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消えた記憶は蜜の味  作者: 円形リタ
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契約内容

温泉行きたいですなぁ。

「はぁー、楽しかったぁ。ねっ?」


腕を伸ばして身を窄めてる彼女が確認する様に聞いてくる。答えは分かりきっているはずなのに、意地悪な人だ。


「あぁ、もちろん。最近仕事ばっかりだったから疲れが吹き飛んだよ」


「おぉつかれ、いつも頑張ってんだからたまにはこういう遊園地デートもいいよね。」


「そうだね、楽しみすぎてもう日が暮れそうだよ」


「あっそうだ! この近くに見晴らしのいい丘があるんだって! そこで夕日見ようよ!!」


「いいね! どっちが早く着くか競争しようか。」


「えぇいいのぉ? 君走るのについてない靴なのに

ぃ〜? まぁいいや、ヨイドン!!」


「え?ちょっ、それズルじゃない!?」


遊び疲れてると思ってたけどまだまだ元気があるみたいだやっぱり彼女の体力には敵わない。でも俺もたまの休日だしせっかくのデートだから限界まで楽しもう。


「ハァハァ、ちょっ、休憩。タイムタイム」


「タイムも何も君の負けだよ。はいっじゃあ罰ゲーム!」


「えっ?罰ゲームあるの?聞いてないんだけど。」


「だって言ってないもん。てか先に競争しようって言ったのは君なんだから文句言わない!」


「はい...」


「うーんと、じゃあねぇ」


楽しそうに考えてるなぁ。ひょっとしてちょっぴりSなのかな?


「よしっ、じゃあ来週もデート行こう!」


「えっ、でも休みじゃないよ」


「有給は?」


「あ....ない」


「ふぅん...そっか... 友達から温泉のペアチケット貰ったから君と行ける!って楽しみにしてたんだけどなぁ....。でもしょうがないよね、うん。お仕事頑張ってね。」



「あぁいや、あったかなぁ...? ははは。あ!いや!あったあった!そうだ、あったよはっはっは!」


やっぱり意地悪な人だ、そんなこと言われたら断るのも無理じゃないか。


「本当に!? やったー!楽しみだね!!温泉!!」


まぁ嬉しそうだからいっか。しかし温泉か...チケットを見た感じ結構遠い場所だから旅行になるなぁ。楽しみだ。


......指輪、旅行中に渡せるかな? いや、待てよ?旅行中に渡していいのか?. こう言うのはさりげなく渡すのがいいって聞いたぞ。さりげなくって何だ?ポケットにでも入れとけばいいのか?


「ねぇ、さっきから何考えてんのぉ?早く帰ろぉ?今日はとびきり美味しい料理を作るからね!」


......まぁ何でもいっか。渡すタイミングに失敗したら笑い話にすれば良いや。心配すべきは旅行で楽しむことだ。


「そうだね、帰ろう。あと、晩ご飯はハンバーグがいいんだけど」


「いや、今日は天津飯だよ」


「そうですか。楽しみです。」


「あっ!そうだ!ハンバーグ天津飯にする?いいね、それ!」


「アハハ、なに?それ」 


人混みの中笑い合う時間が好きだった。こんな下らない話がずっと続けばいいと思っていた。続くと思ってた。


「えっへへ......?」


「?...どうしたの?」


「ごめんね、ちょっと目眩が。」


「えっ、それは大変だよ早く帰ろう。」


「う、うん。」


その直後だった帰ろうと一歩歩いた彼女はまるで撃ち抜かれた様に膝から崩れ落ちた。


「え?..!?大丈夫!?」


「あっあぁ」


だめだ意識があるのかすらわからない。救急車を呼ぶしかない。でもこんな人混みだと救急車が来れるかもわからない。なるべく動かさない様に移動しないと....!


