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~紅き月の盟約~ 無能で封印=最強   作者: Glan.L.Beal
第一章 紅い月の下で………
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4話 魔法学園入学!!

 




side カナ


『であるからして、この魔法学園は名誉あるーー』 


 今は入学式。そして副学園長の人の長い話を聞いているところ。入学式は、新入生全員が余裕で入れるようなこの学園の広い講堂で行われている。生徒全員に椅子が用意されているので、入学式中ずっと立っている訳ではない。そのためか、生徒の過半数以上は眠そうにしている。



「ありがとうございました。 それでは、エルベール学園長先生お願いします。」



 長い話がやっと終わり、司会進行係の先生の紹介を受けて、シルヴィアが壇上に上がって話を始めた。



「さて、長くなってしまってすまないな。つまらん入学式をさっさと終わらせたいのは、私も同じだから単刀直入に言おう。

 お前たちは弱い。才能があってもなくてもだ。だがこの先、才能だけではどうしようもならないこともあるだろう。だからこそ言わせてもらう。身分なんてものは関係ない。ここでは力が全てだ! 君たちが卒業時に強くなっていることを切に願う。


 以上だ。」


前の話と比べるととても短く感じられたが、生徒達は全員シルヴィアの話に耳を傾けていた。シルヴィアは『闇帝』であり、さらには美人ということもあり、生徒達のほぼ全員が憧れているのだ。



「それでは、入学式を閉会します。各自、自分たちの教室に行って、担任より今後の指示を受けて下さい。 では、解散。」



 先生がそう言うと、皆が一斉に移動し始めたので私もそれにならって歩き出そうとした。すると、後ろから女の子に声をかけられた。



「あの、1-Bクラスですよね?もしよろしければ私たちと一緒に行きませんか?」



 私が声のした方を振り向くと、そこには先程の声の主であろう、水色の髪の女の子がいた。そして、そのその隣には赤い髪の男の子と、綺麗な青い髪を腰まで伸ばした、とても可愛い女の子がいた。3人とも柔らかそうな雰囲気で少しホットし、私はその人たちと一緒に行くことにした。しかし、すぐに返事をするのもどうかと思ったので、私は少し考える素振りを見せ、そして顔を綻ばせながら返事をした。



「お誘いありがとうございます。ぜひお願いします。 私はカナ・フローラルです。カナって呼んで下さい。」



 私がそう言うと、赤髪の男の子は少し顔を赤くする。



「お、俺はジンって言います。こちらこそよろしくお願いします!」



 すると、水色の髪の女の子がジンの腕をつねり、何かを言ってから自己紹介をしてきた。



「はじめまして。私の名前はシャサ・ルミネリア。よろしく、カナさん。私もシャサって呼んでくれると嬉しいわ。それと、こっちのバカはジン・オルガ。で、私の左にいるのが………」



 そんなシャサの言葉を、青い髪の女の子が継いだ。



「私はヘレン・リーデルタ。ヘレンと呼んで下さると嬉しいです。」



 ヘレンの姓を聞いた私は少し気になったことがあり、どうしようか考えたが聞いてみることにした。




「はじめまして。よろしくお願いします、ヘレンさん。 あの、リーデルタって言うのは………」



「えぇ、私はカナさんの思っている通り、リーデルタ家の娘です。けど、普通に接してくれると嬉しいです。嫌みに聞こえるかも知れませんが、私、身分とかそういうのがとても嫌いなんです………」


 と、ヘレンは悲しそうな顔をした。



(やっぱりあのリーデルタ家なんだ。 けど、とても好い人そうで良かった。)


 私は内心で少し安堵しながら、俯いているヘレンに声をかけた。




「ヘレンさんはとても優しい方なんですね。じゃぁ、改めてよろしくお願いします。」



 私がそう言うと、ヘレンは顔を上げ、とても綺麗な顔を輝かせた。



「なぁ、そろそろ行かないと不味いんじゃないかな?」



 ジンの言葉で、私たちは周りを見ると残っているのがあと数人しかいなかった。



「そうね。じゃぁ、続きは歩きながらにして行きましょうか。」


 シャサがそう言ったので 、私たちは頷いて、教室に行くことにした。
















ーーーーーーーーーーーーーーーーー







 ヘレンの言っていたリーデルタ家とは、五大貴族とは別の貴族である。その家の歴史はとても古く、金、権威共に強大で、この国にもかなりの影響力を持っている。そのため、普通の人ならば恐れてへりくだるか、リーデルタ家に取り入ろうと媚を売ろうとするのである。その点を鑑みれば、ジンやシャサがヘレンに対して普通に接していることが異常である。しかし、そうだったからこそカナは、ジンやシャサと一緒に居ようと思ったのであり、また、ヘレンの家柄を振りかざすのを嫌う姿勢もその事に一役かっていた。


