幕間 部活に入ろう!②
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「ここか、いきもの同好会。通称いきものがかり…」
何を隠そう俺は大の動物好きである。
前世では家が汚くなるからとペットは飼えなかったが、それでも勤務地近くで放し飼いにされていた柴犬に出勤するついでに毎度餌と水をあげに行くぐらいにはケモノスキーであった。
どうしてるかなぁ、ポチ。
他の人にも可愛がられているのを見たことがあるので餓死はしていないだろうけど。
代り映えのしない毎日の数少ない楽しみの1つであったことは決して過言ではなかった。
そして、現在絶賛モフモフ成分ロス状態であった俺には、ここの『可愛いペットのお世話や見せ合いっこをしたい新入部員さん募集中!!』という女性によって書かれたのであろう丸みを帯びたその見出しからは目を離すことが出来なかったことはいうまでもない。
場所は寮と野球場のちょうど真ん中、部室棟の地下1階の1室にそれはあった。
外から見た感じクラス教室でもないのにお部屋が広そうなのが気になるところではある。
「よし、物は試し。入ってみるか」
「失礼しまーす」
いざ扉を開けて入ろうとしたところなのだが…、
ドアの目の前は茶色い物体に塞がれていた。
「ん?え、ナニコレ。どういう状況?」
上を見上げると、俺の身長を大きく越す生物がいたのである。
いや、この赤い鶏冠に黄色い嘴、フワフワしてそうな茶色い体皮は紛れもなく鶏である。
そんな名古屋で育てられてそうな鶏がなぜか巨大化し…、扉の真ん前で仁王立ち、眦を吊り上げ俺は頭上からメンチを切られていた。
コイツの余りの表情の豊かさに唖然とし、口をガン開きにしたまま体を硬直させてしまう。
そのまま時が止まること少し、天からの助けか後ろから柔らかい声がかかる。
「あー!こーちゃん!他の子に威嚇しちゃダメでしょ!」
その女生徒は俺の脇をスルリと通ると、近くのテーブルに荷物を置き、巨大鶏の首に抱き着いて、つま先立ちのまま奥に誘導していく。
ようやく部屋の全体像が分かるようになる。
どうやら奥の半面は外テラスのようになっていたらしい。
小さな運動場付きの幼稚園や保育園のようであると言えば分かりやすいだろう。
両開きの掃き出し窓を隔てた外には色んな動物がいるのが遠目で見える。
相性が悪い動物同士が喧嘩しないようにか仕切り版が設けられているのも印象的だった。
俺が部屋を物色していると、先程の声の持ち主の方がサッシを開けて入って来る。
例の鶏は奥に移してくれたのだろうか。
俺はこれからへの一抹の不安を抱えつつも声をかける。
「どうもー、入部希望で来ました。アノアです」
「よろしくねーアノア君。座ってー今ぶちょー来るから」
これが俗に言うゆるふわ女子というのだろうか。
今までは認知していなかったが、改めてみるとポワポワした雰囲気の方である。
緑色の髪をふんわりボブにまとめ、糸目になるくらい常時ニコニコしていた。
青いリボンをしているので、2年生の生徒さんだろう。
「部長…?何か面接でもやるんですか?」
「面接?」
「あぁ、いえ何でもないです」
「んー、面接ってわけじゃないけど。うちの同好会の活動目的は話しておかないとねー」
すると再びサッシが空き、中から工業用作業服に身を包んだ黒髪ポニテの方が入って来る。
「いやー、ミコちゃん新入部員だって?」
「あー!こっちです!こっちー。」
俺から見て左手隅っこ、ペット逃亡防止用の柵が設けられているその囲いの中。
部室棟になぜかある6つの教室机、繋げ合わせてうまい具合に大テーブルになっている所に向かい合わせになって座る。
椅子はもちろんクラスにある椅子だ。
「んん、それじゃあ改めまして、私がここいきもの同好会の部長を務めるサンタナだ。」
「私は君の1年先輩のミコラだよー。ミコラちゃんと呼んでね!」
「あ、よろしくお願いします。アノアです」
互いにペコっとお辞儀した後、席に座る。
「それで、アノア君はどうしてこの同好会があるかは知ってるー?」
「いや、ただ動物達と楽しくふれあいたいからできたんじゃないんですか?」
「んー、それもあるんだけどねー」
「ここからは私が話そう。アノア君は1年の夏休み明けに従魔召喚の儀があるのは知ってるかい?」
「従魔召喚?」
従魔は恐らく、エヴァン先生が持っていた使い魔の事だろう。
「どうやら知らないようだね。1年の…、たしか魔術学の授業であるんだけど。全員が魔法陣の真ん中に立って従魔を召喚するんだ」
