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第四章 本当に人狼が
何故突然なり出したんだ?というか、むしろ今まで鳴らなかった?
そんな事を考えていると、図書室の奥で、扉が開く音がした。
反射的に振り向くと、そこには、
獣が、立っていた。
まず目についたのはそのでかさだ。自分の身長の1.5倍はある。
しかもそのくせして、二足で立っている。
熊か?いや、もしかして...
「グガァァァァ」
考える暇も与えてくれず、こっちへ来た。
急いで逃げる。さっきの、雨谷がいた部屋、あそこには空きクローゼットがあった。
階段を駆け上がって、その部屋に着く。クローゼットに入った。意外と遅い。逃げ切ったか?
あれは見間違いではなかった。
「本当に...人狼が...」
『ガチャッ』
ドアが開く音がした。息を殺して、蹲る。
クローゼットを開けないでくれ。頼む。
そう願っていた。
クローゼットを開けられたら、僕は確実に死ぬだろう。あれが、人狼だとするならば。
そう願っていたが、
『ギィィィィ』
クローゼットを開けられていた。