 こんな言い方をすると、3人はカナに対して何かをするのではと思ったかも知れないが、3人はそれを無意識でやっていただけである。実際、3人はとても良い人間だ。








ーーーーーーーーーーーーーーーーー











 私は、教室に着くまで3人と話していた。


 ジン、シャサ、ヘレンは3人とも中等部から上がって来たらしい。さらにヘレンは、2年前にリーデルタ家のお屋敷から脱け出して町に遊びに行っていたときに誘拐されてしまい、殺されかけたことがあったという。幸い、誘拐犯は何者かに殺されたためヘレンは無事だったのだが、ヘレンだけは誘拐犯を殺した人を見たのだという。必死に名前を聞き出そうとしたところ、その人の名前を他人に絶対教えないという約束(契約)で教えて貰ったのだという。そして、その時にその人に惚れてしまったらしく、それから、いつかその人の隣に立てるようにと辛い修行をしてきたらしい。



 その事を聞いた私は、とても感動してしまった………





 そんなことを話していると、すぐに私たちは教室に着いた。 シャサが扉を開け、中に入って行ったので私もそれに続く。教室には40人ほどの生徒が既に席に着いていた。席は自由みたいだったので、私達は、シャサとジン、私とヘレンの二つに別れて窓際の席に前後で座ってお喋りした。






★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★





 しばらくすると、前の扉から、ツインテールの可愛らしい小さい女の子が入ってきた。そして………


「はい。欠席者はいないみたいなので、さっさく自己紹介と行きましょうか♪ これから一年、君たちのクラスを担任するニーナ・ヘブンです。よろしくね♪」



 私も含めたクラスのほぼ全員がポカンとした表情で、ニーナと名乗った女の子を見つめている。 私はこの時初めて、世界の神秘に触れた気がした………



「………おーい、みんなどうしたの? 私が可愛すぎて見とれちゃったのかな?」



 …確かにそうなんどけど、何か少し違うと思ったのは私だけではなかったと思う………



「はーい、それでは皆さん入学おめでとうございます。今日はこれで終わりで、明日はいろいろな説明があるので遅れずに来てくださいね。それと、寮の部屋には皆さんの荷物が届いていると思うので、漏れがないかしっかり確認してくださいね。 それじゃあ、これで終わりなのでもう帰っていぃですよー。」



 ニーナは、固まっている生徒たちをそのままにして連絡事項を伝えると、さっさと出ていってしまった。

 そして、ニーナが出て行ってもまだ呆けていた私達を、こういった光景を見慣れていた?ジンとヘレンがこちらの世界に呼び戻してくれる。



「おーい。もう終わったから帰ろうぜ。」



「ん? えぇ…そうね。ほら、シャサもカナもいつまで固まってるの?寮にいくわよ。」

 


 ヘレンの言葉で我に帰った私達は、学園の寮へ向かうことにした。



★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 私達は今、学園寮の前に来ている。この学園は全寮制で、一人一人に個室が与えられている。寮には、大きめの食堂があり朝、晩しっかりと食事をすることができる。また、部屋にはキッチンも備え付けられているため、シュウに料理を振る舞うこともちゃんとできる。



「で、でけぇ………」



 ジンがその寮の大きさに驚いていたが、無理もないと思った。一言でそれを表すならば、「城」がピッタリと思うほど豪華で巨大な建物なんだから………白と黒を基調とした外装で、寮の周りには木が植えられている。



「さ、ここで突っ立ってないで早くはいろ。」



 シャサがそう言ったので私達は寮に入った。すると、そこは三ツ星ホテル顔負けの豪華なロビーが広がっていた。ここだけでも一年生だけなら入りきるんじゃないかと思うほど広い。喫茶店などてよく見られる光景。それの何十倍かの広さで、さらにソファやテーブルが高級な物に変わっている感じだ。 それに再度ジンが驚いていたが、シャサが小突くとすぐに我に帰ったため、私達は部屋の鍵を受けとると部屋に向かった。







 ジンは男子寮のため、ロビーで別れたあと、私達は3人で部屋に向かっていた。



「凄い偶然ね。3人とも部屋がすぐ近くだなんて………」


「けど近くだから嬉しい。」


 ヘレンの呟きに私がそう返したところで、私の部屋に着いた。
















実際は、偶然なんてものではなく、シュウにカナのことを頼まれていたシルヴィアが、学園長権限であとから無理やり部屋を変更させたのだが………………














「じゃぁ、また明日。」


 今まで同じ年頃の友達なんていなかったから、シャサがそう言ってくれた時は凄い嬉しかった。


「シャサ、ヘレン。また明日。」



 私はそう言って部屋に入り部屋を見渡した。部屋は一人には充分すぎるほど広く、とても綺麗だった。扉から少し歩くとリビングがあり、リビングを見渡せる様にキッチンがある。リビングには表面がガラス張りの机と、それを挟むようにして大きな黒のソファがある。扉から一番遠くには、寮の中庭を眺めることの出来る大きな窓がある。私の右手側の壁には本棚が配置され、その横にはバスルームに繋がるドアがある。



(凄い。こんな部屋が一人一部屋だなんて…………)


