木登り後の余韻 → 次の遊びへ
芝生に座り込み、木登りでかいた汗を拭うマリアンヌ。
ほおにはほんのり赤みが差し、髪は風で少し乱れている。
だが、表情はまるで宝物を見つけた子どものようにキラキラと輝いていた。
「ふぅ……でも楽しい!」
胸いっぱいの冒険心を抱え、マリアンヌは周囲を見渡す。
すると、裏庭の端に小さな土の堆積が目に入った。
湿り気があり、色も濃く、まさに“遊ぶのに最適な土”である。
マリアンヌの指が地面に触れ、土を軽くこねる。
「ふむ……水分量……粘土質……よし、コレだ!」
その顔はまるで錬金術師が秘薬を完成させたときのような真剣さだった。
侍女たちは息を呑む。
木登りの惨劇の余韻も、どうやらマリアンヌの中では“遊びの前哨戦”に過ぎないらしい。
「……お嬢様、次は……土遊び……ですか……?」
小さな声で呟く侍女に、マリアンヌは満面の笑みを返す。
「そう! 次は“究極泥団子”作りよ! 見ててね!」
そして、再び小さな冒険者の目が輝いた。
裏庭の平和は、まだまだ安泰ではない――。




