一国の王
「…それで?何を聞きたいのかな?」
一旦部屋に戻ってラフな格好に着替えたマサくんはニヤニヤしながら尋ねてきました。
「闘技場の件ですっ!!勝手に決めないでくださいよ!」
「あはは、やっぱり愛咲か」
「むっ、やっぱりってなんですか」
マサくんはソファーに寝ころがっていた燈真くんをどかして空いた空間に座りました。
ヒロくんも座っていた椅子を持ってきました。
私とツキちゃんも暖炉の方を向いていた体を反転させ、5人で向き合う形になりました。
「で、ヒロが聞きたいことは他国に自分らの対策を練られるんじゃないかってことだろう?」
「まさしくその通りだ。相変わらず何でもお見通しなんだな」
ヒロくんが苦笑して言います。
「まあね。これでも一応、一国の王だから」
「一国の王っていうのは関係あんのか知らないが、お前のことだからなにも考えてないなんてことはないだろう」
燈真くんが本を読みながら尋ねました。
…なんか、羨ましいですね。
男性独特の心の通じかたというのでしょうか。言わずとも理解してくれる、理解する。それって結構難しいことだと思います。
いやぁ、伊達に幼い頃から仲間やってませんねぇ。
「まあね。…じゃあ、まず愛咲の質問に答えようか。簡単だよ、事前に言ってたら反対しただろう?…それじゃあ遅いんだ。僕はどうしても完成と共に大きな目玉商品を作る必要があった。じゃないとせっかくの完成がショボくなるだろう?」
と、ニコニコして言いきりました。
「あとは、タイミングがよかったとかかな?他の国、特にワランデに見せつけるのにちょうどよかった。何もないときに、言い方が悪いけど最終兵器の君たちが演武を行うと慎重な国はこう考えるだろう。―ルンナディアが最終調整に入った」
「…そんなことあるわけ」
ない、といいかけた私に被せるようにずっと黙っていたツキちゃんが話し始めます。
「あるわよ。元々ルンナディアはワランデの隣にある小国のくせに未だ独立を続けている。しかも、2年前に革命があったばかりでまだ内政はボロボロのはずなのに。そんな未知の国が最終兵器を見せびらかしたとあれば、なにか考えがあるんだろうと考えるはずよ」
「そうだね、まぁ、考えすぎだって言われたらそれまでだけど。念のためってやつだよ」
質問には答えたよ、と言いたげな目で私を見ました。
…まぁ、そう言う理由があるのなら――
「…………真輝」
「ん?何?燈真。納得してくれなかった?」
私に向けていた目線を燈真くんに向けて、尋ねます。
「本音は?」
「え?」
「本音、言ってないだろ?」
…本音?
燈真くんはいつの間にか読書をやめていたらしく、真面目な顔で―いや、よくみたらいたずらっ子みたいな目をして聞きました。
マサくんはもちろん、私達までぽかんとした表情を浮かべることになりました。
本音って―
その時、マサくんが心から楽しそうな笑い声をあげました。
「あっはっは!!バレたか!!!いやあ、隠し事はできないね」
「バレバレなんだよ」
「…あぁ、なんとなく見当がついたよ真輝」
「燈真もヒロもわかるの?…もったいぶらずに教えなさい」
「そうですよ。…男共だけで楽しむのはよくないです」
「簡単だ。…こいつが、何かを深く考えるようなことがあったか?」
「ない」
「ないわね」
燈真くんの質問に、声を揃えて返事します。
「愛咲もツキもひどいなぁ、僕も考えることくらいあるのに」
「そうだな。…会議で上手く寝る方法とかな。ああ、これは愛咲が助言したんだっけ?」
うっ…
昼間の、根にもってますね!?
別に実際私は寝てないんだからいいじゃないですか。むしろ、上手く寝る方法を考えていただけ偉いと思いますけど。どこかのヒロくんは堂々と寝てましたからね?
「まぁいい。…こいつの動力源はひとつ。楽しいか、楽しくないか。…つまり」
「君たちの誰が一番強いのか個人的に気になったからだね!!!」
…いや、それ堂々と言うことじゃないですよね?
すぐ投稿するとかいって滞りました。ごめんなさい。
風邪ひきました。
皆様、お気をつけて。




