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第十三話 眠りこけている時に突然指されて飛び起きる例のアレ

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 「はい、君たち、席に着きなさい」


 学園での生活にもようやく慣れ始め、もうすぐ中間試験に差し掛かり、試験後の長期休みが待ち遠しくなってくる時期。


 授業が全て終わったので、皆思い思いに談笑を楽しんでいた所、持っていたバインダーで教卓を叩く人物が現れる。

 正直、ビクッとなるので辞めてほしいのだが、そんなことを直訴する傑物は少なくともここにはいない。


 全員が席に着いた頃を見計らい、その人物、担任のエヴァン先生が話を切り出し始めた。


 「さて、今年もこれから暑くなる季節に先駆けて行われる”魔闘祭”の日が近づいてます」


 そこかしこから、歓声が上がる。

 中には『よっ待ってました!』と囃し立てる輩も現れる。


 (そんなに有名なのか…?後であいつらに聞いてみるか)


 「はい!静かに…。これからホームルーム終了後、一緒の組になるA組の方へ向かい、それぞれが出る種目について手っ取り早く決めてもらいます。提出期限が明日なので…」


 「おい」


 俺は小声で呟く。

 因みに席は教卓真ん前だ。絶対に奴が恣意的に操作したに違いない。


 絶対だ。


 というか、よく今まで寝かせられたな。ホントに担任やる気あんのかコイツ?


 そしてホームルーム終了後、一番奥にあるA組の教室に向かう。

 途中でデルパー君達に話を聞いたところ、どうやらただの運動会であるらしい。

 しかし、なぜ一度もその魔闘祭とやらを経験したことのない1年生のファンがこれ程までいるのか。


 そこらへんについては、話を濁されてしまった。

 この学園の風物詩の1つらしいが、後のお楽しみとのことである。


 というか、元のコイツは領地にずっといたせいか、俺がこの体に入る前から知らないことが多すぎる。


 引きこもるのは構わないが、こうやって周りの連中におちょくられる前に、もう少しこの国に対する興味を自分から持って欲しかったものである。


 俺達F組が教室に入ると、A組の雰囲気は若干険悪なものになる。

 俺たちは全員壁際に沿うようにしてぼったち状態で立たされている

 くしくもここで対応の違いとやらを見せつけられる。


 「F組が何しに来たんだよ」


 「あぁん?」


 代表して緑の髪の生徒が声を発する。

 それに対するは、我らが茶髪ヤンキー、コビン君。


 危うく、一発起こりそうなところをうまい具合にA組の担任、バーナード先生が掻っ攫ってくれる。


 「こらグリート!これからチームになるんだから、刺激するな」


 「F組の奴らなんて何の種目出ても同じでしょう、勝手に決めればいいじゃないですか?」


 「ちなみに、お前の魔法の成績、お前にガン飛ばしてるそこの茶髪小僧、コビンに負けてるぞー」


 「え?ちょ」


 「それじゃあレナータ嬢、あとはよろしく頼む」


 「はい」


 あら、可哀そうに。

 彼は魔法も武術もお手の物、戦闘派エリートである。


 ニヤニヤしたコビン君が彼に接近してゆく…、南無。


 まぁそれはさておき、入学式にぶっかました白髪眼帯美少女が立ち上がって先生と入れ替わるように出てくる。


 「知ってる者も多いと思うが、レナータ・エニグマだ。今回はA組のまとめ役として取り仕切らせてもらう。ちなみに、聞くとこによると、私の魔術の成績は学年トップだ。安心してほしい。」

 

 (何が安心しろだよ誰も聞いてねぇよ、はよ進めろ)


 「さて、今回の1年生の種目は徒競走、2人3脚、そして綱引きだ。どれも魔法使用可の競技となっている。それでは今から枠を書いて、誰がどの競技に出るか決めていこう。出走順や並び位置はその後だ」


 「魔法…、使用…?」


 「あ!驚きました?(クイッ)そうなんです。何と言ってもこの魔闘祭、元々は魔族と闘う前に兵の士気を上げるのが…」


 「でも、お前も俺も魔法使えないじゃん」


 「ガーン」


 デルパー君が何かブツブツ蘊蓄を言っていたので、黙らせときました。


 「でも、実際そうでござる。僕も含めたこういうのが不得手な人達をどうやって入れ込むかによって、直接順位が変わってくるでござる。AとF組なら尚更考えて構成しないと…」


 闘魔祭は3チームで行われる。

 1~3年のAとF組チームの天、1~3年のBとE組チームの地、1~3年のCとD組チームの人といった感じだ。

 因みに、F組が天だと驕るなかれ、うちらは毎年通称、天を隠す雨雲とか呼ばれているらしい。


 ひどすぎない?それって、邪魔すんな金魚のフンみたいな意味でしょ?


 まぁ、クソ雑魚ナメクジのF組と最強集団のA組を器用に使い分けないと勝てないってこった。

 さらに、毎度お決まりの勝者は一律成績加点システムだ。

 それこそお祭りのように熱くなるのも致し方ないだろう。


 それにしても、この加点制度使い勝手良すぎだろ…。

 

 そんなことを考えている間にも、レナータさんがF組1人ひとりの希望や得意なことを順繰り聞いてまわり、適切な種目に入れ込んでゆく。


 途中途中で自クラスの子に競技をお願いし、またその子も出場を快諾していることからも、彼女がこのクラスの人間を熟知し、またこのAクラスも彼女を信頼していることが容易に鑑みられる。


 どうやら協議の内容からして、綱引きの配点が高く、なおかつ差がつきやすいと睨んでいるらしいが、作戦としては満遍なく強い選手を並べて、全部で勝ちにいくという方式を取るらしい。

 さすが入学式で、どこぞの少年漫画みたいな最強宣言をしていた奴なだけはある。


 そんな魔闘祭における重要な綱引きの一番後ろ、アンカーと呼ばれる部分を担うことになったのが、


 「じゃあ次はアノア君、是非君には綱引きにおける重要な任務を頼みたい」


 何と俺というわけである。






 え?俺?

 

 

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