1.ある休日のこと。
比奈の生活能力は、想像を絶するw
「アンタ、今日も比奈ちゃんのところに行くの?」
「ん、そうだけど。どうしたんだ、母さん」
「えー? 別にぃ?」
「…………あ?」
なんだか、少しだけイラっとした。
調理をする手を止めて、振り返るとそこにはニヤニヤと笑う母の姿。
母は俺のことを上から下まで舐め回すように見た後、昔を懐かしむようにしてこう言うのだった。
「いや、ね。マサと比奈ちゃん、昔から仲良かったでしょ?」
「そりゃ、幼馴染みだからな」
「馬鹿ねぇ、アンタ。そういう意味じゃないわよ」
「……え?」
俺は意味が汲み取れずに首を傾げる。
卵焼きを作る手は止めずに、相手の出方を待っているとこう言われた。
「まぁ、マサがそれで良いなら良いけど。比奈ちゃん泣かせるんじゃないわよ?」
「意味わかんねぇ……」
結局、意味不明のまま。
俺がため息を混じりに調理を進めると、母さんは最後に爆弾を投下した。
「……それで、いつ挙式?」――と。
それを聞いて、俺は思わず声を上げる。
「そんなんじゃねぇからな!?」
◆
朝倉家の前に到着し、俺はチャイムを鳴らす。
しかし、例によって比奈は出てこなかった。いいや、あるいは外出しているのかもしれない。そういえば今日、顔を出すことを連絡するのを忘れていた。
当たり前のようにきてしまったが、よく考えれば普通ではない。
「…………」
でも、そこまで考えて。
「いや、普通じゃないのは俺だけじゃない」
そう結論付けた。
俺は一つ息をついてから、ドアノブに手をかける。
そしてゆっくり力を込めると、ドアは当然のように開くのだった。
「やっぱり……」
苦笑いしかできない。
俺は「やれやれ」という、滅多に使わない言葉を口にしながら。先日のように、朝倉家へ足を踏み入れた。その瞬間であった。
「…………へ?」
信じられないものを見つける。
「比奈……?」
物が散らかる玄関に、比奈がうつ伏せに倒れていた。
「………………」
俺はそっと、彼女が息をしているのを確認。
その上でこう訊ねるのだった。
「なぁ、もしかしてお前……飯、食ってないのか?」
すると、虚ろな目をしながら答える幼馴染み。
「え、えへへ……ぜんぜん……」
「どれくらい?」
「えっと、入学式の日、から……?」
「………………」
それを聞いて、俺は思わず大声で叫ぶのだった。
「それって、四日前じゃねぇか!?」――と。
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