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1話 地味に生きることを決意する

突発的な新連載第三弾です。

初日は3話投稿予定なので、おまちください。

「ぐっ……!?」


 15歳の誕生日の朝。

 僕、フェイト・アーデルハイドは強烈な頭痛で目が覚めた。


 頭が痛い。痛い。痛い。

 なんなんだ、これは……!?

 頭の中で魔物が暴れているみたいで……!


「……あ……」


 とある情報が頭の中に流れ込んできた。

 それと同時に痛みが引いていく。


 そうだ……そうか、そういうことか。

 僕は……いや。

 俺は、全てを思い出した。


「俺は……1000年前の勇者だ」




――――――――――




 聖魔大戦と呼ばれている戦争がある。


 今から1000年前……

 人類の存亡をかけて行われた、人間と魔族の戦争だ。


 魔族は人間を滅ぼして、世界を征服するために。

 人間は魔族を討伐して、自らの生存権を獲得するために。

 世界が二分されて両者は激突した。


 戦争は5年もの長きにわたり続いて……

 最終的に人類が勝利を収めた。


 その鍵となった存在が勇者だ。


 人類の守護者。

 魔を断つ者。

 希望の救世主。


 人々を守るために。

 世界を救うために。

 勇者は血を流して、魂を削り、命を賭けて戦った。


 何度倒れても決して諦めることはなくて……

 剣が折れても立ち上がり……


 そして……ついに、魔族の長である魔王を打ち倒すことに成功した。


 しかし、完全な勝利ではなかった。

 相打ちという結果に終わったのだ。


 かくして……

 勇者は世界に平和をもたらした。

 そして、その世界から去った。




――――――――――




「あの時、死んだと思っていたんだけど……いや、実際死んだんだけど……まさか、転生するなんてなあ」


 輪廻転生。

 全ての生き物の魂は、死後、現世に舞い戻り生まれ変わる。


 よく聞く話だけど、まさかアレ、本当のことだったなんて……

 でも、なんで15歳になるまで忘れていたんだろう?


「うーん……キャパシティの問題かな?」


 どうも記憶だけではなくて、勇者の力も引き継がれているみたいだ。

 そんなものが赤ちゃんの体にいきなり流れ込んだら?


 川の堤防が決壊するように、とんでもないことになるかもしれない。

 だから、体が耐えられるようになるまでは思い出すことはなくて……

 15歳になった今、耐えられるくらいに成長したから、全てを思い出したのかもしれない。


 推測だけどな。


「しかし、転生か……うん。まさか、人生をやり直すことができるなんて思ってもいなかった。これ、神様の奇跡なのかな? だとしたら感謝します」


 さてと。


 まだ軽い記憶の混乱はあるが、こうして無事に転生することができた。

 これからのことを考えることにしよう。


 俺の前世は勇者だ。

 ならば、新しい人生でも勇者としての務めを果たさなければいけない。


「……なんてことはもうイヤだ。勇者としての使命なんて、もう懲り懲りだ……」


 毎日毎日毎日、戦い戦い戦い……そしてまた戦い。

 肉体的にも精神的にも安らぐことができない。


 あんな殺伐とした日常はごめんだ。


 幸いというか、今は平和な世の中だ。

 魔物は生息しているものの、街は結界に守られていて、ほぼほぼ被害が出ることはない。

 魔族なんて絶滅したし、魔王なんてものも存在しない。


 とても平和な時代なのだ。


 つまり……勇者が必要とされることはない!

 だから、俺が戦う必要もない!


 そして俺は、平凡な農家の息子。


「やったね!!!」


 思わずガッツポーズをしてしまう。

 農家の息子なら戦いに巻き込まれることはない。


 このまま親の跡を継いで……

 綺麗な人と結婚して……

 そして子供を産んで、孫ができて……


 のんびりとまったりとした人生を送ることにしよう。


「決めた! 今度の人生は地味に生きるっ!!!」

「おもしろい」「続きが気になる」等、思っていただけたら、

感想、評価、ブックマークをしていただけるとうれしいです。

とても喜びます。

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