1日目
僕の本来の寿命は本当はどれくらいだったのだろうか?あの悪魔との契約であと一週間の命になっちゃったけど......実感湧かないなぁ。あと一週間で死んじゃうのかぁ....。あれ?そういえば悪魔さんいないけどどうやって願い事すれば良いんだろう?召喚みたいなのできるのかな?
「.......ねぇ、悪魔さん?いますかぁ?」
.....返事がない。寝てんのかな?もしかしたら騙されてるのかもしれない。あんな陽気な感じだけど悪魔だ、魅力的なことを言っておいて願いは叶えないとかかもしれない。
「失敬なぁ!悪魔は契約を破ることなんてないですよぉ!!小説とか読まないんですか?結構有名な設定だと思うんですけど。」
「あぁ.......すいません、小説はあまり読まないんです。」
何で僕は謝ってるんだろう。でもこの悪魔さんは見た目含め恨めない、寧ろ親しみすら感じる。
「あの、質問いいですか?」
「はい!何でもどうぞー」
「何で悪魔さんの見た目は僕の彼女にそっくりなんですか?何か意味があるんでしょうか?」
「え?あぁ、そう言う感じですか。私たち悪魔は特別な形がないんですよ、神様も同じですけど。その人が一番親しい、一番好きだと思ってる人の姿になるそうなんです。まぁ...面白い事をする為には契約をバンバンしないといけないので、少しでも親しみを持たせると言う点においては便利ですよ。」
なるほど、確かに。僕らがイメージしている悪魔はバイキンみたいな見た目だけどそれだと少しでも警戒しちゃうかもしれないしね。...そういえばアンパンマンに出てくるバイキンマンも今思い返せば悪魔みたいな見た目だったなぁ....
「へぇ、そんな物がこの世にはあるんですねぇ。まぁまぁそれは置いといて、願い事決めてくれましたか?もうそろそろ暇になってきたんですけど......」
「あっ、じゃあ彼女を治してあげてください。もちろん後遺症を残さずに。」
「おー即答。それだけ彼女を愛しているんですねぇ。でもいいんですか?せっかくのお願い事を自分のことを覚えてない人に使って。治って元気になっても感謝もされませんよ。彼女さん見た目も性格もいいのですぐに新しい恋人ができるでしょうね。その相手と子供を作り末長く幸せに暮らすでしょうね。誰のおかげで助かったのかも知らずにね。」
.....やっぱりこいつは悪魔だ。人の心の中の中に黒いペンキをぶっかけてくる。......確かに彼女が違う人と幸せを築くのはほとんど確定している、それほどに彼女は素敵なんだ。でも....僕は.....
「あーもうめんどくさいですねぇ。じゃあこうしませんか?貴方の余命最後の日に彼女を助ける。っていうのは、それなら貴方が悲しむこともありません。さっき特別に彼女の余命を見てきましたが一週間程度ならまだ生きています、流石に死んだ人を生き返らせることは出来ませんが生きてれば楽勝です!一週間ずっと彼女の事を考えるより、人生最後に何をするかを考えた方が良くないですか?」
あぁそうか、もう僕はこの悪魔に魅了されているのかもしれない。この悪魔の言う事が全て正しいというふうに思えて来る。
「......分かったよ。君の提案にのるよ。」
「よしっ!!じゃあ早速願い事をお願いします!!」
「あっ....すいません。まだ考えていなかったです。」
「えぇ......本当に彼女の事しか考えていなかったんですねぇ。そうだ!やりたい事リスト作りましょ!!」
「あぁ...よくドラマとかであるやつですね。よく知ってますね。バイキンマンは知らないのに、ドラマとかは知っているんですか?」
「いや、前に契約した人がやってたのでそれを真似しようかと。」
「前の契約者....居たんですね、ちなみにその人は何をお願いしてたんですか?」
「うーん......契約の内容を言うわけにもいかないんですけど、まぁどうせ前の人も死んでるし、貴方ももうすぐ死ぬんで多分問題ないと思いますぅ。ええと確かあの人はー....嫌いなやつを不幸にして欲しい的な物でしたね。」
「そうなのか.....皆んなそうなんですか?そうって言うのは....その.....人を道連れ的な」
「そうですねー、皆さん辛い過去をお持ちだった様なので。」
それを聞いて僕は何も言えなかった。もしかしなくても僕は悪魔と契約するほど追い込まれていなかったのかもしれない、この世界には僕より困ってたり絶望している人が沢山いるのに僕にこんな大きいチャンスは余りにも重すぎる。
そんな事を考えてたら悪魔が早く決めろと煩かったので考えてみる。.............
「書けました」
「おっ!やっとですかぁ!!どれどれぇ?」
⚫︎バンジージャンプをしてみたい
⚫︎ウユニ塩湖に行ってみたい
⚫︎猫アレルギーを克服したい
⚫︎学生の時の友人に会いたい
⚫︎彼女を治したい
⚫︎
⚫︎
「.....何ですか、これ。」
「えっ、何か無理なものありましたか?」
「違いますよ!そう言う事じゃなくて、何ですかこの子供が書いたみたいなリストは!!こう、もっとあるじゃないですか!!億万長者とか!超能力とか!!あと二つ足りないです!!」
「いやぁちょっと考えたんですけどねぇ、お金もらってもどうせ死んじゃうし、超能力とかも一週間だと何もできなくないですか?”おぉー!.....”で終わっちゃいますよ、そんなのもったいないです。あと残り二つは思い付かないのでまた後日に....」
「えぇじゃあいいですよ、もう一週間は始まっちゃてるので早速今から叶えちゃいましょう!そうですねーまずは一番しょうもないバンジージャンプからいきましょう!!」
「しょうもないって....一応子供の頃からの夢なんですよ。」
「知りません。行きましょう!!日が暮れちゃいます!」
相変わらずハイテンションな悪魔に連れられ僕は家を出た。..........さてどこへ行こうか。ここから近い場所を探して、車で行くか新幹線で行くかを決めて、あっそう言えば予約しなくて大丈夫なのかな?何日も前から予約しないといけないみたいだったらどうしよう。
「あーあー。あの!!悩んでいる時間ももったいないので私にお任せを!!日本で一番高いバンジージャンプをしちゃいましょう!!....ふむふむなるほど、岐阜ですって早速向かっちゃいましょう!!」
「でも予約が」
「そこは私にお任せを!!願い事の延長だと思って安心して心の準備をしていてください!!」
それからは驚くほど円滑に進んでいった、この悪魔のおかげなのだろうか?何とか昼過ぎにたどり着く事ができた。
「さぁ!飛ぶ準備はオッケーですか!?貴方の最初の願い事なんですからしっかり脳裏に焼き付けてくださいよぉ」
まずい、凄くまずい。何がまずいって僕.....高所恐怖症だった!!!やばい死ぬ。一週間経つ前に死んじゃう。
「あのぉ、やっぱりキャンセルで...」
「3.....2.....1...!!!!」
「ちょっ!!待ってください!!」
「goooooooo!!!!!!」
...........................
それからのことはあまり思い出したくない。