チョコのお返し
会社近くのコンビニ前でバッタリ会った、部長と部下の猿山君。
「そういえば。猿山君、バレンタインデーにはチョコをありがとう。」
「・・・あげてないですけど。」
「確かにもらった気がしたんだが・・・。」
「絶対に勘違いです。・・・だってその日、僕は海外出張でしたから。」
「いや、もらったよ!」
「本人があげてないって確信してるのに、そこまで言い張ります? もう降参してくださいよ。」
「絶対にもらったんだ。私の妄想の中では。」
「そんなこと知らないよ! もう完全にこっちが被害者なんだけど。」
「ところで、・・・ホワイトデーのお返しは、何がいいかな?」
「いらないです。あげてもいないもののお返しをもらうのはちょっと。・・・特に部長からは。」
「私をなぜそんなに毛嫌いするんだ? 常に君のヒップラインをなめるように見ているからか?」
「ええ! そうですとも!」
「タワーマンションの最上階の部屋でいいかな?」
「高価すぎるだろ! いくらするんだ、それ?」
「あのプレゼントのお返しとなると、そのくらいは覚悟しないと。」
「・・・妄想の中で、僕はどんなチョコを!?」
「この場所で言ってしまったら、街中の人間が君を軽蔑するから、聞くのはやめておいたほうがいい。」
「何! その妄想力!?」
「ただし、場所は草津のほうだ。」
「それって、・・・本当にタワーマンションですか?」
「正確には草津の3駅先。」
「そこって、何駅なの!? あと何線?」