取り戻す
コンビニを出ると、傘立てに入れたはずの自分のビニール傘がない事に気づく。盗まれたのか、誰かが間違えて持っていったのかはこの際どちらでもいい。自分の傘を持っていかれたという事が問題なのだ。
俺はポケットから小型のリモコンを取り出しボタンを押した。五分ほどして、コンビニの前を救急車が通り、俺は救急車が走り去っていった方へと向かう。
数十メートル行ったところで救急車が止まっており、近くで見知らぬ男が倒れているのが見えた。その男の隣には開きっぱなしのビニール傘があり、確認するとビニール傘は紛れもない俺のビニール傘だった。
このビニール傘は俺がリモコンのボタンを押すと、死に至る電流が流れるようになっていて、倒れている男は電撃によるショックで亡くなったのだ。
自分の傘を取り戻した俺は、救命処置をする隊員を他所にその場を後にした。
とりあえず、傘が無事で良かった。