幕間 部活に入ろう!①
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「部活かぁ…」
もうすでに入学式があった週の半ばを通り過ぎている。
式後にサラッと部活紹介があったが、この初週間は新入部員勧誘強化週間として、全ての部活で見学をしに来る新入生達を持て成す義務が生じる。
まぁどこの部活も存続のために必死で新しい子を捕まえてきたり、入部してもらうために部活体験やキャンペーンなども積極的に行っているのであるが…。
部活を運営する資金も年間授業料として、生徒から徴収しているからとか有り余る学園の敷地を有効活用し、課外活動による生徒の能力の向上を目指しているからだとかあーだこーだ言っていたが、要するにすべての生徒がいずれかの部活に入らなければならないらしい。
誠に面倒くさい限りである。
おっとつい本音が。
転生しても自分の性格は変わっていないようでなによりだ。
と言いつつも、ここは地球とは違って高性能PCはおろか、ゲームと言ってもボードゲームが関の山の世界である。
寮に戻ってもやることがないのは事実。
若かりし学生時代のように放課後はスポーツに打ち込むというのも悪くはないのかもしれない。
あ、今は若いんだった。
というわけで、現在は初日に配られた部活パンフレットを片手に放課後に一人で園内を練り歩いているというわけである。
因みに、俺のルームメイトにマロロ君という人がいるのだが、彼は入学初日から野球部に入ることを決めていたらしい。
今後、大きな商会の中でプロリーグ設立の話があるらしく、今最もホットなスポーツになろうとしているのがこの競技らしい。
そのイガ栗頭のルックスで野球部はとてもお似合いだと思うが、友達である俺の事も考えてほしい。
なんだよ『練習があるから無理』って、少しくらい付き合えよ。
新入生勧誘週間もまだ終わってないのに、休んじゃいけない部活なんて絶対に地雷臭しかしない。
それかアイツも俺の為に時間を割くのを煩わしいと思ったのかもしれない。
この借りは絶対にいつか返す。
逆恨みのような気がしなくもないが…、まぁいいか。
「あ、そうだ。水泳部いこっと」
そういえばあの水着美少女。
彼女の名前だがコジマさんというらしい。
壇上で自己紹介をしていた。
2年生で副部長を務めているという話である。
こ、小島!?と一瞬びっくりしたが、正直黒髪の奴なんてここには腐るほどいる。
逆に日本人離れしたルックスであるマークスが転移・転生者である例もあるし、自分から証明してくれない限りは見分けなんて到底つきようもあるまい。
まだ園内の全体像はたどたどしいが、直近の己が記憶を頼りに、難なく先日の金網が張られていた場所まで辿り着く。
案の定プールサイドには俺と同じ色のネクタイやリボンを付けた生徒と僥倖なことにそのコジマさんが担当として何がしかの説明をしているところであった。
(ちょっと遅れちゃったかな…)
「あの!途中参加してもいいですか?」
「ん?君はあの時の…、勿論歓迎だ。」
コジマさんに金網の一部を外してもらい、他の見学している方たちに混ざらせてもらう。
結構多いな…。
15人はいるのではなかろうか?
「さて、何処まで話したんだっけか…。ここ水泳部は4校対抗戦を始め、王都で開かれる大会や賞レースなどにも参加できる権利を持つ。故に練習は過酷、部活内での熾烈な順位争いや本番に出る上級生のサポートなども行ってもらう厳しい部活であることを公言しておく」
うわ、まじか。
「しかし、在学中に優秀な成績を納めれば、プロとして直接商会の方からスカウトが来たり、学院に対する推薦枠の確保、ひいては研究所の方にも顔を利かせることが出来る。苦労に見合った利益は絶対に得られると約束しよう」
「申し訳ないが、男女で一緒にプールに入れるなどといった甘い理由でこの部活に入部するのはやめてほしい。必ず後悔することになるだろう…」
ギクッ!
なぜそこで俺を見るんですか?先輩。
まぁこの時点でこの場を去りたいモードMaxの俺氏ではあるが。
「…、脅かしてすまない。取り敢えず今回は体験入部として、プールサイドでも出来る簡単な運動とそれぞれの使える魔法と魔力適性を見ていこうと思う。我々にこれから必要な人材と君たちの意欲が合致した場合、採用という運びになるだろう」
なんだこの疑似面接は?
