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6、麻薬密売事件でお手柄

読みやすくするため、改行を増やしました。

また、誤字脱字を修正しました。(2017/3/19)

 日の出駅前まで来た四人はモンタージュ写真を眺めて売人達の顔を覚えた。

麻薬の売買がおこなわれていると予測されるパチンコ屋は

日の出駅前と幹線道路面した店と二軒ある。

金輪が策を練った。


「犬神さんと米良さんは、この通り沿いのパチンコ屋の警戒をお願いします」

米良が質問をした。

「犯人が居たらどうすればいい」

犬神は県警と段取りを既に組んでいた。

「県警の麻薬対策課にGPSから連絡ですと電話をして、店の名前を伝えてください。

後は段取ってくれるはずです」

「分かった」

「じゃあ、二手に別れましょう。源さん、我々は街道沿いの店を検索しましょう」

「んっ」

四人は二組に別れてパトロールを開始した。



 その頃、街道沿いのパチンコ店では、藻草(もぐさ)、35歳がパチンコをしていると、

公園で薬物を買い付けていた横鳥が店内に入って来た。

店内の様子を台を選ぶような素振りで窺いながら藻草の隣に座り声を掛けた。


「藻っちゃん、調子どう」

「まあまあかな。なぁタバコ持ってきた?」

横鳥は藻草にタバコの箱を渡した。

「やり過ぎは体に悪いよ~」

「また注文するから、よろしくね」


藻草が横鳥に金を渡すと横島は「どうも」と言ってその場を立ち去ろうとしたその時だった。


周りでパチンコをしている男達が一斉に横鳥と藻草の方を(にら)んだ。

横鳥が首を傾げると、そのとなりで睨んでいた男が吠えた。

「警察だ!大人しくしろ!」

横鳥は驚き「うぉりゃー!」と叫びながら辺りにいた張り込みの

刑事達を突き飛ばしながら逃げ出した。

「追えー!」

刑事達は藻草の身柄を確保する者と横島を追うものと別れた。



 その直後、金輪と綱木が、街道沿いに面したパチンコ屋の前に歩み寄っていた。

店内から刑事の発した怒鳴り声が聞こえた途端、横鳥がパチンコ出入口から飛び出してきた。

「おっ?、あっあいつだ。逃すかー!」

そう金輪が大声で叫び走り出そうとした時、足がもつれそうになった。

横鳥が走り出しながら「捕まるか、ボケ!」と吐き捨てた。


金輪が全力で横鳥を追おうとした時、綱木の鋭い眼光が光った。

「金ちゃんー退けー!」

大声で叫ぶ綱木の声に金輪は驚き振り向いた。

「逃すかぁー!だぁー!」

と更に大声で叫んだ綱木の口から、総入れ歯が勢い良く飛び出した。


金輪には、それはあたかも映画マトリックスのワンシーンのように

スローモーションで飛んで来るように見えていた。

驚き、身を引いて入れ歯を避けるとその入れ歯は、

走って逃げ続ける横鳥のお尻を噛み切る勢いで食い付いた。

「ウギャー!」

横鳥は断末魔(だんまつま)の悲鳴を上げ、お尻から込み上げてきた

激痛に悶えながら転がるようにして倒れた。


そこへ金輪が飛びかかると続いて刑事達がのしかかり横鳥を取り押さえて手錠を掛けた。

金輪は満足げな笑顔で立ち上がると綱木の元へ歩み寄って行った。

「源さん、いい飛び道具ですねぇ。拳銃よりも使えそうだ」

「ふるはい、はやくかへひてくれ」


刑事が綱木に歩み寄り労をねぎらった。

「ご協力ありがとうございました」

「ははく、はをかへひへー」

「はぁ?」

綱木は早く入れ歯を返してくれと懇願(こんがん)していたが、

周りに居た者達にその思いは通じてはいなかった。



 一週間後、麻薬密売事件摘発に多大な貢献を果たしたとして、

犬神、綱木、米良、金輪の四人は、日の出警察署の所長室で表彰されるこことなった。

署長の前に整列した四人は、署長から感謝状を緊張した面持ちで受け取ると、

署長は満足そうな笑顔で四人の功績を称えた。


「皆さん、本当にご苦労さまでした。皆さんのおかげで、

管内の事件が早期解決できました。ありがとうございます」

「何のこれしき、オギノ式」

「はぁ?」

綱木がいつものノリで反応すると、署長は少し戸惑っていた。

「いゃ、その、これからも頑張ります」

綱木はその場の空気感を理解し、言葉を改めてやる気を見せると、署長がうなずいた。


「それは力強い。それから、今活動していて何かお困りのことなどは、ありますか?」

と四人に尋ねてきた。綱木は考えた。

「おい、何かあるか?」

金輪も考えた。

「ん~何かあったようなぁ」

米良も考えた。

「何か言ってなかったっけ」

犬神が思い出した。

「あっ、確か小学生に格好のことでダメ出しされたじゃないですか」

金輪が思い出した。

「おっ、そうだった。署長」

「どうしましたか、金輪さん?」

「防犯パトロールに役立つ装備を支給してもらえませんでしょうか」

「ん~そうですねぇ、皆さんに、これからも貢献して頂けるよう、

何かご用意してお渡しに伺いますよ」


金輪、犬神、米良がそろって「よろしくお願いします」と言うと

綱木は「かっちょいいので、一つよろしく」と付け加えて署長を苦笑させた。



 名誉ある表彰から一週間後の喫茶パトライトでは、

金輪、犬神、米良、綱木の四人がいつものようにコーヒーを飲んでいた。


「そう言えば、例のご褒美(ほうび)はどうなったんだ?」

と綱木が言い出すと金輪が

「ん~早いとこ欲しいよなぁ~」と囁いた。

すると店の扉が開き、段ボール箱を抱えた制服警官が店内に入って来た。


茶所が制服警官に「いらっしゃい」と言うと制服警官は

「この箱には、皆さんのために作った防犯パトロール用の各種装備が入っています。どうぞ」

と言って差し出してきた。


綱木が箱を受け取り、早速、箱を開けて中身を取り出すと、中から、

「元警察官 GPS 防犯警戒中」

と描かれた反射ベスト、防犯パトロール用の腕章などの装備が現れた。

綱木は装備の出来栄えに感動しきりだった。


「おい、GPSって書いてあるぞ、凄いじゃんか」

「これで小学生にダメ出しをされないですむぞ」

と金輪も喜んでいた。

茶所が制服警官に「コーヒーでもどう」とすすめると

「いえ、私は勤務中なんで、このへんで失礼します」

とその場を去ろうとした。

金輪が「ありがとう。署長によろしく」

と言うと制服警官は「はい。失礼します」と言いながら店を出て行った。


米良が反射ベストを手に取り眺めながら

「さて、早速装備の使い心地でも試すか」

と言うと犬神が

「全員で一斉にパトロールするよりも、二班に別れて交替にした方が良いのでは」

と提案をしてきた。合理的な意見に金輪はうなずいた。

「んっ、そうしますか」

今日の米良はパトロールに行く気満々だった。

「じゃあ先発隊として、私と犬神くんで辺りを徘徊してくるよ」

と言いながら米良は犬神と共に装備を身につけた。

「どうですか?」と犬神がポーズを決めると茶所が

「いいんじゃない」とうなずき、金輪が米良と犬神に神妙な面持ちで

「これなら怪しまれないですむはずだ」と納得していた。



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