SAVE4
Phase5
TOP>質問掲示板
人探し関係
○guardianが探している人って誰のこと?-- 20**-09-** (*) 18:48:16
●チームの上位プレイヤーが話していたのを小耳に挟んだけど、多分『エリーゼ』って名前の女性プレイヤー?201**09-** (*) 18:50:55
●うちも又聞きだけど、その人『嫉妬』って言われてる。それがほんとなら七つの大罪の3人目ってことだけど-- 20**-09-** (*) 19:03:56
●じゃあやっぱり七つのって名前通り7人いるってことなのかな?20**-09-** (*) 19:20:09
○七つの大罪の『傲慢』と『強欲』は確かMUD HUNTERの方で報奨金かけてたけど、実物するんですか??20**-09-** (*) 19:22:31
●イカレ狩人の情報はアテにはならない。けれど、まるっきりガセでもないような気はする。3人は少なくともいるわけだし?20**-09-** (*) 19:25:14
●いるかもしれないしいないかもしれない。ジョン=ドゥと扱いは同じ位じゃね?まだあっちの方が信憑性あるかも-- 20**-09-** (*) 19:26:38
●JDならこの前うちのチームのやつが見かけたって言ってた。そっちは実在すると思われ-- 20**-09-** (*) 19:30:49
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一際大きなファンファーレに掻き消されるように、電子音が手元から響く。
こっそりと応接間のドアから中身を伺っていた視線をそちらに移すと、パスには
オディールの正体を暴け
45:00:00
(45分……)
長いのか短いのかわからないその数字を気にしているのは私だけで、その他のフロアにいる人達はファンファーレとともにやってきた1人の女性にくぎ付けになっている。
漆黒のドレスに黄金の髪、口元は真っ赤なルージュ。
それが細い三日月を描いている妖艶な女性は、ロットバルトという大貴族の娘だとどこからともなく噂が駆け回る。大貴族のようだが、誰もその名を聞いたことがない、その名前は
「オディール様とおっしゃるようよ」
(オディール!)
あの人の正体を暴けと言っているけど、あの人の正しい正体の説明はない。
ただ、あの湖で会ったオデットと姿・顔はほとんどそっくりと言ってもおかしくない。
それを上座で退屈そうに座っていた王子も同じことを思ったのだろう、椅子から音を立てて立ち上がり、突如広間に咲いた黒いバラを呆然と見つめている。
(でもあの人はオデットじゃない)
名前が違うからだとか、パスから前もって教えてもらっているからだとか、物語を知っているからだとか、そんな理由で言えるものじゃない。
あの人は“邪悪”だ。
まるで人を悪い道に誘い込むために着飾った悪魔そのもの。
ほほ笑む姿も心の底から笑っていないのはすぐにわかったし、アゴをあげて周りの女性を見下すように見つめる様は、傲慢以外の何者でもない。
その女性がハイヒールの音をわざと主張するように歩みを進めると、おのずと人が捌けた先に道が出来上がる。
「オデット……」
王子がまだ信じられないと言ったように彼女に成りすました別人の名前を呼んでいる。
ここで高らかとその人を偽物だと言えばここはクリア出来るものなんだろうか。
誰も小間使い役の私の話なんて信じてくれそうにないのに。王子ですら本物だと信じきっているものを、一体どうやって証明すればいいのだろうか。
ジークフリートは娘のオディールを見て驚き、そして有頂天になった。
黒いドレスに身を包んだオディールはオデットにそっくりだったのである。
そのオディールはジークフリートを誘うかのように艶やかに微笑みかけてきた。
オデットは白鳥の姿のままだから舞踏会には来られないと言っていたが、実はこのオディールはオデットなのではないか。ジークフリートはすっかりオディールに心を奪われ、早くオディールと話をしてみたい、心はそのことばかりで埋め尽くされてしまった。
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事の次第を見守るしかなくて、このフロアのどこかにいるはずのメアリーさんとナイチンゲールさんの姿を必死に探すけれど、大勢の人が踊り、ごった返しているフロアの中から普段見慣れない2人の姿をさがすのは至難の業で。
そうこうしている内に舞踏団のダンスが終わり、黒いドレスのオディールが獲物を狙うかのような目つきで王子の傍に進み寄る。
(どうしよう)
だめなのに、もう時間もあまり残されていないのに。
頭だけが焦るだけで足は行ったり来たりを繰り返す。踊り疲れた女性が外に出ていく隙をついて何とかホール内には入り込めたけど、熱気と嫉妬が渦巻くこのホールは人の感情が強すぎてどうにも気持ちが悪い。
(メアリーさん、ナイチンゲールさん、どこにいるの)
姿を一生懸命探しても見つからない。
王子はみんなが見守る中、懐に大事に持っていたオデットの羽を取り出し、女性に耳打ちするように何かを囁いている。
その羽を一瞥して、汚らしいものを見るかのようにそれを放り投げてしまう。
「私は今こうやってあなたの前にいるのですもの。それよりもっと強く抱きしめてくださらないかしら?」
(ダメ!!)
- コノ世界ニ 乱入者 ガ 現レマシタ -
「え」
物騒なアラームが鳴ると、2階のテラス席から何かの破壊音。
悲鳴とともにガラス片が頭上から降ってくると、視界に大きな烏のようなものが映り込む。
それが人だとわかったときは、着ていた真っ黒のスカートが翻り、同じような色のドレスを着たオディールが王子から数m離れたところに移動していた。
スポットライトが当たっているかのように、自然と2人の間に視線が中央に集まる。
「オデ……」
「しゃべるんじゃないよ!私を巻き込むな!」
「オ…………」
そう冷たく言い放つオディールの瞳はもう王子を誘惑するようなものではなく、降って沸いた黒い存在に敵意をむき出しにするのと同時に、相手を警戒して怯えているように見える。
ワンテンポ遅れてフロアを悲鳴が行き交う。
誰もがその影におびえて出口に向かって我先にと走り出すその勢いに押されるようにしてその場に倒れ込むと、そのオディールの足元、そこから伸びている影が不自然に動き出す。
その異常な光景に目をこすって再度見ると、そこにはゆらゆらと揺れるシャンデリアに照らされて、その影を伸ばしたり縮めたりしている影が見えるだけ。
(気のせい……?)
「やっと姿を見せたか、薄汚いメス豚が」
セリフは確かに女性の声で言われたけれど、口調は男の人が話すようなものにも聞こえた。
顔を上げると、真っ白い髪の毛がマッシュルームカットに切り揃えられていて、その上にちょこんと小さなシルクハットがのっている、ゴシック調の洋服がかわいらしい顔によく似合う、まるでお人形のような女の子が1人。
さっきオディールが見せた表情と同じように他人を見下すような冷たい目をしながら、さっき聞こえた男の人のような口調で『誰か』に話しているようだった。