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対策

「いいじゃん。だって、君たちは何一つ気負う必要がないんだ。なんせ、僕の自己満足のために開催するんだから」


たしかに、そういわれると気楽にできる気がします。外交的なことは何もわかりませんがマサくんを喜ばせるためだけに戦えばいいのなら思う存分できる気がします。


でも私はまだ納得はしてませんからね!!!


「で、次にヒロの質問にこたえよう。質問は…」

「対策をとられる可能性だ」

「あはは、そうだったね。まぁ、愚問といったら愚問かな」


そういうと、ダラーっと座っていたマサくんが姿勢を伸ばし足を組みました。

「っ!」

……まとう雰囲気が一瞬にして変わったのがわかりました。

これは、マサくんではなく陛下としての威圧感。


「対策をとられたところで負けるような、そんな弱いものなのか?ルンナディア王国国王の私兵団どもは」


チリッという緊張感。

それがフッとなくなりました。

「なんてね。僕は君たちが負けるようなことはないと思ってる。うーん、でも一応対策は練ろう」

そういって立ち上がって伸びをすると、

「それよりさぁー、僕的にはそんな話よりも愛咲の話を聞きたいなぁー」

ニヤリ、と意地悪な笑みを浮かべます。

「え?なんの話です…………」

か、と言い切る前にマサくんがチラチラと燈真くんを見ていることに気づきました。

ま、まさか!!!!!


「俺はそろそろ寝よう。おやすみ」

「えー?燈真も一緒に聞こーよぉー」

立ち上がった燈真くんの肩に腕を回し、ニタァと笑います。一国の王が見せていい笑顔じゃないですよ、それ!!

でも、今こそ逃げるチャンスです。ツキちゃんはウトウトしてたので、燈真くんに気が向いている今しかないと思うのです。

燈真くん、ごめんなさい!!!

「わ、私も寝ます!!」

「…愛咲。あなた、嘘つくの下手なの気づいてないの?」

……………ふふ。起きてたんですね、ツキちゃん。

立ち上がった私の腰にツキちゃんの両腕が絡まりました。

「ま、明日は今日の振り替えでオフもらったんだからゆっくり話そうや」

燈真くんはヒロくんに肩を押されて無理矢理ソファーに座らされてしまいました。

そして、私もその横へ無理矢理。

「な、なにも話すことなんてないですっ!!」

「えー?だってさぁー、愛咲の部下の…リューク?が言ってたよー?」

あの裏切り者。

そんなに首を落とされたいのですか!

いっつもリュークは復讐がひどすぎる。今回は別にそんなに怒ることないじゃないですか…。

「なにをされようが俺は口を割らないからな」

「私もです」

「………そう。じゃあ、遠慮なく」

「え、ちょ、ツキちゃん…?あ、ちょ、」

ツキちゃんが両手をワキワキさせながら近づいてきました。

「ツキちゃん………う、嘘だよね」

「ごめん、愛咲。私ね―――」

ツキちゃんはそこで一旦言葉をきり、そして、

「黒歴史、大好物なの」

近年稀に見る、いい笑顔でした。

その笑顔を間近で見られたのですから、私は幸せ者です。


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


そのまま脇腹をくすぐられなければ、ですがね!


私の断末魔は、その後一時間ほど続き、城の警備をしていた兵は敵襲だと思ったようです。


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