第二十四話 食べ過ぎは体に毒です
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併設された酒場はギルドとは打って変わって、木目調のウエスタンな内観であった。
お昼は定食屋として営業しているのだろう。
ぽつぽつとお客が入っていて、その客層は冒険者に限ったものではない。
まぁ中にはいかつい男が酔いつぶれてしまったのか寝ているような光景も見受けられるが…。
俺達は突き当りのカウンター席に座り、目の前でボーっとしていたお姉さんに話しかける。
銀髪でショートパーマの髪を有したそのウェイターの瞼は今にも寝てしまいそうなくらいに半開きである。
まったくどいつもこいつもやる気がねーな…。
「ご飯を食べたいのだが、メニューはどこだろうか?」
「ん」
彼女は左後方に指をさす。
振り向いてそちらを見ると、掛かっている板にメニューらしきものが書かれているのがわかる。
「居酒屋形式かよ…」
(つーか愛想悪すぎだろ。なんか言えよ。)
だがしかし、軽く邪険にされた程度では小揺るぎもしないのが隣のエニグマさんという方だ。
全く意にも返さず、ハンバーグ定食を注文。
何でも良かった俺はすかさず同じのを頼む。
が、頼み終わった後彼女がむくれる。
えー…、何で?
「同じのを頼むのか?」
「何か文句でもあるんすか?」
「無いが…、美味しそうだったら一口もらおうかと…」
なんだこの人?変な所でパーソナルスペース近いな…。
思わず好きになっちゃうぞ?
「いや、あげませんよ。間接キスになるじゃないですか」
「冒険者をやるのにそんなことを気にするのか?」
「…、それもそっすね。でも自分の食べて下さい。」
「えー」
上目遣いを追加してもダメなものはダメだ。
注文を承った気怠けな女性は料理を作りに行ったのか裏へ行ってしまったのだ。
今更変えようとしてもより面倒になるだけだ。
そんなわけで、料理を待つ間世間話に興じる。
「へー、その服。うちの制服と同じで陣が編み込まれた防具だったんすね」
「あぁ、エニグマ家の人間のみが着ることが出来る特別製でな…。家から貰った数少ないものの一つなんだが…」
「そう言えば…」
「おい」
話の途中で突然後ろから声がかかる。
振り返ると防具をつけた2人組が立っている。
酒場で寝ていた男と同じ所に座っていた奴だ。
まだ頬杖をつきながら冬眠中の熊のように寝ている彼を見るにそのまま置いてきたのだろう。
彼とは違いひょろっとしてはいるが、それでも大人である。
まだまだ成長期の俺らとは縦にも横にも比べるべくもない。
ところで一体何なんだろう、険悪な顔つきで。
取り敢えず他人との揉め事にめっぽう弱い俺は視線で横に『頼んだ』と縋るような眼を送る。
意図が伝わったのかどうかは分からないが、彼女は元々委員長気質の人間である。
力を入れて勢いよく立ち上がると、そいつらと向き合う。
「…、なんだろうか?」
「お前その制服、学園の奴だろ。それにあっちから入って来るのを見たぞ。お前ら冒険者やってんのか?」
「そうだが?何か君たちに迷惑でも?」
「ここはお前らみたいなクソガキが来る場所じゃねーんだよ!!!!」
喋っていた一人がいきなりぶち切れる。
情緒不安定かよ。
というかそうかこっちにいたか、油断していた。
冒険者とはそういう生き物である。
絡まれる危険性はあるとは踏んでいたが。
パッションで攻めてくる彼に対し、こちらはあくまで理詰めで応戦する。
「冒険者になれる年齢は満たしている。正式にここで受付をして私たちは冒険者だと認められたのだ。お前達にどうこう言われる資格などないが?」
「いるんだよなー、こういう冒険者になりやすいからこの町にわざわざ来るニュウビ―の奴らが。てめぇらみてぇな雑魚、ヴィデルチェで雑用でもして下積み重ねてから来いや!!」
「まぁ、そっちのお前はこれから俺達に付き合ってくれれば、ここで冒険者やるのも許してやらなくはないが?」
「お前等…」
エニグマさんの怒りのボルテージがグングン上昇していくのが言葉の端からにじみ出ている。
うわーそれにしても絵に描いたようなゴミ来ましたわ、これ。
はい、隣の君もうんうんうなづかない。
言ってることが支離滅裂過ぎなの分かってないのかなぁ?
注意喚起だか何だかよく分からんが、最終的にナンパ目的に話すり替わってるからね?
あと地味にヴィデルチェ出すのやめてくれない?
ディスってないよね?
平和な町って意味だよね?
ぶん殴るぞ?
