1.入学式前に。
モブというか永遠の2番手たる友人、登場(*‘ω‘ *)w
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※決してNTRはありません。
「おい、聞いたかマサ! 今日の新入生に、めっちゃ可愛い子がいるってよ!!」
「朝っぱらから、さすがの声量だなタケ。そんでもって、またその手の話か」
「当ったり前だろ、お前! 毎年、これだけが楽しみなんだぞオレは!」
「……タケ。キミはもう少し、高校生活を謳歌するべきだったな」
比奈と生徒玄関前で別れてから、俺はひとまず自分の教室へ。
そして席に着くとすぐに、高校に入ってからずっと同じクラス、という男子生徒――タケに話しかけられた。髪をほのかな茶に染め、校則に抵触するような奴だが憎めないメガネ男子。そんな彼は去年同様、鼻息荒く語るのだった。
「とにかく! 今年の女子は、レベルが高いんだって!!」
「はいはい、分かったって……」
「いーや、マサはまったく分かっていない!!」
俺が適当にいなそうとするが、タケは続ける。
「まず、1組の子なんだけど……」
そんな感じで、勝手に解説を始めた。
俺はそれを半ば聞き流していたが、ふと知っている名前が出る。
「次、3組の朝倉比奈ちゃん、な!」
「……ん、比奈?」
というのも、自分の幼馴染みだった。
俺が訊き返すと、タケは少し驚いたように言う。
「なんだ、マサ。お前知ってるのか?」
「知ってるもなにも、幼馴染み」
「…………はぇあ!?」
そして訊かれたことに、正直に答えると相手は奇声を上げた。
「幼馴染みぃ!? てめぇ、マサ! 裏切るってのか!!」
「いや、裏切るってなんだよ」
「裏切りは裏切りだろ!? なんでお前なんかに、こんな美少女幼馴染みがいるんだよ! ていうか、どうして今まで隠していやがった!?」
「いや隠すというか、言う必要がないというか。落ち着けって……」
俺が苦笑しながらなだめると、タケはどうにか呼吸を整える。
その上で、どこから取り出していたのか資料を見ながら話すのだ。
「俺の見立てでは、この朝倉比奈ちゃんが一番モテる。頭一つ飛び抜けて可愛らしく、人当たりも良いらしいからな。すでに一目惚れした男子は多いはず……」
「…………お、おう。そうか……」
入学式当日だというのに、どこから手に入れた情報なのか。
俺はそれについて怖くて聞けなかった。
そう考えていると、タケは唐突に――。
「そんなわけで……マサ大明神様ァ!!」
「って、なにしてんだよ!?」
俺の目の前で、綺麗な土下座をするのだった。
周囲のクラスメイトの視線が、一気にこちらに集まってくる。
慌ててタケを起こそうとするが、テコでも動かないといった具合だった。そして、大きな声で必死にこう懇願する。
「朝倉比奈ちゃんを紹介してください!!」
「断るッ!!」
――が、俺はそれを拒絶した。
俺が言うことなのか知らないが、タケに比奈は預けられない。
そんなわけで、この話は一発で破談。さっさと抱え起こそうとした、が……。
「そんなこといわないでくれよぅ……マサゼウスさまぁ……」
今度は西洋の神にされつつ、泣きつかれた。
しなだれかかってくるタケを必死に振り払おうとしていると、そのタイミングで予鈴が鳴る。どうやら間もなく、入学式の準備が始まるようだった。
在校生ももちろん、続々と移動を開始する。
「ほら、泣いてないで行くぞ」
「うがぁ……!」
こうなったら、さすがのタケも動かざるを得ないらしい。
俺がそう告げると彼は、無念そうにうな垂れつつ移動を始めるのだった。
――しかし、比奈がそこまで注目されているのか。
そのことを考えて、俺はどこか不思議な気持ちになるのだった。
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