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人狼は君のトナリに  作者: 狐のアツ
5/10

第五章 人狼は人を喰らう

「やだ...やめて...こないで...」

雨谷の声が聞こえる。雨谷の方のクローゼットが開けられたらしい。

「いやっ...やめろ...」

僕にはどうもできない。ただ蹲っているだけだ。

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」

ガッ グチャ ベキ

汚らしい咀嚼音と同時に、雨谷の声が消えた。

そして、数秒後には、その咀嚼音すら消えていた。

『ガチャッ』

クローゼットの隙間から部屋の中を見る。あいつは居なくなったみたいだ。

クローゼットからゆっくり出る。

床が赤く濡れている。カーペットは、元の白い色がほとんど見えなくなっている。

「雨谷...」

僕がこの部屋に逃げてきたから、いや、雨谷を連れてこの館に来たから、雨谷は殺されてしまった。僕が殺したようなものじゃないのか。

『ガチャッ』

後ろから扉の開く音がした。

「あつ!ここにいっ...」

トラちゃんとヘリオさんだった。僕に気づいた後、すぐに床を染め上げている血にも気づいたらしい。


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