まぁ心の中で思うだけで、実際俺は日本出身、平和主義の代表みたいな男の子である。
ここはマイケルジャクソンばりに後出でこの場を上手く納めてやろうじゃないか。
「あのー、その辺で…」
「うるせぇえ!!」
酒場の視線を一身に集める中、相手側も引くに引けなくなったのであろう。
座っている俺の頭が彼のちょうどいい位置にあったからなのかもしれない。
ゴチンッという鈍い音と共に、籠手を帯びた拳骨が俺の頭の上に振り下ろされる。
革製だったが、所々大事な部分に金属が仕込まれているのだろう。
使い手を思いやったいい籠手なことで。
「あいたっ」
軽くやってくれたのだろうが、痛いものは痛い。
頭を押さえて悶えていると、隣からブツッと何かが切れる音がしたのは気のせいだろうか。
下を向きながらも、彼女の方を伺う。
皮膚が紅潮していくのとは裏腹に、顔はスッと能面になってしまったかのように表情を失っていく。
その様は被害者たる俺をも恐怖させるものだった。
「ひぃっ」
その声が漏れたのは誰の者か…。
この場の誰しもが怒らせてはいけないものを怒らせたのだと認識した次の瞬間、
「「ごはっ!?」」
流れるように近づき、目にもとまらぬ速さで2人にボディーブローを両手でかます。
相手が防具を付けていることなどお構いなしでだ。
2人はくずおれるように倒れ込むと先ほどの俺と同じ様、そのこうべを彼女に向けた形になる。
目には目を歯には歯をということだろう。
彼女は再びこぶしを握り、その2つの頭に命中させていく…。
そんなところで、
「ちょい待った」
ストップがかかる。
いつの間に来たのだろうか?
先ほどの眠たげなウエイトレスさんが、振り上げたエニグマさんの両こぶしを押さえるようにその場で佇んでいた。
一拍おいて俺の前髪が正面からの風でフワリと揺れる。
カウンターの方を振り返ると俺達のであろう、ハンバーグがのった定食が2つ、裏から出てすぐ横の空きスペースに放置してある。
「くそがっ!!」
「覚えてろよ!」
ここぞとばかりに捨て台詞を吐いた2人は正面からそそくさと酒場を出ていく。
代金も払わずに出ていったが食い逃げか、はたまた何しに酒場に来たんだか…。
まぁいいか。
「大丈夫か?」
「え?あぁ、優しく小突かれただけっすよ?」
「そんな風には見えなかったが…」
「大丈夫じゃないのはアナタでしょ。ここはギルド関連施設よ?私闘なんていい度胸してるんじゃないの?」
話の途中でウエイトレスが割って入る。
その半開きの眼からは何を考えているかは皆目読み取れそうもない。
「先に暴力に訴えてきたのはあちらだぞ!それにこちらは冒険者になるのを否定された上に口説かれたんだ。あくまで正当防衛である!」
「そうだそうだ」
「スカッとしたぞ」
「いよっ!暴虐姫!」
彼女の言葉を肯定するかのように周りから賞賛の声が上がる。
さすがはギルド提携の酒場というべきか、ここを利用している奴は大なり小なりこういう荒事には慣れっこらしい。
さすがにこれ程賛同者がいてまでなお問い詰めるようなことはしない。
ウエイトレスは矛を納める。
「なるほど、だから逃げ出しのね…。ごめんなさい、彼等には後で厳重注意しておくわ。代わりと言ってはなんだけど飯代をタダで提供してあげる」
「ホントですか!?じゃあスイーツパフェも追加で!」
「…」
おい、こっち見るな。
いいだろう。どうせ懐は痛まないんだし…。
「いいだろうか?」
「えぇ、勿論」
「それじゃあ私もスイーツパフェ1つで」
(かぶせんなやぁぁぁああああ!!)
それから俺たちは充実したお昼ご飯にありつくことが出来たのであった。
彼らが酒場を出て小半刻過ぎた頃、
「ねぇ、起きて」
「んぁ、アイツ等は…?」
「アナタの連れはここで問題起こしてどっかへ行ったよ。リーダーとしてメンバーの手綱を握れない奴はギルドには要らないんだけどね…」
「あぁ、すまねぇ。俺からきつく叱っておくわ」
怒られているその男はそのどでかい体を縮こまらせ、毛むくじゃらの顔をしょんぼりとさせつつ酒場からの退出を試みる。
「それじゃぁ、俺はここで…」
「ちょっと待って」
「きのことハンバーグの定食、ステーキ定食、カニとクリームのパスタ、フライドポテト、こんがり焦げ付き肉盛り合わせ、とビールが3人前」
「せっかく作ったのに食べない奴いないよね…?」
「…はい」
その日、頼んだメニューの量を間違えて、ダウンした方がいたとかいないとか。
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モンストの総選挙ガチャの補填は果たしていつになるのやら…。
愚痴ですね、はいすいません。




