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第一章 人狼なんて
「もう帰ろうよ...お腹空いたし、こゆぶも来なかったし...」
雨谷はそう言いながらも、渋々着いてきている。普段は気が強いが、こういう時には突然可愛らしくなる。
「人狼なんて科学的に考えているわけないじゃないですか」
ヘリオさんはいつも冷静だ。けど、こういう時は雰囲気を削ぐ。
「今回はあつは随分乗り気だな。」
トラちゃんは気が強いから、こういう時は頼もしい。
「そんなの決まってんだろ?こういう誰も住んでないような館には!金目のものがあるって相場が決まってんだよ!!」
強く声を張り上げて言ってやった。
引くような目で見られている事は気にせず、とりあえず館内を探索しようと、どの方向に行こうか悩んでいると、
ガッシャーン!
突然大きい物音がした。玄関から向いて右の通路だな。
「よし、見に行くか!」
そうとだけ言ってズカズカと奥へ歩いていった。