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輪廻転生積層構造異世界群

初投稿。

 流行りの異世界転生が大喜利じみてきているので私も何か考えてみようか。


 私の考える異世界は現実世界だ。似ているようで違う世界、いわゆる並行世界というやつだ。

 だがこの世界はよく言う()()()によって分岐してできた世界ではない。我々のいるこの現実世界の死後の世界なのだ。つまりこの異世界の住人は漏れなく転生者であり、前世の記憶もはっきりと有している。死に別れた者たちが再会を果たし、遠い先祖や歴史の偉人達に時を超えて面と向かってお話がてきてしまう夢のような世界だ。

 また、この異世界は一つではない。死後の世界でも死はあって、死ぬとまた別の死後の世界へと同じように転生する。そしてそこで死ぬとまた同じように別の死後の世界へ転生する。このように魂は無数に転生を繰り返し、それと同じだけの数の世界が平行に連なって積層構造をとっている世界()なのだ。

 死後は決まって新しい世界に転生する為、魂の行方は常に一方通行で自然には戻って来れないものとする。



 ここまで考えてみるといろいろと見えてくるものがある。

 初めの世界を第一層とすると、第二層は間違いなく第一層よりも高い技術力をもっているはずだ。第三層はその更に上。層がいくつあるかは分からない(考えてない)が、上に行くほどハイテクノロジーになると考えられる。

 なぜなら、転生者は下層での記憶を持っているからだ。異世界転生モノではお馴染みの知識チートを全ての人間が出来るワケだから子供が研究者なんてザラにあるだろうし、なんなら即戦力だ。小学生が教鞭を振るうことだってあるかもしれない。

 加えて言えば、ニュートンやらアインシュタインやら歴史上の天才達が一同に会しうるのだ。上層では彼らから層を跨いで搾り取るようにもたらされたありとあらゆる叡智が結晶となって煌々と輝くに違いない。

 

 その上層の叡智はどの程度のものなのだろうか?

 第一層とする我々の世界の技術の遥か上をゆくのだから、それこそ神のような力を持っているだろう。無重力は当たり前、壊せないものは無く、作れないものも無い、時空間を自在に操り、手足は飾りになる。まさに何でも出来るだろう(論理的脆弱性は置いておく)。


 それほどの技術力があれば他層へのコンタクトも可能であるはずだ。どうあがいても上層のほうが力が上になるはずなので、上層は下層を強引に隷属させて食い物にしようとしてもおかしくはない。しかし、我々の住む世界にそんな様子はない。なにか見落としているようだ。


 思うに、干渉できないなんらかの理由があるのだろう。神様は下界に干渉できない(観測くらいならできるだろう)とか言う創作でもよくあるアレだ。なぜなのだろうか。

 この層状に形成された世界群では、人は下層から死ぬ度順番に上へと昇ってゆく。仮に上層の人間が下層の人間を支配したとしても下層で死ねば上層に上がってきてしまう。問題は上がってきた人間がどんな風に生まれてくるのかということだ。

 自然な転生であればランダムに選択された赤子に転生するだろうが、上層の技術があればそれもコントロールが可能だろう。しかし、それは倫理的によろしい事なのだろうか。

 我々の世界でさえ命関連の技術は倫理的問題から実用に至らないものが多い。上層に至る間に数多の経験を積んだ者たち(多分みんな霞食って生きてそうな仙人みたいなジジババ人格)が人格者でないとも思えない(思いたくない)ので、転生先をコントロールすることは本人の同意なしにはしないと考えられる(あるいは罪人は別かもしれない)。

 これにより、上層では思想に関わらず転生が起きるため、虐げられた者が権力者と血縁を持つことで力を得て下克上、なんてこともあるかも知れない。そうすると「下克上は面倒なので下層の支配はしない」となるわけだ(というかそもそも人格者が多いなら支配はしても圧政はないはず)。


 少し上層の様子が見えてきたが、これだけではまだ干渉しない理由としては不十分だ。もう少し想像力を働かせてみよう。

 先程、上層は転生先をイジれる可能性が出たワケだが、そもそも転生を重ねれば「また次がある」とみんな思うようになるはずだし、仲のいい者達は世界を跨ぐ度にバラバラになるのも面倒だとも思うはずだ。当然上層にもそういう者達が大勢いて、転生先をイジろうとする。そこで考えられるのが上層企業による転生サービスだ。

 ここで言う転生サービスとは、上層の技術で転生先をスナイプして望む体に望む場所へ生まれることで親子は再び親子に、兄弟姉妹は再び兄弟姉妹になることができる有料のプランだ(孤児もあるかも)。有料であるので当然代価を支払うワケだが、肝心なのはそこだ。

 転生を積んだ者達は前世の財産を持ち込めないことに歯噛みして、やがて世界を跨いだ通貨を発明する。この通貨の使用に最低限必要な条件(技術的なコストや法、倫理など)のひとつが一定回数以上の転生(あるいは魂の年齢)だと仮定すると、未だ一度も死を経験したことのない我々はこの通貨を使えないことになる。世界間の取引ではこの特殊な通貨が必須なので、必然的に我々は他層とは何の取引もできないことになる(借金うんぬんは置いておく)。

 また、第一層は魂の最も若い者たちの世界であり、言ってみれば幼稚園だ。大人が幼い子供から淫らな物を隠すように、我々には他層の情報が秘匿されているのかもしれない。いずれにせよ、人格者たる上層のやることなので、なんらかの危険を避けるためだろう。


 と、考えてみると上層が我々に干渉して来ない理由も多少は納得できるのではなかろうか。陰謀とかじゃなくてよかったよかった(実は上層が外道の巣窟かもしれない可能性には目を瞑りながら)。



 まあ、そもそもな話、無数に転生を繰り返して、無数の他人と家族になって、悠久の時により年齢差が希釈され、清濁合わせ飲み干したような仙人どもが一体どんな価値観を持っているのかは私には想像がつかないのできっとここまでの話は見当違い甚だしいものなのだろうが。


 正直、上層のわけわからんヤツらの陰謀論よりも転生サービスや世界群共通通貨を取り扱った世にも奇妙風な話とか、第2,3層あたりで怨敵と親兄弟になってしまった人の話とか、歴史の天才達を集結させてアベ○ンジャーズよろしく強大な敵と戦う話とかの方が面白そうだ。


 書きはしないが。



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