第十話 遠足に持っていく弁当の鉄板は唐揚げです
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そこは、生徒が教室へと至る階段のその先。
屋上へと続く階段の途中に、3人の男子生徒がたむろしている。
屋上は閉まっていて行くことは出来ず、本来その場所は誰しもが用のない空間として存在しているのであるが、逆にそういった所を好んで”俺たちの秘密の場所”として、存在する輩がいるのもまた事実。
「あのアノアとか言ったか?あいつのいる冴えないグループ、マジでムカつくな」
「そうっすよね!あいつらクラスの女子から気持ち悪がられているの、知ってるんすかね?」
「あぁゆう奴らは集団になると、羞恥心が無くなるから。ここに入る前にもいたよ。」
「よく知ってるな、2号」
2号と呼ばれた少年が俯く。
「マルクス君、2号じゃなくてさ…、名前で呼ん…」
「んぁ?なんか言ったか?口答えは魔法も武術も僕に勝ってから言えな」
マルクス君と呼ばれた生徒、灰色の髪を両側に垂らし、パーマをかけているその生徒は、酷薄な笑みを浮かべる。
ぐぅの音も言えなくなってしまったのか、少年はそれきり黙りこくってしまう。
「さて、僕は上に立つものとして、あぁいった無敵の連中をこの学園にのさばらせたままにしておくのは良くないことだと思う。少しお灸をすえてやらないとな」
「賛成!賛成!1号賛成!!」
マルクスはおもむろに、ポケットから紙を取り出しつつ、もう一人の小太りに目を向ける。
「おうよ!そこで僕が目を付けたのがこれだ。今度行われるオリエンテーション。クラスの仲間たちと親交を深めることを目的としたこの森林探索で奴らに一手仕掛けようと思う。どうやらこの遠足、1班6人で行動するらしいからなぁ…、僕らにピッタリだと思わないか?」
2人がうなづく。
と同時に、予鈴が校舎中に響き渡るのが聞こえてくる。
「よし、それじゃあ決定だ。当日はお前ら僕の指示に従って動け…。とりあえず今は授業に戻るぞ」
小太りが1段飛ばしで急いでクラスに戻り、マルクスとそばかすは1段1段踏みしめながら降りてゆく。
ふと、マルクスが後ろを振り返り…、再び何か企むような笑みを浮かべる。
「おい、2号。わかってるよな?僕達友達だろ?」
彼はその言葉にただただ、うなづくことしか出来なかった。
* * * *
「はぁ~まったく、なんでこんな歩かなくちゃならないんでござるか?拙者もう寮に戻って寝たいでござる」
「そんなこと言わないでくださいよぉ。こっちまで疲れてくるじゃないですか?はぁ、はぁ…、この木々のおかげか、森の中はまだ涼しいのが唯一の救いですね」
「お前らマジでもやし過ぎんだろ…。遠足だぞ?もっと周りみたくはしゃげよ。ったく、達観してるんだかガキなんだか」
今日は待ちに待ったオリエンテーションの日である。
休日なんかは皆寮を出て、エウリオの町を練り歩くことが出来る。
学園都市側もそういった生徒たちの需要があるために、ここまで発展してきたことがわかるが、さすがに今回のように遠出するとなると、スケジュール的に中々難しくなってしまう。
そう、このオリエンテーションは生徒たちにとって、前世の小学校時代における社会科見学、いやそれ以上の楽しみを持って、向かい入れられている行事なのである。
この森に入るまで団体行動をしてきたクラスのみんなは、今までの日々のストレスを発散するかのように、できたばかりの友達とはっちゃけているのが確認できた。
俺もつい最近になってやっと打ち解けて、それぞれが普段通りの口調に変わりつつもあるこいつらと今日も楽しくバカをやっている。
この森はエウリオの上隣に位置する領にある小さな森林地帯、人呼んでコビリアの森。
まぁ小さいと言っても、人間サイズと比較してみればかなりの大きさはあるだろう。
しかし、周囲360度を人の生活圏や大都市に囲まれているし、中には動物などしか存在しないので、遭難してそのまま餓死に至ってしまったり、魔物になすすべもなく喰い殺されたりといった事故がなく、比較的安全な森として位置づけられている。
