偽りの現実
『死ねばいい』
『生きていても仕方がない』
自分自身を追い込む心
差し出された冷たい手
灰色の世界に光はない
見えない手
伝わらない温度
聞こえない声
振り払うことすらわからない
身体を包み込んでくれる温かな身体
気付かない
気付きたくない
『何故生きている?』
『死んだら楽だ』
『こっちにおいで……』
都合のいい言葉
逃げ出したい現実
逃げ込みたい過去
自分自身に甘い言葉
生ある者への恐怖
朽ちてゆく精神
苦しみより苦痛へ
見えない恐怖の塊
現実からの逃亡
聞こえる現実の音
苛立ちから狂気へ
死にたいのに死ねない
もたれ掛かった肉の壁
止まらない涙
声が枯れるまで叫ぶ
震える身体は我が身なのか……
『死なないのか?』
『死ねないのか?』
『生きている程ツライ事はない』
『しんどいだろう?』
『やりきれないだろう?』
『誰の為に生きている?』
『死んでも誰も悲しまない』
灰色の眼は灰色の世界へ
本能と理性は狂気に浸蝕
狂気が狂喜へと変貌
自傷行為への渇望
己を消し去ろうとする己
消えた本能は生命を否定
食物連鎖を断ち切ろうと
生殖本能は不要なものへ
差し出された手を握る
枯れた声は虚言をはく
流した涙も嘘なのか?
精神すらも重力に逆らわない
自然落下する深層心理
降り立つ不安定な足場
地上への綱はもろくて細い
掴まない自分自身
掴めない恐怖心
偽りの自分を創造する
言葉も行動も全てが虚像?
偽りが本心へ
「大丈夫?」
『大丈夫』
嘘だ
不安定な足場から動かない己への嘘
「最近変だよ?」
『大丈夫だよ』
嘘だ
不安定な足場から動けない己への嘘
「薬いる?」
『貰っておこうかな』
本心? 虚像の本心?
不安定な足場は端から崩れ落ちる
足場が無くなればまた落下
更に不安定な足場へと
虚像で虚像を創る
本心の自分自身は何処へ
温かな家庭
笑顔溢れる家族
裏切れない本音
裏切っている虚像
作り笑顔が顔に張り付く
『私は誰?』
消えない疑問
『ここは何処?』
まとまりのない記憶
『昨日は何してた?』
記憶のピースは断片的に
繰り返される虚像と虚言
自分の立ち振る舞いを気にする
言動に矛盾点
振り返れば覚えていない
『ODは死ねない』
『リスカは痛いだけ』
『切腹する勇気がない』
『練炭か?』
独り身でないことの苦痛
戻れない過去の自分
思い出せない過去の記憶
苦悩と不安
支えはもろく不安定
行方不明の自分自身
「大丈夫?」
『大丈夫だよ』
意味なき強がり
そして自分を苦しめる
苦しみの連鎖
苦悩の連続
死への執着
輪廻する思考
灰色の世界が定期的に
青空の中の曇り空
狭い空間への恐怖
見知らぬ他人への恐怖
狂気に抗えぬ本能
偽りの自分を偽りの自分が支える
家族への安心感の提供
家族への猜疑心の増加
『死にたい』
『もう一度死を求む?』
『おいで』
『ここまで』
幻聴は現実に
現実に幻聴が
多忙の現実
自分の立場が狭くなる
『助けて』
誰にも聞こえない
『本当は嫌だ』
口に出せない心の葛藤
『辞めてやる!』
現実を直視
無駄な悪あがき
『…………』
虚勢をはり自分を維持
世界は灰色に塗り潰される
仕事という地獄
家庭という安堵
付き纏う苦しみ
生きているからこその苦しみ
生きているからこその不安感
生きているからこその恐怖心
生きているからこその安心感
全てを抱えて生きる
『まだ先は長い』
生者の思う生きる意味
生者の思う生き抜く意味
生者の思う死ぬ意味
生者の思う死ねる意味
生者だからこその苦悩
生者だからこその葛藤
生者だからこその挫折
生者だからこその怠惰
生者だからこその崩壊
医者は言う
『心が弱いだけ』
心が弱いだけに処方される薬
診察時間はたったの五分
安心感はまるでない
薬だけが頼り
薬薬と薬漬け
精神安定 睡眠障害
病院行くのが義務ではない
カウンセリングも役立たず
妻と行くのが目的で
妻がいるから行くことできる
それでも足場は不安定
グラグラ グラグラ傾いて
いつでも身体はフリーフォール
ループする精神世界
不安と恐怖
安心と安堵
光を求める希望の心
光を消し去る絶望心
浮いたり沈んだり
輝いたり消え失せたり
世界は明暗を繰り返す
朝日が昇る
夕日が沈む
明るくなって
暗くなる
快晴 曇り 雨の日と
雷雨や強風 吹雪の日にも
天変地異と嘆いても
コントロールは出来ない
『死ねばいい』
幾度となく繰り返される
『生きていても仕方がない』
閉ざされた精神
『こっちに来いよ』
非現実な呼び声
『何の為に生きている?』
現実逃避の代償
『助けて……』
自分自身を理解不能
『眠りたい』
現実 非現実からの完全逃避
逃げても立ち向かっても
明日は必ずやってくる
心も身体も明日へ向かう
そうして今日も終わりを告げる
閉ざされた世界
閉ざされた精神
閉ざされた眼
求める光は偽りか……
明日 晴れるといいな……