「でもー、皆に従魔が出てくるわけじゃないのー」
「そう、ほとんどの生徒はその魔法陣に立つだけで終わるだろう。かつての私もそうだった。それに魔法陣から出てくる生物も様々だ。自分と縁が深い生物が呼び寄せられるんだったな。歴代の生徒にはドラゴンをも呼び寄せて平服させた者もいたそうだ」
「すっご」
この世界のドラゴンは良く分からんが、多分ワイバーンみたいな劣種じゃなくてちゃんとした奴なんだろう。
「まぁここからが本題だ。この従魔召喚の陣なんだが、出てくる生物は様々だ。ドラゴンのような魔獣から精霊、そして動物も含まれる」
「それでねー、この動物が物凄いネックになるのー」
「そう、魔獣や精霊は空気中の魔素をエネルギーとして活動することになるから、ご飯やトイレなどお世話についての心配は比較的少ない。それにこいつらは召喚者と契約することで召喚者の体内を住処とすることができるからな」
「逆に動物になると契約も出来ないし、お世話が必要になるということですね?」
「正解だ、まぁまだ理由があるんだが…、そういう寮などでは飼いにくい動物やここで放し飼いにしたい魔獣なんかも取り扱っている。自分の魔獣を見せびらかしたいって奴もいるがな…」
「ウフフフフ」
「ちなみに他の理由って何なんですか?」
「あー…、自分で育てるのを放棄しちゃう生徒なんかもいるんだ。確かに気持ちは分からなくもないけどさ。そういった子を路頭に迷わせない為にもこのいきものがかりはあったりする」
「何が気持ちはわかるーですか!勝手に呼び寄せたのに捨てるなんて同情の余地なしですよー!」
「あぁ、すまない」
「なるほど…、あのそういえばいきものがかりって?」
「お!そこに何か引っかかるかい?」
「あ、はい。どういう理由で付けたのかなと」
「その答えなんだけどね。私たちにはわからないんだ。私の何代も前の部長、つまりここを創設した方なんだけど、その人がこの同好会名にピンと来た生徒がいたら是非入部させてやってほしいっていう代々の言い伝えがあるんだ。何かわかったかい?」
「いや」
分かったも何もそのままだろう。
多分ここの創設者は俺と同じ日本から来たのだろう。
ただのしょうもないダジャレである。
この答えはこの世界で著作権ガン無視で音楽を商売にしている何たら商会とやらがある限り迷宮入り確実だろう。南無。
俺の返答を否と受け取ったのか、サンタナ先輩はグイっと近づけてきていた顔を引っ込める。
まぁ別にわざわざこんなこと話さなくてもいいだろう。
「そうか…、まぁこれで私たちの目的と活動内容は分かっただろう。主に、動物や魔獣のお世話だ。そのついでに可愛がることも出来よう。」
動物園の飼育員さんみたいなものだろう。
「勿論、私たちの他に部員はいるし、一般の生徒、飼い主なんかも出入りして自分のペットのお世話をすることもある。それに育てるのに必要なものなんかは全額学校や飼い主が補填してくれるから君が思うより大変になることは無いだろう」
「私も結構な頻度で張り付いているだろうし、ここは寮も近い。まずは毎日暇な時間に数分でも立ち寄って生き物達の様子を見てもらえるとありがたい。飼育方法はそれから教えていこう。どうだい?」
「はい!是非入部させてください」
「ありがとう、これからお互いに頑張ろう。これが入部届の書類だ。書いたら私の方から顧問に渡しておこう」
「はーい。そしてこれがお望みのご褒美、モフモフちゃんですよー」
ミコラ先輩が俺の隣の席に座り、猫の赤ちゃんを膝の上に乗っける。
見た目はスナネコにかなり似通っていた。
どうやら、肩にかけてあるピンクのポシェットの中に隠していたようだ。
俺は両手で赤ちゃんを抱きかかえる。
「んん!?あぁん可愛いでちゅねー……。はっ!!」
あ、やべ。
長らく癒し成分を摂取しなさ過ぎて、内なる人格がつい人前で出てしまった。
2人は俺の変わりように驚嘆し、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして一言も喋らなってしまった。
ミコラ先輩!閉じてた目がかっぴらいてますよ!大丈夫ですか!
余りにも恥ずかしかったので、素早く猫を返し入部届を書いて素早く退散。
その間一言も喋ることは無かった。
はぁ、全く今日は本当に厄日である。
こんな日は早く寮に戻って不貞寝するに限る。
まぁなんだかんだ言って、明日からちょくちょく顔を出すことになるだろうから。
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