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7. 婚約者

目を覚ますと婚約者だと名乗ったレオルドと目が合う。

自愛に満ちた表情のまま笑みを浮かべている彼に教材に書かれていた人物像と違い過ぎて本当に皇帝陛下なのかと疑いたくなる。


「どうした。」


「教材に書かれていた方と同一人物には思えなかったので。」


「好意を持つ相手の前なら当然だろう。私は婚約者の君だけのために今の地位につく事を望んだからな。他に興味がない。」


「で、ですが皇帝陛下ともなれば今までに僕より良い方に巡り合うこともあったのでは?」


「心配しているのか?先にも言ったが、他は興味がないんだ。君以外の女性は皆同じに見える。どうしても心配だというのなら…。」


不意に近付いた彼の顔に驚いていると唇にふっくらとした感触。

キスされたのだと気付いたときには顔に熱が集まっていった。


「な、何するんですか!」


「キスしたくなった。婚約者の特権だろう。」


「…ファーストキス…だったのに。」


「すまない、君のファーストキスは幼い頃私が既に貰い受けている。」


「…え?」


「一度、昼寝の時間に訪ねたからな。眠っているリーシャにキスした。」


「寝込みを襲ったんですか…!?」


「幼き私の独占欲だ。」


「…独占欲?」


「町の子供と楽しそうに遊んでいるのを何度も見かけていたからな。君が遠くに居るように思えた。だから私だけの特別が欲しかったんだよ。」


遠い日を思い出しながらそう言った彼は楽しげにしている。

勝手にキスするなんてと咎めるつもりだったのに、そんな顔されたら怒るに怒れないじゃないか。

諦めたように小さく溜め息を溢していると扉をノックする音が聞こえてきた。


「何だ。」


「リーシャ様を返して欲しいと生徒が来ています。どういたしますか?」


「生徒…?エドワード・クロスティアか。」


「ご存知でしたか。」


「人の婚約者に手を出す不埒な奴だ。一度じっくり話を…。」


「こ、困ります!ここでは男性として通っているのですよ?エドワードは僕が女性であることは勿論、婚約者が居るなんて知りませんし…。」


「だとしても彼の行動は目に余る。男装の件は黙っておくから心配は要らない。スヴェン、中に案内してくれ。」


「かしこまりました。」


扉へと向かった彼を見送りながらやっと起き上がったレオルドは正装に着替え、お姫様抱っこをされたまま隣の部屋にあるソファーへと腰掛ける。


「この状態はおかしくないですか。」


「何故だ。」


「僕と陛下は初対面。そんな二人がいきなりここまで仲良くなったりしないでしょう。」


「気が合ったということにするさ。君が思っているより私は嫉妬深い男だからな。暫くこうしていないと落ち着かない。」


どれだけ身動ぎしてみても、体格差もあり抜け出すことなど出来るはずもなく。

もう諦めたと彼の胸に顔を隠すようにしてエドワードが入ってくるのを待っていた。


「陛下、エドワードさんが見えましたよ。」


「以前、夜会で会ったな。」


「リュートとどういう関係なんですか。」


「君こそリュートとはどういう関係なんだ?同じ寝所を共に過ごすなど一般的ではないだろう。」


「俺はリュートに好意を抱いていますから。」


「悪いが、リュートは私の婚約…「ああああああああ!!」」


「どうした?構ってもらえなくて寂しかったのか。」


「ち、違いますよ!(婚約者のことは内密に…!)」


彼にそっと耳打ちする姿にエドワードの眉間に皺が寄せられ、握った拳からは血が出ている。

夜会で一度会っているとはいえ、あの時は女装していたのだから気づかれてはないはず。

そう思っていたが、この数時間だけで二人の親密度が急激に上がるなんてことあり得るのだろうか。

リュートは俺が先に見つけた存在なんだ。

横から掻っ攫われるなんて冗談じゃないと彼を奪うべく動き出すのだった。

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