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すいっちょん ぎーぎー すいっちょん ぎーぎー

 勘三郎おとッつぁんは死んだ。養女という名で店に入れたお久はんと婿はんの間に出来た女の赤子は、同じ日の同じ刻限に生まれ、勘三郎と付けられた。美しい若衆に成長した勘三郎は、錦絵の大首絵になって、その魅惑に負けて買ってしまった世間様の布団の下で得もしれん夢見心地を咲かせていく。
 姉妹か親子かさえも危ういおちゃっぴぃとたまきに乳兄弟のように育ててもらい、谷に延々と置屋を営むあせの婆ぁに手ほどきを受けながら、髷や身なりを男や女に変え己れは何一つ変わらず世間様の求めに応じた模様替え繰り返す。
 そんな勘三郎を不憫と思うのは、血の繋がりさえ危うい婿はんとしか呼ばれぬおとッつぁんだけだった。大広間にただ一人、いつまでたっても冷めない昼餉を食べているだけの御仁。それでも二人には、世間様に内緒の桃の節句を過ごした一夜があった。婆ぁの計らいで、たくさんの稚児さんから幼い勘三郎は女子の髷とべべに飾ってもらい親子で楽しんだたった一度の夜。それがあるから、おとッつぁんはどれほどの孤独からも難儀からも逃れずに勘三郎を見守り続けることが出来た。


おとっつぁん
2019/09/06 19:55
おっかさん
2021/05/29 07:09
ふたたび、おとっつぁん 
2021/05/29 07:09
そして、おとこになる
2021/05/29 07:09
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