兄と妹
―これは3月のまだ桜が蕾の頃―
「今年も桜満開になるかなー」
桜が大好きな桜ノ宮高等学校に通う佐倉 明日香⒄高校2年生と
「もう蕾もあるから今年もきれいな桜が見れるよ」
妹想いの兄・和人⒆
2人はとある大きな街に住むごく普通の兄妹。
2人はいつも仲良く平和な暮らしをしていた。
だが、のちに2人はまさかこのような事態になるとは誰も思わなかった。
「ねぇ兄さん、私たちこれからもずっと一緒に暮らせるよね?」
「どうしたんだ急に」
妹は不安なことがあった。それは大好きな兄に彼女がいるという事。
そして2人には親がいない。
「ううん、なんでもないよ。ちょっと気になっただけ」
「俺は明日香とずっと一緒にいるよ」
そう言って兄は私の頭を撫でてくれた。
親のいない明日香にとって兄は特別な存在だった。
親は兄が高校を卒業後別々の事故に遭い同じ日に亡くなった。
兄は親が亡くなってからずっと働いている。
明日香も学校を辞めて働こうかと考えたが兄の説得もあり今はとある喫茶店でアルバイトをしている。
まだ高校生でもある明日香は勉学もしっかりしていて周りの友達からも頼られることが多い。明日香はスタイルもよく言い寄る男子は少なくない。だが明日香は誰とも付き合うことはない。
「兄さん、少し寄りたい所があるんだけど最後の1つだけ付き合ってくれない」
明日香の頼みなら何でも聞いてくれる兄だが
「ごめん、今日は・・・」
兄は今晩彼女と会う約束があった。
「そっか・・・ごめんね無理なお願い言って」
さみしそうな顔をする明日香に
「明日じゃダメか?」と聞く。
「明日は私、友達と遊園地に行く約束があって帰るの遅くなるかもしれないの」
「わかった。楽しんでおいで!」
兄と妹はそれぞれ行きたい所があった―




