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第三章 人狼が来る
「雨谷!?」
丸くなってカタカタ震えている姿からは、普段の威厳は感じ取れなかった。
「やめろ・・・来るな・・・”人狼”が・・・」
「雨谷、落ちつけ!」
「やめて やだ こないで たべないで たすけて 」
話が出来そうにない。
"人狼"?
こんなに怯えているということは、本当に見たのかな...
そう考えながら、その横にあるクローゼットを開くと
そこは空っぽだった。
となると、トラちゃんとヘリオさんは別の場所にいるのか。
そのクローゼットの中をよく見ると、鍵が置いてある。
「図書室の鍵?」
図書室と言えば見覚えがある。玄関付近の開かなかった扉だ。あそこには図書室と書いてあった。
階段を駆け下りて、図書室へ向かう。図書室の扉は、鍵を使えば簡単に開いてくれた。
扉に入ってすぐの机に、鍵が置いてある。
「なんかのゲームでもさせられてるのか?これは」
その鍵を手に取った瞬間
「シャラシャラシャラ」
ポケットに入れていたマラカスが鳴り出した。