さて、俺たちはこの森にただお弁当を食べに遠足をしに来たわけではない。
クラスの中で予め決められた8班に分かれ、数多く存在する木々に巻き付けられた布を辿り、クラスごとにゴールまでたどり着くタイムを競うといったゲーム的要素も設けられていた。
他の班を攻撃、妨害することはNGで、魔法の仕様はOKになっている。
さらに、道中には小さな多面体キューブのようなものが隠されていて、見つけた色によって得点がさらに付くらしい。
これは、恐らく魔法で加速してさっさと着いてしまうのを防ぐためでもあるのだろう。
最後に、各クラスの1番には中間成績に追加で加点してくれるらしい。
どうりでみんなが目の色を変えて、ハイテンションになるわけである。
そんなこんなで、俺達3人は数歩先を行くマルクス君を筆頭とした6人で森の中を進んでいる。
一応、1班に1つ配られた地図を唯一持っているマルクス君を先頭として3人、後から歩みの遅い俺たちが3人固まって歩いているという形だ。
「つーか、お前ござるって語尾直せよ。何回いわれにゃぁ直るんだ?うざいんだけど?」
「これも何回も言ってるでござるが、これは先祖代々受け継ぐ我が家の伝統なのでござる。拙者だけ変えるというのは如何とも…」
「お前んとこの家、マジで全員そんな感じなの?引くわー」
「女子は違うでござるよ!!」
こうやって雑談している間は、コイツは大丈夫であろう。
魔法や魔術は見た感じ使ってなさそうだが、案外タフな奴である。
問題は俺らのすぐ後ろでへばっているコイツである。
「おーい、大丈夫かー?」
「はぁ、はぁ。すいませんちょっと止めてもらってもいいですか?」
「おけ」
俺は正面に向き直り、声を張る。
「おーい、俺おしっこしたーい。」
俺たちがぬやぬやしている間に、前は結構進んでしまっていたようだ。
が、返答は直ぐに返ってくる。
「すぐそこの崖際に座れそうな石がある!そこで一休みしよう!」
「分かったー!」
緩い山道を登った先、丘になっているところで確かに3人が座りつつ、羽を伸ばしているのが見えた。
傍にある木には赤い布が巻かれているのがわかる。
俺たちはここぞとばかりに後ろのお荷物を引っ張ってくる。
「すまない、ちょっとお花をつんでくるわ」
「あぁ…、ゆっくりしてくるといいよ」
見られちゃマズいと思い、かなり茂みの深くまで進んで用を足す。
なかなかどうしてこの開放感は最高である!
あちらを慮って、いつもよりゆっくり出していると…、何やら言い争っているような声が僅かに聞こえてくる。
訝しんで駆け足で戻ってみると…。
あれ…、ギータ君がいない。
「アノア君!!大変です!!ギータ君が崖下に転落したらしくて…」
「は…?」
俺たちは急いで崖際に行き、下を覗き込む。
下はかなり霧がかって見づらいが、ここを降りたとしても遥か視界の先まで樹海が広がっていることだけはわかる。
「あの3人がギータ君を連れ立って崖際に行くのは見えたんですけど、一体何を話していたのか…」
「おい、それって」
突然、後ろに気配を感じ、振り返る。
「ん?何かあったん…、ふえ?わ、わぁああああああ!!!」
後ろには3人組、マルクスと1号と呼ばれていた小太りが足を振りあげ、突き落とす態勢を取っていた。
そして、横目には崖を落ちていくデルパー君の姿が…。
クソがっ!!
その瞬間に、見捨てることの出来なかった俺は雷光の如き素早さで、落ち行く彼の手を掴む。
「待ってろ!!今助ける!」
「ぐっ…、アノア君…。後ろ!!」
振り返らなくてもわかる。
「おい!!どうなるかわかってんのか!?」
すぐさま、マルクスらしき声が直ぐ後ろから聞こえてくる。
「どうせ君たちは助からないだろうさ…、ここから先は魔物が出るらしい。万が一生き残ったとしても、どうやって僕たちがやったと立証できるんだい?君たちは勝手に落ちた。ただそれだけだ」
「魔物!?何言って…。あ…」
尻を思いっきり蹴っ飛ばされた俺は、デルパー君もろとも霧の中に飲み込まれていく。
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