第十四話 あちしは魔法少女です!
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「え?俺っすか?」
「…?、君以外にアノアはいないだろう?」
「あ、はい。了解です」
軽く流されるような雰囲気から、俺が声を発し直訴したことからちょくちょくと、クラスにいる奴らからの視線が集まり始めた。
そのことを察した俺はひとまず矛を納める。
が、隣にいる奴らはさすがにスルーしてくれなかったようだ。
「アノア氏!何かあの人から気に入られるようなことしたのでござるか!?」
「気に入られるって…。俺にとっては罰なんだが?」
「そうですよ!魔術も使えないアノア君に重要な役目を任せるなんて、絶対に何かあります!僕の寺子塾での経験がそう囁いています。エニグマさんは絶対何か企んでますよ!」
「お前…、色々あったんだな…」
デルパー君の言い草からして、どうやら俺が元々小学校と定義していた学園に入るためのお受験塾は、この世界では寺子塾と呼ばれているらしい。
また1つ為にならない知識を得た。
というかこの世界に果たして寺なんてものがあるのだろうか…。
それにしても、どうしてデルパー君がここまで性格がネガティブになってしまっったのかの一端が垣間見えた気がした。
こうして3人で雑談をし合いながら、俺はミーティングが終わったのを見計らって直談判することにした。
「よし…、っとこれで全員の出る種目は決まったな。それじゃあ来週から種目別で練習に励んでもらう。最後に先生の方から連絡事項は?…ないということで。では解散!」
集まりが終わった後も、ごく一部納得いかなかった奴らが前に向かっていくのを確認し、俺も後に続く。
教壇の上には先生に質問をする生徒が如く、数人の学生が律儀に並んでいた。
ちょくちょくこちらの方を伺っているのを察知した俺は外界からの雑音を意識的にシャットアウトする。
俺のハートが傷つくのを防ぐためだ。
別にアンタの為じゃないんだからね!!
そして、遂に俺は彼女と初めて真正面から向き合う。
白銀の髪を長く垂らし、その髪で隠している右目からはちらちらと痛々しい眼帯が見える。
恐らく、その眼帯を付けている理由を今ここで聞くのはさすがにタブーなのだろう。
「どうも」
「はぁ…、君も私の采配に何か文句があるのかな?」
「いや、もう少し綱引きでのポジションを前の方に…」
「君も他の生徒と同じことを言うのか…、少しは自分を信じてみる気はないかい?」
「いや全く。というかなぜ俺がアンカーをやるかの理由を教えてください。」
「理由か…。君に可能性の残滓を感じたからじゃだめかな?」
(何言ってんだこいつ…?)
俺は思いっ切り疑念の籠った目を真正面に据える。
「ハハッ!!全く信用されてないな。でも変更はしないよ。絶対にね…」
* * * *
それから週を跨ぎ、俺達、A・F組合同の綱引きチームが出来上がった。
暫定リーダーは俺。ギータ君とデルパー君はここにはいない。
そして頼みのエニグマさんも他の種目に出るとかで今さっき去っていった。
因みに『場所は用意したので、練習内容とかは自由にやってくれ』とのことであった。
「っざけんなよ…」
俺は小声で悪態をついていると、
「で?あちし達はどうすればいいの?」
A組の綱引きチームが刺々しい声とともにグラウンドに入場してくる。
そちらに目をやると、本来同じ数であるF組よりかなり少ないことが見て取れた。
率いるのは茶髪ツインテールの女の子。
身長が小さく、ゆるキャラのように見えなくもない。
俺は中腰になると、
「よーしよーし、ちびっ子ちゃーん何処から迷い込んだんでちゅかねー?出口はあちらですよー」
とりあえず煽ってみることにした。
ちょっとイライラしてたしね。
「握手」
「ん?」
「握手」
握手を求める彼女の目は暗く据わっていた。
嫌な予感がしたが、これも今後一緒に練習をしていく為に致し方なかろう。
「じょ冗談ですよー、これから仲良く…、グベラッ!!」
彼女の手を握った瞬間、体に凄まじい負荷がかかるのを感じる。
立つことすらままならず、俺は片手を握ったまま、土下座のような態勢に入る。
