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27.時には寄り道も大事かもしれない

「――予定よりも少し進めたな」

「ええ。道中で思ったより魔物との遭遇が少なかったおかげでしょうね」


――街を出てからおよそ半日の時間が流れた。

 ほぼ日が暮れた荒野のど真ん中で現在は二人は探知魔法サーチスキルを始めとした野営の準備を終え、食事を済ませ地図を確認している所だ。

 

――ちなみに二人が見ているような精度の高い地図は本来非常に高価なのだが、モルガンが昔使っていた物を選別として無料で譲ってくれた。


「ねぇ、ムツキ」

「ん?」

「良かったら少し寄り道してみないかしら?」

「寄り道か。まあこの荷物を届ける期限とかは特に言われてないし、少しくらいなら大丈夫だと思うぞ」

「ありがとう。実はここの村に昔、別の大陸で出会った知り合いが居るはずなのよ」

 そう言ってルナが指を差したのは元々通る予定だったコースの近くにある小さな村だった。


「ここなら遅れても一日か二日だろうし、全然問題ないな。というか知り合いってどんな人だ?」

「天使族の使徒よ」

「て、天使族って、またこの辺りじゃ珍しいな……。集落からは随分と離れているのに……」

 

――天使族。それは不老長寿の種族であり、魔大陸の東部にいくつか小さな集落を作って生活している種族だった。

 かつて古の時代に神々が現界していた時に配下として動いていたという言い伝えが残っている。

 だが流石に長寿な彼らでもその頃の固体はほとんど残っていないらしい。


 また、基本的に多種族と血が交わるのを良しとしない風潮のため大陸によっては絶滅、或いは絶滅の危機に陥っている所もある。

 だが唯一、エクリプスという大陸では最南端に多種族と共に反映している法国があったりする。

 

 この魔大陸でも国家としての体を保てなくとも、純粋な天使族が数百名。魔族と愛を結んだ結果生まれた半天使ハーフエンジェルを含めれば数千人は血を引いている者が居るとされている。


 彼らの最大の特徴は背中に生えている純白の羽、そして基本的に全員が高い魔力と身体能力を持ち、それらを活かした高い近接戦闘能力或いは魔法能力を持っている事だ。

 中でも集落のリーダーである大天使アークエンジェル権天使アルケーのような者は非常に強い力を持っている。

 

 それが彼らが集落という単位でも尚魔物に滅ぼされる事無くそこを維持できている理由だ。


「ふふっ、彼女自身も天使にしては珍しい性格をしているわよ。何しろ自分の腕を磨くために天使の集落を飛び出して、世界中を旅する程だもの」

「……なるほど。普通は安定志向の天使とは思えないようなアグレッシブだな」

「でしょ。おかげで生まれた大陸の集落から追い出されたらしいわ」

「まぁそうなるよな……」


「ああ、ちなみに武器は槍。第二ズィオフォーム第四テッセラフォーム、さらに第六エクスィフォームを同時に会得している達人よ」

 思い出したようにルナが口を開く。

「なっ、三つのフォームを同時にっ!? 二つでも凄いってのに!?」

 その言葉を聞いたムツキの顔が驚きに塗りつぶされた。


――通常型フォームは一人につき一つを覚えるのが限界だ。

 これは二つ同時に覚えるとどちらかが中途半端になったり、咄嗟の時に有効ではない構えや、二つが混在したような技を出してしまうためだ。


――だが、僅かだが例外がいる。

 それは二つ以上のフォームを完全に会得し、状況や場面に応じて臨機応変に全ての技を完璧に使い分けられる者だ。

 彼らは相手や局面に応じて有利なフォームを選択する事で圧倒的な力を発揮するという。

 

「名前はエクシア・ローデット。数年前に魔大陸で孤児を拾って以来旅をやめてこの村に腰を据えたって噂よ」

「なるほど……」

「ねぇ、益々行きたくなったでしょ?」

「ああ。……というかルナは始めから俺のためにこの事を教えてくれたんじゃないのか?」

「ふふっ、それはどうでしょうねぇ」


「……ありがとうな」

「ん、いいのよ。まぁ居れても数日でしょうけど、教えてもらえる事は教えてもらいなさい。私が一緒に行けば多分心よく教えてくれるはずよ」

「わかった……」

「――特に彼女は魔力の制御と、スキルの魔力消費の効率に関しては世界でもトップクラスのはずよ」

 ルナが真っ直ぐにムツキを見据え口を開いた。

「……わかった」


(――やっぱりお見通しだったか)


――ムツキには、あの戦い以来一つ悩んでいる事があった。

 


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