数十分後救急車が来た、赤いランプは周りを赤色に染めた。僕は周りを照らす光にすがるしかなかった、だって周りを照らすその様は神様のように見えたんだから.......ふと視界に入った彼女の姿は赤く光り、周りよりも一際目立っていた。


———————————————————————-


 病院へ運び込まれ、医者によると彼女はどうやら出血性脳卒中という病気に似ているが脳の出血は確認できなかったらしい...... よく分からないがつまりは原因不明の病気ということだろうか......? つまり...どう言うことだ? ...直せないのか?...そんな事って......。


「大変そうですねぇ」


「えっ?」


「あぁすいません急に話しかけたらびっくりしますよねー!」


信じられない.....目の前で喋ってる人は....彼女だ... 彼女にそっくりな女の子だ


「あーノンノン。私はあなたの彼女ではないですよぉ。私は悪魔です! あ•く•ま! かっこいいでしょう?」


....あっ..くま?...

「熊じゃないし、まぁいいや。楽しい会話もほどほどにして本題といきましょう。」


「本題? 悪魔さんが僕に何の様ですか?」


「はいっ!! ずばりあなたの願いを叶えさせてください!!」


「願い、いいんですか?叶えてもらって」


「あータイムタイム。タダでは無いですよ、だって私悪魔ですもん。報酬と言うか引き換えというかとりあえず何かをもらいます。そーですねぇ....おっ! 今ぴっかーんときましたよぉ!! ズバリ!!貴方の彼女さんの記憶から貴方の記憶を消しちゃいましょう!!あっでもそれだと一回だけだな....うーん、一回きりの契約だと面白く無いし.....」


まずい完全に相手の流れになってしまっている。でも願いを叶えてくれるんだこれこそ願っても無いチャンスだ。でも記憶....か。忘れられちゃうのか。


「おー悩んでますなぁ。人間の葛藤してる様はいつ見ても良いものですねぇ」


「うるさいですねぇ。こっちの見返りは決めたんですか?」


「あーもう!ちょっと待ってくださいよぉ! こんなに悩んでるのも貴方の助けるって意志が強すぎるからなんですよ!!悪魔は惑わせてなんぼなのに......ん?んん!? おおおおお!! 閃いた! いい感じの閃きましたよ!!」


「ようやくですか。なら早く彼女を治してください。」


「ふっふっふ、そう慌てなさんな。今から契約内容を発表しますから。」


「ズバリ!! 貴方の願いを何でも1日一回叶えさせてあげます!」


「えっそれいいんですか?増えちゃってますけど」


「だからタイムだって、今こっちのターンだから。何でも1日一回叶えてあげる代わりにあなたの寿命を握り潰します。」


「おぉ、結構王道な契約内容内容ですね。でもなんかわりにあってなく無いですか? 多分願いの数を増やすとか寿命を伸ばすとかはどうせ駄目なんでしょうけど寿命を減らすだけで億万長者になれたりできるんですよね?」


「そだね、だから君から貰うものも増やしてます。さっき言ったとうり、彼女さんから貴方の記憶を消すプラス寿命を減らす事がこの契約で私が望む事です。」


「そうか。一応聴くけど彼女の記憶を戻すは出来ないよね?」


「当然です」


「そっか.....よしっ!! その契約にのった!!!! お願いします!」

「はいっ。じゃあこの契約書にサインしてね。」


「あれ?悪魔の契約ってお尻にキスとかだった様な」


「えっ、いやだよそんなん。貴方も他人のお尻にキスするのは嫌でしょ? ...え? 何その顔怖いんだけど嫌って言ってよ...」


「はいっ、サインしました。」


「オッケーでーす!! それじゃあ私はもう疲れたので帰りまーすぅ!!」


「あの、悪魔さん」


「はい?」


「ありがとうございます。こんなチャンスをくれて」

「お礼を言われる筋合いはありませんよ、お互い納得した契約なんですから。じゃ、そういう事でおっつぅ!!」


めんどくさいけど中身は良い人だった。悪魔と言うのも名前だけなのかもしれないね。


「あっ、言い忘れてましたけど貴方の寿命はあと一週間まで減らしてますから。それじゃ!」


ごめんなさいさっきの発言は訂正します。やっぱりこいつは正真正銘の悪魔でした。

その後付けは詐欺だよ!悪魔さん!!さて、あと一週間。人はあと一週間しか生きられないと知ったら何をするのでしょうか?

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