「これは地属性の重力魔法、あちしはA組屈指の地属性魔法使いイザベラ!あちしが入るからには、負けることも!!そしてあなたに指示されることも許さない!!」
「へぁあい」
これはまた難儀なことになりそうだ…。
顔の半分を地に押し付けられ、涙目になりながら、俺はまた一つ溜息を吐くのであった。
それからは、魔闘祭当日までグラウンドが空いている日は練習した。
イザベラさんが練習の指揮やメニューの作成などをし、俺はF組の取りまとめ役に留まることになった。
その結果、何処から聞きつけたのかは知らないが、練習での出席率という問題点は少しずつ解消されていくことになる。
後はうちのチームが他に勝てるかどうかである。
他の組も同じことを思ったのかもしれない。
B・E組のチームから練習試合をしないかというお誘いが来た…、らしい。
「ホントはこう言う事前に雌雄を決するのってご法度なんですよね?」
「えぇ…、でも練習だけじゃあちゅまらないでしょ?あちし達がどのくらいの強さになっているか見極めないと」
「おっしゃる通りで…。来ましたね」
いよいよ本番が近くなってきている。
今日本来は俺たちがグラウンドを使えない日であった。
第二グラウンドの隅っこ、鉄製のぶっとい鎖を出し、待ち受けるは体格が良くて、ちょっとムッっとした臭いを発する男集団だ。
その中でもとりわけ目立つ、五厘狩り激眉ゴリラが今回のB・E組の主将のようだ。
こちらにやって来る。
「よぅ!お前たちが今日の相手になってくれる生徒だな。俺はミゥラーだ」
「ん?」
「よろちく、ミュラー殿。あちしはイザベラ・マグネス。こっちはこのチームのリーダーのアノア君ね」
「あぁ、よろしくです」
「よろしく!それじゃあ、時間もないことだし早速ヤりあおう!!」
こっちを見んな。
なぜかは分からないが、身の毛がよだつ思いをしつつ、去っていく彼を眺めながら隣の奴とやり取りをする。
「俺がリーダーということでよかったんで?」
「ん?あなたがあちしを馬鹿にしたのはさておき、あなたが重要な役目を担うことになるのは元々反対してないわよ」
「なるほど」
驚愕の事実である。
初めてのインパクトで気付かなかったがこいつ見た目の割に意外としっかりしてて、案外融通が利くタイプなのかもしれない。
両者が予め書面で提出された所定の位置に着く。
それぞれが鎖の傍らに左右交互に立ち、時が来るのを今か今かと待ちわびている。
「それでは、掛け声を一緒に頼む」
「えぇ、いくわよ」
「「3、2、1、スタート」」
始まってから直ぐに、こちらは魔法を使う。
といっても主に土魔法だが。
敵を妨害したり、鎖や自分自身を固定するなどのズルは反則とみなされるので、皆規定に沿った制約の中での運用を心掛けているようだ。
土魔法で自分に重石を付けたり、風魔法で体が浮くのを押さえつけたりなど、思い思いに現象を発現させてゆく。
しかし、一向に動く気配がしない。
なぜ?と思い、向こうを覗くと、
「「うぉりゃぁああ!!」」
鎖の後ろの方が、皆一様に踵を地面にめり込ませているのである。
「何じゃあれ!?反則だろ!」
そして、こちら側の魔法が切れる間隙を狙うかのように今度は前側が動き出す。
それはまるで訓練された軍隊であるかのように。
「「オーエス!オーエス!オーエス!」」
やがて、じりじりと重い鎖が向こうに吸い寄せられていく。
「ぬぉりゃぁぁあ!!『重力』!!」
すぐ前のイザベラちゃんも虎の子の重力魔法を自分に付与するも。
それを見越したかのように、相手が一斉に魔法を使って自軍を強化する。
鎖がこちら側に戻ることはなく、真ん中の印が向こう側に行き…、
それぞれが崩れ落ちる。
向こう側は達成感から、こちら側は今まで積み重ねて来たものは何だったのかという無力感、絶望感からであった。
負けた。後ほど話を聞くと、毎年魔法に対応するためにこういった小細工は使われていたらしい。
作戦や前情報からして、圧倒的に不利であったことが改めて分かった。
今回俺は一番後ろで、うろたえながら大勢を眺めることしか出来なかった。
俺がもっと強ければ、勝てたのか?
この陰鬱とした敗北の雰囲気を取り去ることはできるのか?
本番まであと3日の出来事であった。
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