俺は入社試験でも受けに来たのかな…。
というか、
「あの…、俺魔法使えないんですけど…?」
「ん?君の持ってるそのパンフレットの水泳部のとこ。一番おっきく魔法が使える生徒限定と書いてあったんだが…?」
急いで、確認する。
あ、やべ。
「見ての通り、私たちが使っているのはこのプールのみだ。ここだけで3学年の練習を行っていくことになる。一見広いと感じるだろうが、こと魔法を使って泳ぐとなると話は別だ。本当に申し訳ないが…」
俺は周りからの視線を感じ、強烈な恥ずかしさを覚える。
そして、
「またいつかお会いしましょう!?」
「おい!?君!!!」
捨て台詞を残し、脱兎のごとくその場を立ち去るのであった。
* * * *
「うわー、最後のあれはさすがになかったわー。それに聞きそびれたし…」
後先考えずに行動するのは俺の悪い癖ではあったが、まさかここまで後悔する日が来るとは夢にも思わなかった。
というか、部活紹介の時にそういう大事なことは最初に言っとけという話である。
ファーストインプレッションは誰しも自分達の欠点になるところは得てして隠しがちである。
まったく…、踏んだり蹴ったりとは正にこのことである。
特に去り際の台詞は完全に下心スケスケであった。
これからどの面下げてコジマさんとすれ違えば良いのかまるで分からない。
「はぁ…」
入学早々厄日だ。
これからもこんな溜息を吐くような毎日が続いていくのだろうか。
あてもなく通路を歩いていると、前方に茶色パーマの見知ったシルエットを発見する。
(よし、暇つぶしにだる絡みでもするか)
イライラしていた気持ちをぶつけるように早足で近づき、思いっきり肩を組む。
「ばぁ!」
「うぉっと、びっくりした。なんだアノア君か」
「アノアさんと呼びなさい」
「嫌だよ、仮にも僕君の2学年上だよ?実年齢ならもっと離れてるし」
「前にも言ったが、実年齢は俺の方が上だ。23歳舐めんな」
「舐めてないよ。あの時は互いに尊重し合おうという話で納得したじゃないか」
「じゃあ言い争った後のあの施設案内は何だ?なーにが『寮はあっちで、第二運動場はあっち、そっちは野球場で…』だ。指差しの方角で場所がわかったら案内なんていらないっつーの」
「しょうがないじゃないか、途中から可愛い女の子でもないのに何やってるんだろって思っちゃったんだから」
「てめぇ!本性現したな!?」
そんなこんなで彼に梅干しを食らわしながら、じゃれ合いつつ2人で校舎の方へ向かう。
「アイタタ、ところで放課後にこんなところで何やってたんだい?」
「あぁ…、まぁ部活探しだ」
「そう言えば新入生勧誘週間か。そっちも色々大変そうだね。」
「あーっと、マークスは何か部活とか入ってるのか?」
「僕は2年の半ばに編入して直ぐに校長直々に生徒会長への指名が入ってね。あの時から本当に大変だった…」
「そういえばそうだったな…」
「もしよければだけど、生徒会に入ら」
「いや、やらないけど」
「最後まで言わせてよ!まったく。お手伝いとかでもどう?多分生徒会って括りとして、部活に入るのは免除されると思うけど」
「うーん、忙しい?」
彼は苦笑しながらも軽くうなづく。
いちいち身の振り方がキザな奴である。
「じゃあやっぱりいいや…。あのさ、もし生徒会入らなかったらどの部活入ってた?」
やはりこんな接し方をしていても、一応は先輩である。
一先達者としての意見は一応聞いておきたいが、
「あーうちの学園の部活って結構スポーツ系多いしねー、やっぱり盤上遊戯同好会とかかな…、前の世界でも一応やってたし、大商会の方との繋」
「ちょいまち、同好会?何それそんなん有り?」
「あのね君…、あれ?知らない?」
それから、1年生用の下駄箱の真ん前、教室へ向かう階段のすぐ左隣りの壁にそれはあった。
普段多くの新入生諸君はゆったりと周りの景色を見ながら登校でもしない限り、下駄箱から階段に直行し目にもくれない位置だろう。
「同好会掲示板…、だと!?」
「あ、やっぱりここだと分かりずらいかな?」
「ったりめーだろ!生徒会長権限ですぐ移せ!」
「分かった分かった。それより、何かいいの見つけた?」
「あぁ、今からすぐにここ行ってみようと思う。助かったわ」
「そりゃ何より、僕仕事があるからもう行くね」
「はいはい別にいいよー」
「君ね…」
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