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第九章 人狼はペット?
「あれ、この部屋を見つけるとは、結構捜しても見つからないはずなんですが...」
「お前は...?」
「この館住みの”てんたかく”と申します。」
胡散臭いようなその話し方からは、何か親しみやすい物を感じる。
「そうか...お前のせいで...三人が...」
「何のことでしょうか?」
「なんで人狼なんて飼って...」
「飼ってなど居ませんよ?」
前言撤回。やっぱり親しむことは出来ないね。話し方から。
「まさか...お前が人狼だとか...?」
「何を言ってるんですか。
“人狼を連れてきたのはあなた方じゃないですか”」
「!?」
話していて気が付くのに少し遅れた。誰か...いや、”なにか”がはしごから降りてきている。
そこにいたのは...トラちゃんだ。
「トラちゃん!生きっ」
そこからは一瞬だった。少なくとも直前まではトラちゃんだったものが、その姿はあの時見た、獣になっている。そして、てんたかくさんの方へ跳んで、てんたかくさんはもうすでにその形すらない。
「そうか...トラちゃんが人狼だったんだね...」