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~紅き月の盟約~ 無能で封印=最強   作者: Glan.L.Beal
第一章 紅い月の下で………
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5話 なによりも愛しい人

 





「貴様!! 俺のカナになんてことするんだ!!!」


「……………… は?

     お前………………今なんて言った?!」





 俺は、禍々しい殺気を放出しながら、内から留めなく流れ出す激情に身を任せ、奴を………………


「シュウ! ダメ!!!!」


 カナは、今にも奴に飛びかかろうとする俺の体に必死にしがみつき、そう叫んだ。


「カナ! どうして!! 俺は奴を………………」


「ダメ、シュウ!! ここは学園なんだから!!!!」


 ………カナの叫びで我に帰った俺は、殺気を抑えて心を落ち着けようとした………

俺殺気に充てられて完全に腰を抜かしている奴を睨んで………



「おい、そこ!!! 何をしている! さっさとグループを報告しにこい!!」


「………ちっ」



 空気を読まない、あまりにも無神経な先生によって、その一触即発の雰囲気はぶった切られた。舌打ちをし、先程まで腰を抜かしていた奴を一瞥すると、そいつは………



「い、命拾いしたな!! カナさんはお前なんかに絶対渡さないからな!!!!!」


 そいつの取り巻きなのであろう奴らと一緒に急いで離れて行った。





「カナ、ありがと………」


「シュウは悪くない……… 悪いのはあっち。」


 カナはそう言うと俺をギュッと抱き締めてくれた。それだけでも嬉しくなる。


「カナ、あいつらは誰? カナのことを知っているようだったけど………」


「さっきシュウに殺されかけたのは、エルドレット家の長男。

この学年ではかなり強い方だって聞いたよ。」


「なるほど。あいつが………」



エルドレット家とは、五大貴族のうち、炎の属性を担っている家である。炎の扱いにおいては特に秀でており、単純な攻撃力では五大貴族の中でも一番高い。

故に、自分たちが最強だとし、自分以外の他者を蔑む。


「シュウ? そんなことよりグループは決まった?」


 俺が先程のやつらについて考えていると、カナがそんなことを聞いてきた。


「あ、忘れてた。 カナ、もしよかったらカナのとこ、入れてくれないかな?」


「シュウ、私が断ると思ったの?」


「……ちょっと不安だっただけさ。 で、いいの?」


「ちょっと間が合ったけど………

 みんないい人だから大丈夫だよ。 さ、早く行こ!」


「うん。じゃぁ、案内よろしく。」


 俺がそう言うと、カナは歩き出した。











「カナ?  そっちの人は?  

 随分仲がいいみたいだけど………」


「じゃぁ、みんな。紹介するね。   

 私の隣にいるのは、シュウ。 私の彼氏。」



 カナがそう俺を紹介すると、カナの友達だと思われる目の前の2人は目を丸くした。



「初めまして。 シュウって普通に呼んでくれ。」


 そこで、赤髪の男子生徒と水色の髪の女の子はようやく我に帰り、自己紹介をしてくれた。



「あ、俺はジン・オルガ。  

 これからよろしくな、シュウ!!」


「初めまして、シュウさん。 

 私はシャサ・ルミネリアです。よろしくお願いします。」


「よろしく、ジン、シャサさん。  

 3人共カナの友達?」



(ジンとシャサか。二人共、いいやつみたいだな。実力もなかなかだし、カナにもいい友達ができて良かった………)


 と、大分過保護なこと考えていると、カナが俺を紹介してくれた時、他の二人とは少々違う驚き方をして、俺をずっと見つめていた、もう一人の女の子が自己紹介をし始めた。


「………私は、ヘレン・リーデルタです。よろしくお願いします」


 ヘレンはそう言うと、どこかぎこちないお辞儀をした。

(さっきのはなんだったんだ? 俺の勘違いか?)


 そう思いながらも、俺は違うことを聞いた。 




「リーデルタか………   

俺は生憎、相手を敬うってことを知らなくてな、普通に接してもいいか?」


「えぇ、普通に話してくれると嬉しいわ。」


 ヘレンが言質を取ったので、俺は普段通り振舞うことにした。


「それで、3人ともカナの友達ってことでいいのか?」


「そうですよ。 

 それで、シュウさんに一つ聞きたいことがあるのですがよろしいですか?」


「いいぜ。 

 で、何が聞きたいんだ?」



 この質問はヘレン。先程のこともあったので、少し気を引き締めてから返事を返したのだが………


「それでは、カナさんとはどういう関係なのですか?」


(あ、そんなことか………  警戒して損したな………)



「ん? カナと?  

 さっきカナが言った通りの関係だがどうかしたか?」


「いえ、少し気になったので………」


 と言って、どこか寂しそうな表情をした。


(?? 俺はこいつになんか不味いことでもしたか?)


 ヘレンの態度に何事かと訝しんだが、ジンによって思考を中断させられた。


「なぁ、シュウ。 もし良かったら俺らのグループに入らないか?」


「ん? あぁ、入れてくれると有難いが、他の2人はいいのか?」


「私は全然構わないわよ。」


「シュウさんとはもう少しお話してみたいので、入っていただけると嬉しいです………」


「だ、そうだ。 シュウ、どうする?」


 俺は断る理由もないので、素直にいれてもらうことにした。


「じゃぁ、お言葉に甘えて入らせて貰うよ。 カナもいるしね。」


「じゃぁ、シュウ。 改めてよろしく!!」


 ジンが手を差し出してきたので、握手をした。




「なぁ、先生に報告しに行かなくていいのか?」


 先程の先生の言葉を思いだし、ジンに聞くと………


「あ!! 忘れてた! じゃぁ、俺が行ってくるよ。」

 ジンはそう言って、何処かに走って行ってしまった。
















 Side ヘレン



 私達が男の子たちに囲まれていると、突然カナがどっかに走って行ってしまった。 

私はカナの走って行った方に視線を向けようとしたのだけれど、さっきとは違う男の子に声をかけられてしまい、少し目を離したらカナを見失ってしまった。

 男の子たちからの勧誘を一通り断り終えたところで、カナが帰ってきた。

カナはとても楽しそうに、隣にいる男の子と話をしながら私達のとこまできた。



(あんなに嬉しそうなカナ、今まで見たことない………)


 そう思い、隣の男の子の方に意識を向ける。その男の子は、黒髪で、引き込まれるように綺麗な赤色の瞳が特徴的だった………



「え…………… シュウ…様?」


 あのときからずっと思い続けていた、私の目標であり、そして、なによりも愛しい人がそこにいた……………







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