Xワールド 幕間1
目を開くとそこは真っ白な空間だった。
地球のように地平線もなくどこまでも続く白の中に俺は居た。
おかしい。
俺はいつものようにVRゲームを始めたはず。
しかしこんな空間から始まるゲームを俺は選んでいないし。仮にこんな始まりのゲームがあったとしても俺は買った覚えはない。
はぁ、バグか。
最近こんな感じのバグが増えてきているのは聞いているがまさか俺のデバイスまでイかれちまったのか。
結構高いの買ったつもりだったんだがなぁ。
とりあえずログアウトしてメーカーに報告するか。
おかしい。
たとえこのデバイスにバグがあったとしても結局はゲームの延長上のものだ。
だからゲームには関係のないログアウトするという行為は正常に行われなければいけないし、当然メーカー側もそのように設計を行っているはずだ。
ならばどうして俺はログアウトできない。
ましてやログアウトするためのメニューも開くことができない。
何も意味はないと思っていても何か変化を起こそうとできる行動を一通り試してみる。
しかしどの機能も無反応。
バグのバグに期待してもう一回行っても何も起きることはなかった。
俺はこのままこの白い空間で過ごさなければいけないのか。
現実世界の自分はどうなってしまうのかなどこの現象から抜け出せない限り無意味であろうことを考えていた時だった。
ふぁーーん
俺の背後で音が鳴った。
その音に反応して振り返る。
目の前には女性が椅子に座っていた。
この女性はどこから出てきた。
女性がいるところは辺りを見渡した時には何もない場所だった。
何もないところから女性が出現するという現象に俺は動揺していた。
もしかしたらこの空間の主か何かで勝手に侵入してきたことに対して怒っており俺を殺すかもしれない。何をするにしても不気味な存在であるこの女性の動きに反応しようと体を身構える。
すると女性が口を開いた。
「悪い、遅れた」
それだけ言うと女性は立ち上がる。
身長は俺より高いらしく高い位置から見下ろしている。
「君に頼みたいことがあるのだがいいかな」
「だったらまず俺の質問に答えろよ」
「いいだろう、自分の意見を通すためにはまず相手の意見を聞かなければならないからな」
かなり見下している感じがあるが今手掛かりがこいつしかないのは事実だ。
とりあえず俺が思っている疑問を一通り聞いてみるか。
「お前は何者だ?」
「君たち人間より上位の存在、わかりやすく言うと神ということになる」
「この場所は?」
「私が作った空間だ」
「俺をどのようにしてここに呼び出した?」
「君のゲームのデバイスを少し改造してここに呼ぶように設定した?」
「じゃあ現実世界で起きているバグの増加もお前の仕業か」
「それは私のやったことではない、私がデバイスをいじったのは君のだけだ」
今世界で起きているバグの報告の原因ではないのか。しかし俺のデバイスはこいつにいじられたからまた買いなおさなければ。
「そろそろ私から本題を離して大丈夫かな」
「で、お前の目的は一体何なんだよ」
女性は指を振る。
すると俺に光が集まり体を覆っていく。
俺は眩しさのあまり顔を腕で覆い光を遮る。
光が弱まるのを感じて目を開くと、俺の体がよく遊んでいるゲームのアバターになっていた。
その装備品はすべてバトル用で俺が愛用しているもので構成されおり、懐のアイテムでこれは1対1を想定したアバターだということが分かった。
一瞬で姿が変わったことに驚いている俺を見ながら女性は語り始めた。
「君は今からとある場所で1対1のバトルを行ってもらう」
「詳細は現地で聞いてもらいたいが、ルールはトーナメントで何でもあり文字通りの何でもありだ」
「そのバトルの中では君の知らない技術や戦法などが出てくるかもしれないが」
「私の目的自体は君をこの大会に参加させることだから、そこで一回戦負けをしても別に問題ない」
「もし参加しないっていうなら君をこの空間に閉じ込め続けるだけだからね」
要は俺はその大会に出るだけでよいのか。結構簡単な内容だな。
なら一回戦負けでもしてさっさと終わらせようかな。
「まったく関係ないけど君の現実世界があと3日後に人間が8割絶滅するんよね」
「は?」
突然のことに俺は素で声が出てしまった。
「今ゲームのバグの報告があるでしょ、あれが3日後に人類を壊滅するまでに至るんだよね」
だったら早くここから出てメーカーに知らせないといけない。
今すぐにその大会に参加させるようにしないと。
「残念だけどね、この空間で話したことは現実世界に戻ると忘れてしまうの」
「だから君が現実世界を救いたかったらその大会で活躍しなければいけない」
「大会では私よりも偉い存在が観戦しているし、うまいこと行くとその大会でコネが作れるかもしれない」
「要は君は生きたかったらその大会で活躍して、世界の運命を変えてもらうしかない」
「まぁこれで君が手を抜くことなく戦ってるれるなら大会は盛り上がるから私もうれしいんだけどね」
「では今から君を大会会場に飛ばすわ」
「もう私のほうですべて君に合うようにエントリーしといたから頑張ってね」
そういうと俺の体がまた光に包まれていく。
しかし俺にそんな人類の命運を預けてもらうのはどうなんだろうか。
知らない技術、未知の戦法を前に俺は戦えていけるのだろうか
「君の肩に人類の運命が乗ってしまったけど多分大丈夫よ」
「いつもの君の戦い方をしていれば多分勝てるはずだわ」
こっちの気持ちも知らないで女性は適当なことを言っていた。
再び眩しさから目を護るように腕で顔を覆う。
しばらくすると体がふわっと一瞬中に浮いたと思ったらすぐに重力を感じた。
目を開けると小さな個室でベッドの上に座っていた。
すると部屋に備え付けのスピーカーから音が聞こえる。
『ただいまから一回戦第一試合ティーダ選手対ミタムラマキ選手の試合を開始いたします』