そんな思考を巡らせながら、私は届いていた荷物を整理する。そして、今はこの世界にいない、最愛の人であるシュウのことを考えていた。









★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★






入学から1ヶ月と少したったころ、私達は学園所有の広大な森の前に集合していた。なぜなら、今日から四日かけて、一年生の実力をはかるための、グループ対抗サバイバルを行うからだ。



「えー、それでは、各クラスごとに集まって担任より指示を受けてください。」



だれだか分からない先生がそう言ったので、私たち4人はニーナ先生のとこに行き、強制転移魔具を受けとって腕に付けた。それは、魔方陣の様なラインが刻まれたブレスレットみたいなものだった。



強制転移魔具とは、特殊な転移魔法が施された魔法具のことで、それと対となる結界の範囲内(今回ならばサバイバルが行われる森)にいれば、一度だけ致命傷になりうる攻撃を受けてもそれを肩代わりし、さらに、指定されたポイント(今回ならばリタイア地点&医療塔)に強制転移させる魔法具のことだ。






Side out








Side 3人称


「みんな、今日から四日間頑張ってね♪


あと、みんなはもう気づいてると思うけど、 この子は今日、このクラスに転入してきたのでイロイロと教えてあげてくださいね。じゃあ、自己紹介をお願い。」



「今日からこのクラスに転入することになった、シュウ・ラファエルだ。これから、よろしく。」



「はい、ありがとー。じゃぁ、みんな、サバイバルは5~6人で1グループたからさっさと決めちゃってね♪」



『………は? っぇぇええ!!』


「じゃあねー」



ニーナがそう言うと、クラスの生徒全員が驚いた。なぜなら、クラス全員、グループを組むことを知らなかったからだ……… グループ対抗っていうものがサバイバルの前に付いていたにも関わらず、だ………

クラスの生徒たちは、意外にも早く立ち直り、男子はカナ、ヘレン、シャサを、女子はシュウをグループに誘おうと競争を始めていた。




ニーナは全員集まったのを確認してから、伝達事項を言ったのだが、カナは、ヘレンやシャサと話をしていたため聴きそびれてしまっていた。



Side out













Side カナ




クラスの男の子たちがいきなり私たちを取り囲んで、サバイバルのグループに入らないかと、口々に言ってきた。シャサやヘレンがしっかりと断っているのに、そういうのがあとを絶たない………

私がどうしよかと視線をさまよわせていると、少し離れたたころで、たくさんの女の子たちに声をかけられている、黒髪紅眼のとってもかっこいい男の子がいた。








それは、大好きなシュウだった………







私がびっくりしながらシュウを見つめていると、シュウと目が合った………







Side out









Side シュウ



「みんな、今日から四日間頑張ってね♪



あと、みんなはもう気づいてると思うけど、 この子は今日、このクラスに転入してきたのでイロイロと教えてあげてくださいね。じゃあ、自己紹介をお願い。」


ニーナがそう言ったので、俺はあらかじめ用意しておいた自己紹介をした。



「今日からこのクラスに転入することになった、シュウ・ラファエルだ。これから、よろしく。」



「はい、ありがとー。じゃぁ、みんな、サバイバルは5~6人で1グループたからさっさと決めちゃってね♪」


俺が自己紹介を終えると、ニーナがそう言い、さっさとどっかへ行ってしまった。



(おいおい、この生徒たちどうすんだよ………)



と思っていると、いつの間にかクラスの女子生徒に囲まれ、サバイバルのグループに入らないかと、たくさんの勧誘を受けた。俺が一つ一つ丁寧に断っていると、不意に視線を感じた。そして、そちらに目をむけると………カナの青い瞳が俺を見つめていた。

カナと目が合う。すると、カナは言い寄る男どもを掻き分けながらこっちに走ってきた。女子生徒達は、走ってくるカナに気付いたのか、俺から少し離れる。

















「シュウ!!!!」








カナが俺に勢いよく抱きついてきて、顔を俺の胸に埋めた。



「カナ………ごめんな。心配かけて………」



相当寂しかったんだろうなと思いながら、俺はカナをしっかりと抱き締めた。



「シュウ………会いたかった………



シュウ………」



「俺もだよ、カナ………」




カナはしばらく泣いていたが、ようやく俺から離れると、俺の左腕に抱きついてきた………






「おい、お前! カナさんから離れろ!! カナさんは俺たちのグループに入るんだ!!!」




声のする方を見ると、数人の男子生徒がこちらに歩いて来ていた。そして、そのうちのいかにも貴族然とした男子生徒が俺に向かってそう叫んだ。



「なぜ俺がカナから離れなければならない?

カナは俺の女だぞ?」


俺はそう言いながら、そいつらに見せ付けるように、カナの柔らかい唇にキスをした。





「っんん……… 」




ピチャッ






チュルッ








………ピチャッ











長いキスを終えるとカナは頬を綺麗な赤に染め、トロンとした表情で俺の顔を下から覗いていた………

これであいつらはカナを諦めるだろうと思い、その男子生徒の方をみたのだが………




「貴様!! 俺のカナになんてことするんだ!!!」



………ブチッ










「……………… は?

お前 ………………今なんて言った?!!!!!」












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