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7、パトロールに予想外の出来事が

読みやすくするため、改行を増やしました。

また、誤字脱字を修正しました。(2017/3/19)

 米良と犬神は、茶所や金輪に手を振って見送られながら、パトロールへと出撃して行った。

「さて、交代まで我々は何をしていようか、なぁ源さん」

と金輪が綱木の方を見ると、椅子に座り装備を身に着けたまま笑顔で寝ている綱木の姿があった。

「源さん、寝るの早すぎ」

と金輪がつぶやくと綱木が寝言で

「俺に惚れてるだろ」

と都合のいい楽しそうな夢を見ているようであった。



 米良と犬神が、人気のない住宅街を歩きながら、辺りの家から変な物音が聞こえてこないか、

挙動不審者は居ないかなどに目を配りながら歩いていると、

小奇麗なアパートのベランダに派手な女性物の下着が幾つも干してあった。


「米良さん、あれ」

「あれじゃ下着泥棒に取ってくれって言っているようなものだぞ」

その部屋のカーテン越しに動く人陰が見えた。

犬神が「注意した方が良いのでは」と言うと米良は

「確かに。レディーの心が傷ついてからでは遅いからな」

と女性に対して注意喚起(かんき)した方がいいということで意見がまとまった。


早速二人は、派手な下着をベランダに干している部屋の玄関に向かった。

表札には、乙姫 瞳(おとひめ ひとみ)と可愛い名前の表示がある。


米良は身なりを整えてつぶやいた。

「レディーは、一人暮らしのようだな」

そして米良は呼び鈴のボタンを押して「ごめんください」と言った。

すると部屋の中から何の返事もなく鍵の開く音がした。

そしてドアが静かに開き、米良と犬神は息が詰まるほど目を見開いて驚いた。


目の前に現れたのは、派手で萌なメイド服を着こなそうとする

年老いた乙姫(80歳)の痛々しい姿があった。

犬神はあまりの衝撃にしどろもどろで声が裏返っていた。


「あっあのー、この辺りを防犯パトロールしている元警官で、

GPSという自警団ですが、お一人り暮らしですか?」

「はい、そうですけど?」

米良が目をぱちくりさせながら恐る恐る注意した。

「しっ下着を外に干すのは、きっ危険ですよ」

「あら、興奮させちゃいました」

と言って乙姫が無気味に微笑むと

「もし良かったら、お茶でもどうです」

とグロスをたっぷりと塗った唇を舐めながら怪しい眼差しを二人に送ってきた。

米良と犬神の背中に悪寒が走った。

米良と犬神は「いえっ、パトロールがあるので、しっ失礼します」

と乙姫を部屋に押し戻してドアを閉めた。

今日一番の危険な任務を終えた二人は尚もパトロールを続けた。



 日の出町商店街の中を歩いて辺りを見回していると、

白い杖をついた盲目の人が違法駐輪の自転車に戸惑っていた。

米良と犬神は盲目の人に駆け寄り優しく声を掛けながら介助をした。


目が見える者にとってはよければ済む行為でも盲目の人にとっては危険であり

不安のつのる場所が沢山あるんだなと米良と犬神は実感していた。



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