもふたりが恋人にでもなれば、自分には決して見せない顔を天知には見せるのだと現実を突き付けられて、居ても立ってもいられなかったのだ。


 夕飯時に飲食店を訪れ、偶然と装って新井と同じ席につき、何も食べず何も飲まず、家に帰って夕食を取る。

 堀田よりも早く下校して駅に向かい、三時間以上をひとりで過ごして新井と同じ席につく。


 これは、どう考えても狙って来ているか待ち伏せかの二択。そして堀田からすると、脅しにも思えた。


 天知のことがよくわからない。いままで語ったことがすべて嘘に思えてくる。しかし、堀田が天知に駆け寄ってこの違和感を問い質すことはなかった。これ以上深くまで潜ったら、溺れてしまいそうだったから。

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