お互いの行きたいところ
4月になり明日香は高校生最後の1年を迎え和人は社会人3年目を迎え自分のため、そして妹のため仕事を頑張っている。
明日香は卒業後兄と同じく就職の道を歩むため学校生活を悔いの残さない1年にしたいため勉学を必死に取り組んでいる。
始業式を終え自宅に帰って来ると普段は仕事で居ないはずの兄が帰っていた。
「おかえりー」
「兄さん帰って来るの早いね。何かあったの?」
「今日は特別な日だから早く帰ってきたんだ」
そう、今日は明日香の18歳の誕生日だ。
「覚えててくれたの?」
「当たり前だろ。俺にとってたった1人の家族なんだから」
「ありがとう!でも仕事は大丈夫なの?」
「仕事の事は気にしなくていい。それより今日は外で食べないか?」
実は和人は仕事に対する悩みがあった。
だがその事を明日香に相談する事が出来なかった。
「兄さん、私お寿司が食べたい!」
「そうか!じゃあ駅前に出来た新しい寿司屋に行くか!」
「良いの?あそこ確か高くなかった?」
「何言ってるんだよ!今日は明日香の誕生日なんだから豪華にしなくてどうするんだよ!」
兄は笑いながらそう言った。
「わかった。じゃあ私着替えて来るね」
「おう!」
2人が着替えを終わり自宅を後にした。
「兄さん、先月言ってた行きたい所なんだけど」
「ごめんな、なかなか時間作れなくて」
「ううん。私ね水族館に行きたいの」
「水族館?俺とか?」
「そうだよ」
「友達とじゃなくて?」
「兄さんと行きたいの」
「んーそれは構わないけど、いつ行きたいとかあるのか?」
「出来たら早い方がいいかな」
「わかった。調整してみるからもう少し時間くれるか?」
「うん」
話をしてる間に目的の寿司屋に着いた。
「立派な寿司屋だねー」
「そうだなー」
「さっ入ろ入ろ!」
上機嫌の明日香と
「わかったからそんな引っ張るなよ」
と少し照れ臭そうにする和人
2人は寿司を堪能した。
「じゃあそろそろ帰ろうか」
「兄さんはどこか行きたいところないの?」
「あるけど今日は明日香に楽しんでもらいたいからまた明日にでも言うよ」
「なんで?私平気だよ?」
「実はな父さんと母さんの墓参りに行きたいんだ。ほら親が亡くなってから2人であんまり行けてなかっただろ?」
「確かにそうだね」
「明日香の時間が空いてる時にでも一緒に行こうか」
2人はお互いの行きたいところを話し合いながら自宅に帰った。




